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チョコレート狂騒曲編

岐阜城(日本100名城 No.39)

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 松阪からJRに乗り、名古屋で乗り換えて岐阜まで。
 岐阜駅前には、金ぴかの織田信長の像があった。
 金ぴかに反応したのか、上杉先輩は興奮しながら写真をスマホでしきりに撮っていた。

 岐阜駅からはバスで移動。
 15時半ごろには金華山ロープウェイの山麓駅までやって来た。
 そうなのだ。岐阜城は金華山の頂上にあたりにあるのだか、そこまでロープウェイが使える。
 徒歩で登ることも可能なそうだが、徒歩だったら岐阜城には行かずに麓で待ってるな。

 そんなこんなで、ロープウェイのきっぷを買う。往復で1100円。
 他にもまあまあ観光客が居て並んで少し待つ。
 ゴンドラが来たので乗り込んで、約4分。山頂駅に到着。
 少し進むと展望台があって、岐阜市内が一望できた。

 いい景色だなあ。

 みんなで風景を楽しんでいるところに、上杉先輩が僕に話しかけて来た。

「あの川ってさあ」
 眼下を流れる川を指さして言う。
「鵜飼で有名な長良川でしょ?」

「確か、そうですね」

「鵜飼って、鵜が魚を捕まえてきてくれるんでしょ?」

「そうですよ」

「私にも、金持ちイケメンをつかまえてきてくれる鵜がいないかなあ」

「そんなの、いるわけないですよ」

 上杉先輩は続けて絡んでくる。
「そういえば、鵜ってリードにつながれているんでしょ?」

「確かそうですね。TVか何かで見た記憶があります。でもあれって、リードって言うんですか?」

「キミもこの前、リードにつながれてたよね?」

「えっ? あ、ああ…、奴隷をやらされていた時のことですか?」

「そうそう」

 ここで会話に真帆が割り込んできた。
「えっ?! 奴隷やってた?!」

 そりゃ、おどろくよな。

「そうそう」
 上杉先輩が説明する。
「武田君は、そういうプレイが大好きなんだよ」

「何、言ってるんですか? 先輩がさせたんでしょ?」

「それは、私の胸を触った罰しょうが。通報されなかっただけでもありがたいと思いなよ」

「えっ?! 胸を触った?!」
 真帆が驚く。
「武田君って、痴漢?!」

 当然否定する。
「違う! 違う! あれは寝ぼけてたから不可抗力!」

「細川ちゃんも、武田君に揉まれないように気をつけてね」
 上杉先輩は笑いながら言った。

 などと、アホなことをやってる場合ではない。
 さっさと先を急ぐ。
 徒歩で10分ほど歩くと岐阜城に到着した。

 岐阜城。
 二階堂行政が金華山山頂に砦を築いたのが始まりとされる。
 当初、稲葉山城と呼ばれ、斎藤道三公の居城でもあった。
 1567年、織田信長公がこの城を攻略し、地名「井の口」を「岐阜」と改称した。
「稲葉山城」の名前も「岐阜城」と改められる。
 1600年、関ヶ原合戦の前哨戦で落城。
 現在の岐阜城は、1956年(昭和31年)に再建された。鉄筋コンクリート造り。

 一行は入城料200円を払って、中を見学する。
 さらに岐阜城のすぐ東に岐阜城資料館があってそちらも見学。

 岐阜城を堪能したら、再びロープウエイ、バス、JRと乗り継いで一旦ホテルに。
 その後、O.M.G.と徳川さんはライブに出演するために昨日と同じライブハウスへ向かった。
 無論、僕も同行する。

 パフォーマンスも無事終わり、物販タイム。
 昨日と同じお客さんが多目だったので、グッズはさほど売れなかったが、チェキはまあまあ売れた。
 そして、ホテルに戻る。
 ロビーで、僕は真帆に話しかける。
「ちょっと、上杉先輩と話がしたいので、女子の部屋行ってもいいかな?」

「いいと思うよ」

 真帆の許可を得たので、女子たちが泊っている豪華な部屋にやって来た。

「もどりました~」
 真帆が挨拶して、O.M.G.のメンバーは部屋に入る。
 僕もその後について部屋に入った。
 部屋では、伊達先輩と上杉先輩が畳に座ってくつろいでいた。

「あれ? 毛利さんは?」

「今、お風呂だよ」
 上杉先輩が答える。
「で、なんか用?」

「僕の部屋の鍵の予備、返してくれませんか?」

「なんで?」

「今朝みたいに、いたずらされないようにですよ」

「しないから大丈夫だよ」

「本当ですか?」

「本当だって。もう明日はキミが寝坊でもしない限り、アタシはキミの部屋に行かないから」

「なら、良いんですけど…」
 僕は部屋を見回して話を続けた。
「それにしても、この部屋、豪華でいいですね」

「この部屋は」
 伊達先輩が答える。
「本当は8人まで泊まれるのよ。でも、見て、部屋にはダブルベッドが4つしかないから、武田君がこの部屋に泊まるとしたら、必然的に女子の誰かと添い寝になるのよ」

「そういえば…」
 改めて部屋を見回す。
 確かにベッドの数は4つしかない。

「私と寝る?」
 真帆が割り込んできた。

「えっ?! い、い、いや。遠慮しとくよ」
 また、真帆が変なことを言い出したので、驚いて答えた。

「寝ればいいのに」
 上杉先輩がニヤつきながら言う。

「え、遠慮しておきます」

 やっぱり、女子だらけの部屋は落ち着かない。
 上杉先輩に部屋に来ないように釘をさせたので、僕はそそくさと自分の部屋に戻って行いった。

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岐阜城の情報
https://www.city.gifu.lg.jp/kankoubunka/kankou/1013051/1005097/1005098.html
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