上 下
412 / 421
衝撃の新学年編

新クラス

しおりを挟む
 僕と雪乃、毛利さんを始め全校生徒が体育館に向かう。
 始業式は、入学式も兼ねているのだった。
 新入生とその父兄も沢山やって来ていて、体育館はいっぱいだ。
 2年生が座る席へ誘導する教師たち、その中に、ベージュ色のスーツを着て、髪が肩あたりまで伸びている女教師が目に入った。
 あれは島津先生だ。
 早速、顔を合わせる羽目になったか…。

 島津先生は僕の姿を見つけると声を掛けてきた。
「武田君、おはよう」

「お、おはようございます」

「今年度もよろしくね」
 島津先生はそういうと、ほほ笑んだ。
 不気味は微笑みに見えるのは気のせいだろうか…。
“よろしく”の意味は、“歴史研をよろしく”とか、“卓球部に入部よろしく”とか、いろんな意味が含まれてそう。
 今は、卓球の話は出なかったが、今後も油断しないようにしないと。
 とりあえず、2年D組の席に座った。

 校長先生と、伊達生徒会長のありがたい長い話を眠気をこらえつつ聞いて、1時間と少し経つと入学式は終わった。

 そして、再び雪乃と毛利さんと連れ立って教室へ移動する。
 体育館を出たところで、見覚えのある小柄な金髪ギャルがいた。
 上杉先輩だ。

「キミィ! 今日も女子を引き連れてるね」
 と言ってニヤつく。

「おはようございます…。別に引き連れている訳じゃあないですよ…」

「「おはようございます」」
 雪乃と毛利さんも上杉先輩に挨拶をする。

 上杉先輩は手をあげて2人も挨拶を返すと、再び僕に向き直って言う。
「今日、部室に集合ね」

「え? 今日って、別に活動の予定はないですよね?」
 歴史研は平日は活動なく、いつも部室でダベっているだけだから、用事が無ければさっさと帰りたいのだが。

「何、言ってるの? 前部長からの引継ぎがあるでしょ! 新部長!」

 そうだった。部長になったんだった。不本意だったが。
 引継ぎって何をやるんだろ?

「じゃあ、よろしくねー」
 上杉先輩はそういうと、さっさと校舎の中に消えていった。

 僕らも新しい教室に向かう。
 教室に入ると、黒板に座席表が書いてあって、その通りに座る。
 出席番号順で、僕の席はちょうど真ん中らへんの座席。

 雪乃は早速、陽キャグループで集まって話をしている。
 グループの中には1年の時、同じクラスで僕を女子トイレに引きずり込んで、僕の股間を蹴った名前は確か、ミユ、がいる。
 苗字はなんだっけ? まあいいや。
 雪乃とは仲が良いみたいだが、また蹴られたらいやなので僕はあまり近づかないようにしよう。

 僕は椅子に座ると、教室の中を見回して、雪乃、毛利さん以外に知っている人がいないか確認する。
 悠斗は、やはりいないようだな。
 おや。サッカー部所属で、ゲーム内でいつも一緒の六角君がいる。
 VRMMORPGの情報交換がいつでもできそうだ。

 あとは…。さらに僕はあたりを見回す。
 あっ、あれは、学校一の美少女の水泳部所属の赤松さんではないか。
 彼女とはバレンタインデーで、ちょっと事件があったから気まずいな…。
 などど考えていると、いきなり背中をたたかれた。

「武田氏!」

「痛たたたた…」
 僕は背中をさすりながら、振り返った。
 そこには小柄なポニーテールの女子が立っていた。
 ええと…、確か水泳部の…。
「山名さん?」

「そうそう、山名。クラスが一緒になったね。よろしくね」
 彼女はテンション高めで言った。

「う、うん。よろしく…」
 山名さん、ちょっと苦手だ。

 あとは、顔を知っている程度の人がちらほら。
 1年の時、別のクラスで、絡みがなかった人は全然わからないな。

 そうこうしていると、新担任の島津先生がやってきた。
 今日のところは、彼女は4月上旬の予定を簡単に説明をして、1時間もしないうちに解散となった。
 本格的な授業は明日からだ。

 そんなこんなで、僕と毛利さんは教室を後にして歴史研の部室に向かう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...