雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

谷島修一

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暁を覚えない春眠編

4月1日

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 今日から4月。
 そして、ついに来てしまった歴史研恒例のお城巡りの旅。
 5日間、 “青春18きっぷ” で岡山、香川、徳島へ向かう。
 まず拠点となる宿泊するホテルのある岡山に向かうのだが、初日の移動では、なんと東京から12時間以上掛かると言う。
 僕のこれまでの旅で最長の記録なりそうだ。

 しかし、今回は朝は早くなく、8時にいけふくろう前に集合になっている。
 1日目は移動だけになるので、いつもよりやや遅く集合となったようだ。
 早いときは朝の5時台に集合もあったからな。ちょっと楽。

 朝7時に起き出して着替えて、準備してあったカバンを持って自分の部屋を出た。
 ダイニングに行くと、今回の旅に参加する妹もすでに起きていて、朝食を食べていた。
「あっ、おにいちゃん、おはよう」

「おはよう」

「今日から楽しみだなー」
 妹はテンション高そうに言う。

 一方の僕は、テンションは低い。
 なんせ、岡山まで12時間以上かかるからな。疲れそうだ。

 僕も軽く朝食を取ると、妹と一緒に家を出て地下鉄で池袋まで。
 時間はまだ8時前、少し早く着いたので、僕らが一番乗りだった。
 今日は平日なので、人が多い。通勤する人たちが、どんどん通り過ぎていく。

 しばらくして、前田さんがやって来た。
「美咲ちん、お兄さん、おはようー!」
 前田さんも旅が嬉しいのか、テンション高め。

 毛利さん、伊達先輩、上杉先輩も到着して全員がそろった。
 今回はこの6人。また女子だらけの怖い旅になっている。
 絡みがキツイ上杉先輩と妹の2人がそろっているからな、出発前から不安しかない。

 伊達先輩があらかじめ購入しておいた青春18きっぷを各自に渡す。
 伊達先輩は今日の行程を説明する。
 行程は以下の通り、途中乗り換駅も記載。

 池袋~茅ヶ崎~熱海~浜松~豊橋~大垣~米原~姫路~岡山

 順当に行けば12時間15分の旅だが、浜松で昼食を取ろうと言うことになったので、さらに1時間程余分に掛かりそうである。

 まずは池袋駅から湘南新宿ラインに乗る。
 平日ということもあって、電車は結構混んでいた。
 最初は立っていたが横浜を越えると少し席も空いてきたので、座ることが出来た。
 女子たちはおしゃべりをして、楽しそうにしている。
 僕は外を眺めたり、スマホをいじったりして時間をつぶしている。

 その後も順調に電車を乗り換えて行き13時過ぎに浜松に到着。
 青春18きっぷは、途中下車が自由なので改札を一旦出て、駅ビルで浜松餃子を食べる。
 その後、休憩でカフェに行き、合わせて1時間程ほど浜松に滞在。
 再び電車に乗る。

 その後も乗り換えは順調。
 最後の乗り換えの姫路についたころにはもう夜で、辺りは真っ暗になっていた。
 22時6分、ついに岡山に到着。

 そこから徒歩で5,6分程度に距離にあるホテルに向かう。
 途中、コンビニで晩ごはんなどを調達。
 ホテルは少し古い感じがするが、伊達先輩曰く、ここがかなり安かったという。
 そして、朝食と夕食が無料で付いてくると言うのだ。それは、お得だ。
 部屋割りは2人部屋を3つ。
 僕と妹、伊達先輩と上杉先輩、毛利さんと前田さん、となった。
 妹と一緒の部屋は、また絡まれそうだから嫌だったが、他の女子との相部屋はいろいろ問題があるので、仕方なく受け入れた。

 晩ごはんを集まって食べようと言うことになった。
 僕と妹の部屋にメンバーが集結した。
 椅子が足りないので、ソファとかベッドに座ったりして、食ったり飲んだりする。
 僕は早く寝たかったが、妹がずっとテンション高めで、まだまだみんなと話をしたいと言って、いろいろ話している。
 移動中も結構話をしていただろうに、よくこんなに話すことがあるもんだ、と感心するよ。

 宴もたけなわのころ、前田さんが突然僕に言い放った。
「お兄さん」

「なに!」

「私と付き合ってください!」

「はあ?」
 僕は突然のことで、かなり驚いた。

 それを聞いて上杉先輩は腹を抱えてベッドの上でのたうち回りながら笑っている。
「キミのその顔! ゲラゲラ」

 僕の驚いた顔が、そんなにおかしいか?

「今日は4月1日ですよー」
 前田さんが言う。

 ああ、そうか。エイプリルフールか…。
 時計を見ると12時前で、ギリギリまだ4月1日だった。
 やれやれ。
 旅の疲れで、なにかを言う気力もないよ。

「のぞみんが、お兄ちゃんのこと好きになるわけないじゃん?」
 妹は言い放った。
 まあ、そうだろうな。
 
 上杉先輩の笑いが収まると、そろそろ寝ようと言うことになり。
 結局就寝したのは、日付が変わってからだった。
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