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暁を覚えない春眠編

お兄ちゃんだけど愛さえないから監禁するよねっ

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 自室で睡眠中。

 何やら、腕に違和感が…。

「うーん…」

 誰が腕を触ってる…?

 はっ!
 僕は目を開けた。

 するとベッドの横で僕を見下ろしている上杉先輩、妹の美咲、偽妹の前田さんの3人の姿が目に入った。

「えっ?! なんで上杉先輩まで?!」
 僕は身を起こそうとしたら、腕が引っ張られて起き上がることが出来なかった。
 僕は腕を見た。
 すると、しっかりした紐で縛られてベッドの上の柵につながれていた。
 そして、足も同様に縛られているようだ。

「何ですか?! これは?!」
 僕は驚いて尋ねた。

「起きた?」
 上杉先輩は落ち着いた感じで答えた。

「こんなことされたら、誰だって起きますよ?! なんで縛られてるんですか?!」

「罰だよ」

「はあ?! 何の?!」

「美咲ちゃんから聞いたんだけど、キミ、来週のお城巡り行かないって言ってるそうじゃん?」

 昨日の話が早速、伝わったか。

「別にいいじゃあないですか? 僕の入部するときの条件では、幽霊部員でもいいって話だったはず」

「そんなこと言ったっけ?」

「言いましたよ」

「でも、ずっと参加してたじゃん?」

「そ、それは、成り行きで…」

「次期部長のくせに、幽霊とか許されるわけないじゃん?」

「そんなことより」
 妹が割り込んできた。
「お父さんに相談したんだけど、私も一緒に行っていいって」

「はあ?!」

「恵梨香さんも、お兄ちゃんも、いるから大丈夫だろうって」

 続いて偽妹が話をつなげる。
「うちのパパもお金出してくれるから、私も一緒に行きますー」
 偽妹は、嬉しそうにほほ笑んだ。
「だから一緒に行きましょー」

「ということだから、キミが行かないと話にならないよ」
 上杉先輩が言う。

「お断りします」

「じゃあ、このまま一生ベッドに監禁だよ」

「そんな無茶苦茶な」

「諦めてお城巡りに来なよ」

「いやです」

「ふーん。キミ、この状態で拒否するなんて、いい度胸じゃん?」
 上杉先輩はニヤリと笑う。
「アタシ、男の体に興味があるから、動けないキミで色々させてもらう」

「はあ?! ちょっと何をするつもりですか?!」

「ほら、エロマンガとか、保健体育の授業だけじゃあ不十分じゃん?」

 そういうと上杉先輩は寝巻の下に手を掛けようとする。
「取り合えず、パンツ脱がそうか?」

「「おおーっ!」」
 妹と偽妹が歓声を上げる。

「わかりました! お城巡り行きますから! 紐を解いてください!」

「最初からそう言えばいいんだよ」
 上杉先輩は笑いながら、ズボンから手を離した。

「やれやれ」
 僕は脱がされないことになったので、ホッとした。
 お城巡りに行かされるのは、不本意だが。

「そういえばさあ」
 上杉先輩は妹に話しかける。
「子供のころ、兄とお風呂入ってたでしょ?」

「はい、小学校低学年までは一緒に入ってました」

「兄のあそこ見た?」

「え? 見ましたよ」

「成長すると、なんか形が変わってくるらしいんだよね」

「えっ?! そうなんですか?」
 妹は驚いて見せた。

「変形ロボみたいー」
 偽妹が明後日なことを言う。

「ちょっと、どんなふうに変わったか見たくない?」

 僕は会話に割り込む。
「そういうのいいですから、早く解いてください」

「まだいいじゃん、せっかく縛ったのに」
 上杉先輩は不満そうに言う。

「いや…、トイレ行きたいんです」

「いいよ、ここでしても」

「何、言ってるんですか?」

「おもらしプレイとかレベル高いよね」

「もう、いいですから早く!」

「しょうがないなあー」
 上杉先輩はそう言うと、妹、偽妹と一緒に不満そうに紐をほどき始めた。

 紐が解かれたら、僕はトイレに急ぐ。
 間に合った…。

 用をたして、トイレから出ると妹と偽妹が待ち構えていたので、 僕は2人に文句を言う。
「僕のことを縛り付けるなんて、お前らには愛が無いのか?」

「あるわけないじゃん」
 妹は不満そうに答えた。

 僕は、リビングルームに行き時計を見ると朝の9時だった。
 昨日みたいに、早朝じゃあなかった。
 でも、妹と偽妹はジャージ姿だな。
 もう2人でジョギングに行ったのかな?
 などと考えていると、妹が声をかけてきた。
「お兄ちゃん、早くジャージに着替えて来なよ」

「え? まだ走ってないの?」

「これからだよ」

「ええー…」
 しょうがないから付き合うか。

「今日は昨日とは別のコースを走るからね」

「そうなの?」

「昨日のコースは白雪姫がいるから」

「あ、そう」

 僕はジャージに着替える為、自室に戻った。
 すると、上杉先輩は僕のベッドに寝転がってマンガを読んでいた。
 もう、上杉先輩の部屋だな。

「上杉先輩はジョギングしないんですか?」

「しない。君らだけで行ってきなよ」
 上杉先輩はマンガから目線を離すこともなく答えた。

 上杉先輩がいるので風呂の脱衣場でジャージに着替え、妹と偽妹と一緒に雑司ヶ谷をぐるっと一周ジョギングした。

 帰宅後、妹と偽妹は上杉先輩と一緒に、妹の部屋で1日遊んでいたみたいで、その後は絡まれることなく済んだ。
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