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暁を覚えない春眠編
パジャマパーティー~その2
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パジャマパーティーをやるという妹たちの4人に昼ご飯のオムライスを食べさせた後は、食器を洗って片付けて自室に戻った。
妹たちも妹の部屋で籠っている。時折、何やら楽しそうに話をする声や笑い声が聞こえる。
明日は、ショートムービーの撮影で、予定より1日早くクランクアップしそう。
ラストシーンでは、夕暮れの教室で雪乃とのキスシーンがあるんだよな。
撮影スタッフのみんなにキスシーンを見られるのは、さすがに緊張するなあ。
ショートムービーの台本を少しだけ読み返した後は、特にやることもないので、VRMMORPG “色彩の大陸” をプレイしようとVRゴーグルを手にした。
そして、スマホでアプリを立ち上げゴーグルにセットしてゲームスタート。
画面では、友達がログインしているかどうか確認することができる。
ゲーム内での友達というと、悠斗と六角君と、この前ゲーム内で知り合ったユミコさんの3人。
3人ともログインしている様子はない。
悠斗と六角君は学校でサッカー部の活動中だろう。
ユミコさんは、職業などは全く不明。
名前とキャラは女性だけど、中の人はオジサン。きっとそう。
という訳で、ファンタジーの世界の中、1人でチマチマと経験値稼ぎをする。
1時間ほど、初めの街の近くでウロウロしている。
すると、いきなりゴーグルを外された。
ゴーグルを外したのは妹。
妹の他にも前田、丹羽、溝口が部屋の中に入って来ていた。
「またゲームやってる」
妹が怪訝そうに言う。
「エロいやつでしょ?」
「違うよ…。てか、ノックなしに入って来るなよ」
「したけど、返事ないから」
「返事がないなら入って来るなよ」
「まあ、いいじゃん」
僕と妹が話をしている最中、他の3人は僕の部屋の中を物色し始めた。
僕は彼女らに警告する。
「おいおい、あんまり触るなよ」
特に、ベッドと壁の隙間にはエロマンガを数冊、隠してあるからな。
「お兄ちゃん、そんなことより、お願いがあるんだけど」
「なに? お願いって」
「夜、寝る時に私の部屋に4人って、ちょっと窮屈なんだよね」
「まあ、そうだろうな」
「だから、今夜はお兄ちゃんの部屋を開けて、私たちに貸してよ」
「はあ? 僕はどうするんだよ」
「リビングのソファで寝てよ」
「断る」
「別にいいじゃん、ケチ。お正月の時も毛利さんと白雪姫に使わせてあげてたじゃん?!」
「その通りだけど、あの時はあの時、今は今だ」
「滅多にやらないパジャマパーティーなんだから、譲歩してよ」
「いやだ」
僕と妹が押し問答していると、そんな事は気にも止めず、前田さんが僕のベッドに寝転がった。
「私、ここが良いー!」
やはり占領されてしまうのか…。
「お兄さんの匂いがするー」
前田さんは、そう言いつつ、枕に顔を埋める。
「おいおい」
「ん…? お兄さんと違う匂いがするよー。これは…、女の匂い?」
その言葉に妹が反応する。
「お兄ちゃん! どこの女を連れ込んだの?!」
「待て待て、一昨日、上杉先輩がそこで寝てただろ? 上杉先輩の匂いだよ! お前も部屋にいて、僕の横で上杉先輩が寝てたの見てただろ?」
「お兄さんって、女と寝てるんですか?」
溝口さんが白い目で僕を見る。
「いやいやいやいや。一昨日は勝手に上杉先輩って人が潜り込んで来たんだよ。いつもは1人で寝ている」
「どーだか」
妹が睨みつけて来た。
「いや、お前は、いつも僕1人で夜寝てるのは知ってるだろ?」
「寝静まった後に、誰か連れ込んでるかもしれないじゃん」
「そうそう」
丹羽が割り込んできた。
「マンガなんかでよくある、幼馴染が窓から入って来るとかじゃない?」
「そんな、不法侵入してくる幼馴染は居ない。なので、いつも1人で寝てるぞ」
「まあ、昼間はよく女を連れ込んでるけどね」
妹は再び睨みつけて来た。
「”よく”はない」
「毛利さんとか毎日のように来てた時期があったじゃん? ちょっと前には白雪姫とはエロいことしようとしてたし、将棋ユーチューバーとかも連れ込んだし」
「えー」
「すごーい」
「モテモテですね」
前田、丹羽、溝口が、次々と感嘆の声を上げた。
「別にすごくないし、モテてない」
「もう、お兄ちゃんはスケコマシの罪で、夜は部屋を明け渡しなさい!」
「あー、もう面倒くさいから、わかったよ」
「「「「やったー」」」」
4人は歓喜の声を上げた。
