373 / 421
暁を覚えない春眠編
ホワイトデー~その5
しおりを挟む
学校を後にして、サンシャインシティへ向かう。
服飾部につきあっていたので、時間はだいぶ遅くなってしまった。
今日は、これから真帆にホワイトデーのクッキーを渡すために会う約束をしている。
サンシャインシティに着く前に、真帆がどこで待っているのか確認するために、歩きながらLINEアプリを立ち上げてメッセージを送る。
すぐに返事が来た。いつものマックにいるという。
僕は先を急ぐ。
数分後、マックに到着して一番安いドリンクを頼んで受け取ると、店内で真帆の姿を探す。
僕は、すぐに彼女を見つけることが出来た。
席には真帆だけでなく、O.M.G.のメンバーである龍造寺さんと宇喜多さんも一緒に居た。
真帆は僕に気が付くと手を振って挨拶をする。
「純ちゃん、こっちこっち」
「遅くなってごめん」
僕は彼女たちのいる席に着いた。
「大丈夫、みんなで打ち合わせをしてたから」
「そっか」
「それにしても、なんか久しぶりじゃない?」
「そう? 3週間ぶりぐらい?」
「先月までは毎週2回は会ってたじゃん?」
ライブの手伝いで1回、真帆に平日の放課後に呼び出されて1回。
習慣のようになっていた。
「そ、そうだったね。で、最近ライブはどう?」
「前にLINEでも言ったけど、純ちゃんがいなくて物販が大変だよー」
「だよねー。やっぱり、手伝いは必要だよねー」
宇喜多さんが相槌を打った。
「今月はショートムービーの撮影で忙しいんでしょ? 今月いっぱいはかかるんだっけ?」
真帆が質問をする。
「そうだよ」
「春休みは?」
「撮影は今週末と来週末の4日で終わる予定。だから、春休みは撮影はないよ」
「春休みは、お城巡りなんでしょ?」
「いや…、どうだろう?」
春休みの予定は何も伊達先輩に聞いていない。
今月は何かと忙しかったからな。
そもそも僕がお城巡りに参加するとも、しないとも考えていなかった。
参加しない方向で考えてはいるが。
「じゃあさ」
真帆が続ける。
「春休みに右寿のうちに遊びに行くんだけど、純ちゃんも来る?」
「え? いいの?」
「いいよ。大歓迎」
宇喜多さんが答えた。
「右寿のうち、豪邸だよ」
真帆が微笑んで言う。
「そうなんだ」
宇喜多さんは茶道をやっているって言っていたし、お金持ちの雰囲気がしたけど、本当にお金持ちなのか。
そうだ!
宇喜多さんのお姉さんに、久しぶりに会いたいなぁ。
僕がO.M.G.の手習いをすることになったのは、宇喜多姉とお近づきになりたいからだった。全然、達成できてないけど。
完全に、忘れてたな。
ひょっとしたら、宇喜多姉にも会えるかもしれない。
「じゃあ、行くよ」
僕は答えた。
春休みは、歴史研のお城巡りは放っておいて、宇喜多邸訪問を優先してもいいだろう。
「それで、なにか用だったんでしょ?」
真帆は話題を変えた。
そうだった。今日の本題はホワイトデーの件。
僕は、クッキーを2つ取り出して真帆に渡した。
「これ…、バレンタインのお返し。つまらないものだけど。1つは真帆に、もう1つはO.M.G.に」
同じクッキーが2つって芸がなかったな。
別の物にした方がよかったかな?
「ありがとう」
真帆はクッキーを受け取ると礼をいってくれた。
「1つは、右寿と佐和でわけなよ」
そう言って、真帆は龍造寺さんと宇喜多さんに1つ渡すと、2人も礼を言ってくれた。
「うちら女子校じゃない? だから、ホワイトデーとか全然盛り上がらないんだよねー」
真帆はクッキーの入った袋を見ると、ちょっと残念そうに言う。
「他の学校の生徒と交流は無いの?」
僕は尋ねた。
「人によっては、他の学校の男子と仲良くやっている人もいるけど、かなりの少数派はだよ」
「そっか」
「だから、この前、合コンのセッティングをお願いしたんじゃん?」
そういえば、そうだ。
以前、真帆たちにお願いされて、合コンをやったんだっけ。
女子はO.M.G.の3人で、男子は僕と悠斗と片倉先輩が参加したのだ。
「あの時の参加者と連絡を取り合ってないの?」
「全然」
龍造寺さんが答えた。
「片倉さんとは、SNSの運用の件でしばらくやり取りしてたけど、今は全然」
宇喜多さんはそう答えた。
「今度さあ」
龍造寺さんが前のめりになって話しかけて来た。
「また、合コンをセッティングしてよ」
「ええっ?! やだよ」
これまでに、O.M.G.の合コンと歴史研の合コンを2回セッティングしたことがあるが、大して楽しいと感じなかったからな。
そもそも友達のいない僕を幹事をさせるなんて、見る目がない。
その後も他愛のない話をして20分ほど過ごすと、もう時間もだいぶ遅くなったので解散することになった。
