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チョコレート狂騒曲編
ホワイトデー対策会議
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水曜日の夜。
悠斗と六角君と、久しぶり一緒にVRMMORPG“色彩の大陸”を短時間だが、やろうということになった。
悠斗たちは相変わらずサッカー部が忙しいが、たまにはやってないとカンが戻らなくなるので、という事らしい。
一方の僕は、平日はヒマ人なのだが、ゲームをさほどやっていなかった。
ということで、万年初心者3人の剣士パーティーで、初めの街の近くの狩場でウロウロして経験値を稼ぐ。
あまり騒ぐと妹がうるさいので、なるべく静かにやる。
僕らは、雑魚敵を倒しながら会話をする。
「そう言えば」
僕はチャットで2人に話しかけた。
「この前、雪乃…、織田さんがこのゲームをやったんだけど、ドラゴン倒したらしいよ」
「えっ?! それはスゴイね」
六角君は驚いた。
「織田さんは、運動神経良いから、こういう身体も使うゲームは得意なんじゃないか?」
悠斗が尋ねた。
「うん。球技大会の時もバスケの試合をしているところを見たけど、かなり動きが良かったよ」
「でも、ドラゴンってどこにいるんだろ? よく見つけたね」
「そうだよね? どこで倒したかは聞かなかったな」
「僕らがやってない時に、期間限定イベントでもあったのかもしれないね。調べておくよ」
悠斗はそう言いつつ、雑魚敵を剣で倒す。
そう言えば、悠斗には聞きたいことがあった。
「なあ、悠斗」
僕は話しかけた。
「ホワイトデーのお返しはどうするつもりなの?」
バレンタインデーには、モテモテで両手にチョコいっぱいの紙袋を持っていた悠斗がお返しをどうするつもりなのか気になる。
去年は、僕はチョコをもらえなかったので、ホワイトデーのことなんか気に無くてもよかったのが、今年はそうはいかないからな。
「うーん。去年と同じに、コンビニのキャンディでも返すことにするよ」
「そんなんでいいの?」
「あまり高いお返しだと、大変だよ」
悠斗は苦笑する。
「純也も今年はたくさんもらったんでしょ?」
「うん。15個。だからお返しが大変なことに」
「へー。隅に置けないね」
「やるなあ」
六角君も僕の15個に驚いた様子。
「俺なんか5つだよ」
それはそれで大したもんだと思うけど。
「まあ、サッカー部はそれだけで少しモテるからね」
悠斗は解説する。
「ところで、本命チョコと義理チョコでお返しに差をつけるもんかな?」
ホワイトデー未経験の僕はさらに尋ねた。
「いや。差はつけないよ。差をつけて、特別って思われたら後々面倒じゃん。だから、全員同じものだよ」
「そうかー」
「まあ、純也が特別に想っている人がいるんだったら、区別してもいいんじゃあないかな」
「そういう人はいない」
そう言えば、もう1つ悠斗に聞きたいことがあった。
「バレンタインデーの時さ、毛利さんが悠斗にチョコあげてたでしょ?」
「ああ。もらったな」
「あれは義理チョコなのかい?」
「え? 義理でしょ? 本人は明確には言わないけど」
「そうか…」
「なんだい? 気になるのかい? 純也、前に自分で振ったんだよね」
「そうだけど、別に気になっているわけじゃあないよ」
ちょっと気になるけどな。
待てよ。
悠斗が前々から好きな相手がいると言っていたが、もしかして毛利さん?
いや、そんなことはないか…?
「チョコもらった時に少し話をしてたようだけど、何を話してたの?」
「いや、なんでも相談事があるから、そのうちに時間をくれって言われたな」
「相談事? なんだろう?」
「さあ? まあ、そのうちに毛利さんのほうから話して来るでしょ?」
悠斗の言う通り、僕は毛利さんを振った身だ。
悠斗と毛利さんの関係がどうだろうと、僕には何も言う権利は無い。
僕らはもう少しゲームを楽しんでから早めに終了した。
悠斗と六角君と、久しぶり一緒にVRMMORPG“色彩の大陸”を短時間だが、やろうということになった。
悠斗たちは相変わらずサッカー部が忙しいが、たまにはやってないとカンが戻らなくなるので、という事らしい。
一方の僕は、平日はヒマ人なのだが、ゲームをさほどやっていなかった。
ということで、万年初心者3人の剣士パーティーで、初めの街の近くの狩場でウロウロして経験値を稼ぐ。
あまり騒ぐと妹がうるさいので、なるべく静かにやる。
僕らは、雑魚敵を倒しながら会話をする。
「そう言えば」
僕はチャットで2人に話しかけた。
「この前、雪乃…、織田さんがこのゲームをやったんだけど、ドラゴン倒したらしいよ」
「えっ?! それはスゴイね」
六角君は驚いた。
「織田さんは、運動神経良いから、こういう身体も使うゲームは得意なんじゃないか?」
悠斗が尋ねた。
「うん。球技大会の時もバスケの試合をしているところを見たけど、かなり動きが良かったよ」
「でも、ドラゴンってどこにいるんだろ? よく見つけたね」
「そうだよね? どこで倒したかは聞かなかったな」
「僕らがやってない時に、期間限定イベントでもあったのかもしれないね。調べておくよ」
悠斗はそう言いつつ、雑魚敵を剣で倒す。
そう言えば、悠斗には聞きたいことがあった。
「なあ、悠斗」
僕は話しかけた。
「ホワイトデーのお返しはどうするつもりなの?」
バレンタインデーには、モテモテで両手にチョコいっぱいの紙袋を持っていた悠斗がお返しをどうするつもりなのか気になる。
去年は、僕はチョコをもらえなかったので、ホワイトデーのことなんか気に無くてもよかったのが、今年はそうはいかないからな。
「うーん。去年と同じに、コンビニのキャンディでも返すことにするよ」
「そんなんでいいの?」
「あまり高いお返しだと、大変だよ」
悠斗は苦笑する。
「純也も今年はたくさんもらったんでしょ?」
「うん。15個。だからお返しが大変なことに」
「へー。隅に置けないね」
「やるなあ」
六角君も僕の15個に驚いた様子。
「俺なんか5つだよ」
それはそれで大したもんだと思うけど。
「まあ、サッカー部はそれだけで少しモテるからね」
悠斗は解説する。
「ところで、本命チョコと義理チョコでお返しに差をつけるもんかな?」
ホワイトデー未経験の僕はさらに尋ねた。
「いや。差はつけないよ。差をつけて、特別って思われたら後々面倒じゃん。だから、全員同じものだよ」
「そうかー」
「まあ、純也が特別に想っている人がいるんだったら、区別してもいいんじゃあないかな」
「そういう人はいない」
そう言えば、もう1つ悠斗に聞きたいことがあった。
「バレンタインデーの時さ、毛利さんが悠斗にチョコあげてたでしょ?」
「ああ。もらったな」
「あれは義理チョコなのかい?」
「え? 義理でしょ? 本人は明確には言わないけど」
「そうか…」
「なんだい? 気になるのかい? 純也、前に自分で振ったんだよね」
「そうだけど、別に気になっているわけじゃあないよ」
ちょっと気になるけどな。
待てよ。
悠斗が前々から好きな相手がいると言っていたが、もしかして毛利さん?
いや、そんなことはないか…?
「チョコもらった時に少し話をしてたようだけど、何を話してたの?」
「いや、なんでも相談事があるから、そのうちに時間をくれって言われたな」
「相談事? なんだろう?」
「さあ? まあ、そのうちに毛利さんのほうから話して来るでしょ?」
悠斗の言う通り、僕は毛利さんを振った身だ。
悠斗と毛利さんの関係がどうだろうと、僕には何も言う権利は無い。
僕らはもう少しゲームを楽しんでから早めに終了した。
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