そして、交渉で成功を勝ち取って満足した4人は、一旦妹の部屋に引き上げていった。
やれやれ。
僕は再び、VRゴーグルをかぶってファンタジーの世界に没頭する。
こちらの世界のほうが、心が安らぐな。
妹たちも妹の部屋で籠っている。時折、何やら楽しそうに話をする声や笑い声が聞こえる。
明日は、ショートムービーの撮影で、予定より1日早くクランクアップしそう。
ラストシーンでは、夕暮れの教室で雪乃とのキスシーンがあるんだよな。
撮影スタッフのみんなにキスシーンを見られるのは、さすがに緊張するなあ。
ショートムービーの台本を少しだけ読み返した後は、特にやることもないので、VRMMORPG “色彩の大陸” をプレイしようとVRゴーグルを手にした。
そして、スマホでアプリを立ち上げゴーグルにセットしてゲームスタート。
画面では、友達がログインしているかどうか確認することができる。
ゲーム内での友達というと、悠斗と六角君と、この前ゲーム内で知り合ったユミコさんの3人。
3人ともログインしている様子はない。
悠斗と六角君は学校でサッカー部の活動中だろう。
ユミコさんは、職業などは全く不明。
名前とキャラは女性だけど、中の人はオジサン。きっとそう。
という訳で、ファンタジーの世界の中、1人でチマチマと経験値稼ぎをする。
1時間ほど、初めの街の近くでウロウロしている。
すると、いきなりゴーグルを外された。
ゴーグルを外したのは妹。
妹の他にも前田、丹羽、溝口が部屋の中に入って来ていた。
「またゲームやってる」
妹が怪訝そうに言う。
「エロいやつでしょ?」
「違うよ…。てか、ノックなしに入って来るなよ」
「したけど、返事ないから」
「返事がないなら入って来るなよ」
「まあ、いいじゃん」
僕と妹が話をしている最中、他の3人は僕の部屋の中を物色し始めた。
僕は彼女らに警告する。
「おいおい、あんまり触るなよ」
特に、ベッドと壁の隙間にはエロマンガを数冊、隠してあるからな。
「お兄ちゃん、そんなことより、お願いがあるんだけど」
「なに? お願いって」
「夜、寝る時に私の部屋に4人って、ちょっと窮屈なんだよね」
「まあ、そうだろうな」
「だから、今夜はお兄ちゃんの部屋を開けて、私たちに貸してよ」
「はあ? 僕はどうするんだよ」
「リビングのソファで寝てよ」
「断る」
「別にいいじゃん、ケチ。お正月の時も毛利さんと白雪姫に使わせてあげてたじゃん?!」
「その通りだけど、あの時はあの時、今は今だ」
「滅多にやらないパジャマパーティーなんだから、譲歩してよ」
「いやだ」
僕と妹が押し問答していると、そんな事は気にも止めず、前田さんが僕のベッドに寝転がった。
「私、ここが良いー!」
やはり占領されてしまうのか…。
「お兄さんの匂いがするー」
前田さんは、そう言いつつ、枕に顔を埋める。
「おいおい」
「ん…? お兄さんと違う匂いがするよー。これは…、女の匂い?」
その言葉に妹が反応する。
「お兄ちゃん! どこの女を連れ込んだの?!」
「待て待て、一昨日、上杉先輩がそこで寝てただろ? 上杉先輩の匂いだよ! お前も部屋にいて、僕の横で上杉先輩が寝てたの見てただろ?」
「お兄さんって、女と寝てるんですか?」
溝口さんが白い目で僕を見る。
「いやいやいやいや。一昨日は勝手に上杉先輩って人が潜り込んで来たんだよ。いつもは1人で寝ている」
「どーだか」
妹が睨みつけて来た。
「いや、お前は、いつも僕1人で夜寝てるのは知ってるだろ?」
「寝静まった後に、誰か連れ込んでるかもしれないじゃん」
「そうそう」
丹羽が割り込んできた。
「マンガなんかでよくある、幼馴染が窓から入って来るとかじゃない?」
「そんな、不法侵入してくる幼馴染は居ない。なので、いつも1人で寝てるぞ」
「まあ、昼間はよく女を連れ込んでるけどね」
妹は再び睨みつけて来た。
「”よく”はない」
「毛利さんとか毎日のように来てた時期があったじゃん? ちょっと前には白雪姫とはエロいことしようとしてたし、将棋ユーチューバーとかも連れ込んだし」
「えー」
「すごーい」
「モテモテですね」
前田、丹羽、溝口が、次々と感嘆の声を上げた。
「別にすごくないし、モテてない」
「もう、お兄ちゃんはスケコマシの罪で、夜は部屋を明け渡しなさい!」
「あー、もう面倒くさいから、わかったよ」
「「「「やったー」」」」
4人は歓喜の声を上げた。
そして、交渉で成功を勝ち取って満足した4人は、一旦妹の部屋に引き上げていった。
やれやれ。
僕は再び、VRゴーグルをかぶってファンタジーの世界に没頭する。
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