服飾部につきあっていたので、時間はだいぶ遅くなってしまった。
今日は、これから真帆にホワイトデーのクッキーを渡すために会う約束をしている。
サンシャインシティに着く前に、真帆がどこで待っているのか確認するために、歩きながらLINEアプリを立ち上げてメッセージを送る。
すぐに返事が来た。いつものマックにいるという。
僕は先を急ぐ。
数分後、マックに到着して一番安いドリンクを頼んで受け取ると、店内で真帆の姿を探す。
僕は、すぐに彼女を見つけることが出来た。
席には真帆だけでなく、O.M.G.のメンバーである龍造寺さんと宇喜多さんも一緒に居た。
真帆は僕に気が付くと手を振って挨拶をする。
「純ちゃん、こっちこっち」
「遅くなってごめん」
僕は彼女たちのいる席に着いた。
「大丈夫、みんなで打ち合わせをしてたから」
「そっか」
「それにしても、なんか久しぶりじゃない?」
「そう? 3週間ぶりぐらい?」
「先月までは毎週2回は会ってたじゃん?」
ライブの手伝いで1回、真帆に平日の放課後に呼び出されて1回。
習慣のようになっていた。
「そ、そうだったね。で、最近ライブはどう?」
「前にLINEでも言ったけど、純ちゃんがいなくて物販が大変だよー」
「だよねー。やっぱり、手伝いは必要だよねー」
宇喜多さんが相槌を打った。
「今月はショートムービーの撮影で忙しいんでしょ? 今月いっぱいはかかるんだっけ?」
真帆が質問をする。
「そうだよ」
「春休みは?」
「撮影は今週末と来週末の4日で終わる予定。だから、春休みは撮影はないよ」
「春休みは、お城巡りなんでしょ?」
「いや…、どうだろう?」
春休みの予定は何も伊達先輩に聞いていない。
今月は何かと忙しかったからな。
そもそも僕がお城巡りに参加するとも、しないとも考えていなかった。
参加しない方向で考えてはいるが。
「じゃあさ」
真帆が続ける。
「春休みに右寿のうちに遊びに行くんだけど、純ちゃんも来る?」
「え? いいの?」
「いいよ。大歓迎」
宇喜多さんが答えた。
「右寿のうち、豪邸だよ」
真帆が微笑んで言う。
「そうなんだ」
宇喜多さんは茶道をやっているって言っていたし、お金持ちの雰囲気がしたけど、本当にお金持ちなのか。
そうだ!
宇喜多さんのお姉さんに、久しぶりに会いたいなぁ。
僕がO.M.G.の手習いをすることになったのは、宇喜多姉とお近づきになりたいからだった。全然、達成できてないけど。
完全に、忘れてたな。
ひょっとしたら、宇喜多姉にも会えるかもしれない。
「じゃあ、行くよ」
僕は答えた。
春休みは、歴史研のお城巡りは放っておいて、宇喜多邸訪問を優先してもいいだろう。
「それで、なにか用だったんでしょ?」
真帆は話題を変えた。
そうだった。今日の本題はホワイトデーの件。
僕は、クッキーを2つ取り出して真帆に渡した。
「これ…、バレンタインのお返し。つまらないものだけど。1つは真帆に、もう1つはO.M.G.に」
同じクッキーが2つって芸がなかったな。
別の物にした方がよかったかな?
「ありがとう」
真帆はクッキーを受け取ると礼をいってくれた。
「1つは、右寿と佐和でわけなよ」
そう言って、真帆は龍造寺さんと宇喜多さんに1つ渡すと、2人も礼を言ってくれた。
「うちら女子校じゃない? だから、ホワイトデーとか全然盛り上がらないんだよねー」
真帆はクッキーの入った袋を見ると、ちょっと残念そうに言う。
「他の学校の生徒と交流は無いの?」
僕は尋ねた。
「人によっては、他の学校の男子と仲良くやっている人もいるけど、かなりの少数派はだよ」
「そっか」
「だから、この前、合コンのセッティングをお願いしたんじゃん?」
そういえば、そうだ。
以前、真帆たちにお願いされて、合コンをやったんだっけ。
女子はO.M.G.の3人で、男子は僕と悠斗と片倉先輩が参加したのだ。
「あの時の参加者と連絡を取り合ってないの?」
「全然」
龍造寺さんが答えた。
「片倉さんとは、SNSの運用の件でしばらくやり取りしてたけど、今は全然」
宇喜多さんはそう答えた。
「今度さあ」
龍造寺さんが前のめりになって話しかけて来た。
「また、合コンをセッティングしてよ」
「ええっ?! やだよ」
これまでに、O.M.G.の合コンと歴史研の合コンを2回セッティングしたことがあるが、大して楽しいと感じなかったからな。
そもそも友達のいない僕を幹事をさせるなんて、見る目がない。
その後も他愛のない話をして20分ほど過ごすと、もう時間もだいぶ遅くなったので解散することになった。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる