42 / 75
ソローキン反乱
クリーガーの憂鬱
しおりを挟むあれから無意識にD組へと足が向くようになっていた。
しぐれにアピールしていた頃より頻繁にだ。
もうしぐれにアピールする必要がなくなったのに気が付くとD組に行ってしまっていて、こっそりと花井の姿を見て帰る。そんな事を繰り返していた。
花井の事が気になってしょうがない。
顔を真っ赤にさせてもじもじとする姿や遠慮がちに話す姿。
全てが可愛くて、もっと一緒にいたいし笑顔が見たいと思ってしまう。
番になれるわけでもないのに何でこんなに気になってしまうのか…。
花井の事を想うだけで何でこんなに胸がドキドキと騒ぐのか。
もうこうなれば認めるしかなかった。
俺のこの気持ちは『恋』で、俺は花井に恋してる―――――。
俺は「よし」と頷くと花井に会う為にD組を訪れた。
が、教室を見回してみても花井の姿はなかった。
今日こそは花井に自分の気持ちを伝えようと思ったのに……。
しょんぼりと肩を落としていると後ろから声をかけられた。
「芦崎くん、どうしたの?まさか僕にアピール…?」
しぐれだった。
「あーちがうちがう。俺相手いるやつにしつこくするつもりないから」
怪訝そうな顔で俺を見るしぐれ。
まぁそりゃそうだよな。じゃあ何でここにいるんだって話だよ。
「―――花井…に……」
「菫くん?菫くんならE組の人に呼ばれて今いないよ?」
「―――え?何で呼ばれて…?」
「何でってアピールじゃない」
「アピール???何の?」
「は?何言ってるの?αがΩを呼び出す理由なんて一つでしょ?菫くんの番にして欲しいってアピールじゃない」
Ω……?番……?
だって―――
「花井はβ……」
「何言ってるのさ。菫くんは立派なΩだよ?フェロモンが薄いからってあんまりふざけた事言ってると僕が赦さないよ?ご機嫌なαだからって何でも赦されるなんて思わないでね?」
怖い顔でギロリと俺の事を睨むがまったく怖くないし気にならない。
そんな事より――――。
花井がΩ………。嘘だ……。だって薄いって言ったってフェロモンに気づかないわけが……。
―――あ、もしかしてシャンプーの匂いだって思ったあれはフェロモンだった?
「―――ごめ…。しぐれ、花井どこに呼び出されたか知ってるか?」
「え?えーと校舎裏だったと思うけど…。え?行くの?それって野暮じゃない?邪魔とか、ルール違反でしょ?」
それでも俺は行かなくちゃ。
しぐれにロクに返事をする事もせず校舎裏に向って走り出していた。
βだって思ってた時から気になっていた。
本当はしぐれにアピールする為に通っていた時も花井の事が可愛いって思っていた。
αとβじゃ番えないからブレーキかけてたけど、もういいかなって思えた。
今日こそ自分の正直な気持ちを伝えて花井が頷いてくれるなら俺は花井の手を取りたいって、この先の未来を一緒に歩いて行きたいって思ってた。
俺はご機嫌なαだからβを愛してもいいんじゃないかって思ったのに。
なのに花井はΩで別のαからアピールされてるとか―――そんなの我慢できるわけがない!
初めてなんだ。
何を失ってでも笑ってた俺が……全く笑えないなんて!
しぐれにアピールしていた頃より頻繁にだ。
もうしぐれにアピールする必要がなくなったのに気が付くとD組に行ってしまっていて、こっそりと花井の姿を見て帰る。そんな事を繰り返していた。
花井の事が気になってしょうがない。
顔を真っ赤にさせてもじもじとする姿や遠慮がちに話す姿。
全てが可愛くて、もっと一緒にいたいし笑顔が見たいと思ってしまう。
番になれるわけでもないのに何でこんなに気になってしまうのか…。
花井の事を想うだけで何でこんなに胸がドキドキと騒ぐのか。
もうこうなれば認めるしかなかった。
俺のこの気持ちは『恋』で、俺は花井に恋してる―――――。
俺は「よし」と頷くと花井に会う為にD組を訪れた。
が、教室を見回してみても花井の姿はなかった。
今日こそは花井に自分の気持ちを伝えようと思ったのに……。
しょんぼりと肩を落としていると後ろから声をかけられた。
「芦崎くん、どうしたの?まさか僕にアピール…?」
しぐれだった。
「あーちがうちがう。俺相手いるやつにしつこくするつもりないから」
怪訝そうな顔で俺を見るしぐれ。
まぁそりゃそうだよな。じゃあ何でここにいるんだって話だよ。
「―――花井…に……」
「菫くん?菫くんならE組の人に呼ばれて今いないよ?」
「―――え?何で呼ばれて…?」
「何でってアピールじゃない」
「アピール???何の?」
「は?何言ってるの?αがΩを呼び出す理由なんて一つでしょ?菫くんの番にして欲しいってアピールじゃない」
Ω……?番……?
だって―――
「花井はβ……」
「何言ってるのさ。菫くんは立派なΩだよ?フェロモンが薄いからってあんまりふざけた事言ってると僕が赦さないよ?ご機嫌なαだからって何でも赦されるなんて思わないでね?」
怖い顔でギロリと俺の事を睨むがまったく怖くないし気にならない。
そんな事より――――。
花井がΩ………。嘘だ……。だって薄いって言ったってフェロモンに気づかないわけが……。
―――あ、もしかしてシャンプーの匂いだって思ったあれはフェロモンだった?
「―――ごめ…。しぐれ、花井どこに呼び出されたか知ってるか?」
「え?えーと校舎裏だったと思うけど…。え?行くの?それって野暮じゃない?邪魔とか、ルール違反でしょ?」
それでも俺は行かなくちゃ。
しぐれにロクに返事をする事もせず校舎裏に向って走り出していた。
βだって思ってた時から気になっていた。
本当はしぐれにアピールする為に通っていた時も花井の事が可愛いって思っていた。
αとβじゃ番えないからブレーキかけてたけど、もういいかなって思えた。
今日こそ自分の正直な気持ちを伝えて花井が頷いてくれるなら俺は花井の手を取りたいって、この先の未来を一緒に歩いて行きたいって思ってた。
俺はご機嫌なαだからβを愛してもいいんじゃないかって思ったのに。
なのに花井はΩで別のαからアピールされてるとか―――そんなの我慢できるわけがない!
初めてなんだ。
何を失ってでも笑ってた俺が……全く笑えないなんて!
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説


前代未聞のダンジョンメーカー
黛 ちまた
ファンタジー
七歳になったアシュリーが神から授けられたスキルは"テイマー"、"魔法"、"料理"、"ダンジョンメーカー"。
けれどどれも魔力が少ない為、イマイチ。
というか、"ダンジョンメーカー"って何ですか?え?亜空間を作り出せる能力?でも弱くて使えない?
そんなアシュリーがかろうじて使える料理で自立しようとする、のんびりお料理話です。
小説家になろうでも掲載しております。

スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。

ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~
にくなまず
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。
その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。
そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。
『悠々自適にぶらり旅』
を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

伯爵夫人のお気に入り
つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。
数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。
喜ぶ伯爵夫人。
伯爵夫人を慕う少女。
静観する伯爵。
三者三様の想いが交差する。
歪な家族の形。
「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」
「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」
「家族?いいえ、貴方は他所の子です」
ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。
「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
だが夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる