雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

谷島修一

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暁を覚えない春眠編

座談会

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 妹と前田さんは、僕の部屋に居座っている。
 その2人に僕と毛利さんは、ローテーブルを囲んで座っている状況。
 まるで座談会だな。

 妹は毛利さんにいろいろと質問をする。

「前から聞きたかったんですけど!」
 妹が尋ねる。
「この冴えない男のどこが良いんですか?」

「え? いいところ、たくさんあると思うけど…?」
 毛利さんは答える。
 えっ? 沢山あるの?
 それは、聞きたいな。

「えーっ! 例えばどこですか?」
 妹は、さらに尋ねる。

「優しいところとか」

「えーっ! 全然優しくないですよ! 意地悪だし」

 僕はツッコミを入れる。
「意地悪なんかしてないだろ?!」

 僕のツッコミを無視して、妹は質問を続ける。
「他には?」

「勉強も、ちゃんとする努力家だし」
 毛利さんは淀みなく答える。

「勉強してるふりですよ! その証拠に成績は真ん中あたりじゃあないですか?」

 妹の反論に、僕はツッコミを入れる。
「真ん中じゃあない、中の上だ。それに、学年9位も取ったことがあるぞ」

 僕のツッコミを今回も無視して、妹は質問を続ける。
「他には?」

「スポーツも、まあまあ出来るし」

 これには、前田さんが同意する。
「そうだー! 卓球も上手いですもんねー。私も勝負で負けたし」

「中学生相手に、高校生が本気になるなってーの!」
 妹は、どうしても僕をディスりたいらしいな。
「そもそも、毛利さんはいつからお兄ちゃんと知り合いなんでしたっけ?」

「中学1年からよ」

 そうなのだ、僕と毛利さんは、おな中で、1年と2年の時はクラスも一緒だった。

 毛利さんは話を続ける。
「教室で一緒だったし、放課後、図書館に良く居たし」

「この男は、陰キャで友達がいないから、図書館に引きこもってたんですよ、きっと!」
 妹は叫んだ。

 それは妹が正しい。
 でも、ということは毛利さんは、中学の時も図書委員だったのかな?
 そして図書館で見られていた、ってこと?

「じゃあ、中学の時から好きだったんですかー?」
 前田さんがとんでもないことを質問した。

「え…? うん…」

 え? そうなの?!

「「おおーっ!」」
 妹と前田さんは歓声を上げた。

「高校も一緒になってよかったですねー」
 前田さんは嬉しそうに言った。

「うん」
 毛利さんはちょっと恥ずかしそうに答えた。

「でも」
 妹は強い口調で言う。
「考え直した方がいいですよ! あの白雪姫とエロいこと沢山してるんですよ! 2股ですよ!」

「エロいことはしていない!」
 僕は即座に否定した。せいぜい、キスだけだぞ。
「それに何で2股になるんだよ、僕は誰とも付き合ってないぞ」

 妹は、僕の話を聞いていない。
「他の女にも手を出そうとしているし、ハーレムを作ろうとしているに違いないです!」

 妹は聞かないが、この状況に僕はツッコミを入れずにはいられない。
「おい、いつ僕が他の女に手を出したっていうんだ?!」

「この前も将棋の人を連れてきてたじゃん!」

「成田さんは、ただ部屋に遊びに来ただけだろ」

「それに、バレンタインでもチョコ何十個も、もらってきてたじゃん!」

「何十個もないだろ。15個だぞ!」

「十分だよ! 全員に手を出そうとしてるでしょ?!」

「するか!」

 もう、妹の言いがかりが不条理極まりない。
 聞いているのがしんどくなってきたので、毛利さんには悪いがちょっと部屋を離れることにした。

 自分のコーヒーのマグカップを持って、部屋を出た。
 1階の台所に向かう。
 そして、リビングルームのソファに座ってテレビでも見る。

 30分ばかり経ったら、毛利さんが気になって来た。
 妹にいびられたりしてないだろうか。もはや小姑だな。
 そろそろ、部屋に戻ろうと思った。
 その前に、毛利さんにもう一杯コーヒー持って行ってあげよう。
 ついでに、妹と前田さんにもジュースでも持って行ってあげるか…。

 という訳でトレイに3人分の飲み物を乗せて自分の部屋に戻った。

 するとそこでは、前田さんが立ち上がって、僕のVRゴーグルをかぶって何かゲームをやっている。
 と、それを笑いながら見ている妹。
 と、静かに見守る毛利さん。

 一体なぜこうなった?

 僕は、ローテーブルに飲み物を置いて座る。
 毛利さんは、それに礼を言ってくれた。
 そして、僕は前田さんが何かのVRゲームをやっていて、動き回っているのを見る。
 人がゴーグルをかぶってVRゲームをやっている姿は、シュールだよな…。

 しばらくして一段落付いたようで、前田さんはゴーグルを外した。
 前田さんは僕の姿を見て、申し訳なさそうに話しかけた。
「すみませーん。勝手にゴーグルを使っちゃってー。机の上にあったのが気になって」

「別に、良いよ」

 前田さんはゴーグルから自分のスマホを抜いてからローテーブルの傍らに座った。

「あー。ジュースありがとうございますー。お兄さん、やっぱり優しいですねー」

「ほらほら。これが人の評価だよ」
 僕は嫌味っぽく妹に言う。

「のぞみん! ジュースぐらいでごまかされちゃダメ!」
 妹は僕を睨みつけた。
「あと、VRでネットを検索したら、結構エロいのも沢山あったんだけど?! そう言うのはやってないよね?!」

「えっ!? やってないよ!」
 そうなのか、後で探してみよう。

 もう少しだけ世間話をしたら、毛利さんと前田さんはそれぞれ自分の家に帰って行った。
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