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迷走する新春編

鶴ヶ城(日本100名城 No.12)

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 翌日の朝。

「起きろー!」
 呼びかける声に、僕は目を開けた。
 目の前に、上杉先輩が覗き込むようにして僕を見下ろしていた。

「あ…、おはようございます…」
 僕は眠気を堪えなかがら、身を起こした。

「おはようございます、じゃなあいよ」
 上杉先輩は呆れる様に言う。
「キミたち、一緒に寝てたの?」

「ええっ!?」
 僕は、上杉先輩の発言に驚いて、横を見た。なんと真帆が僕の布団の中で寝てる。
 真帆は僕のほうを見て笑っている。
「な、な、何でここで寝てるの?!」

「あはは。純ちゃんを驚かせようと思って」

「お、驚いたよ!」

「なんか、この前、織田さんと一緒に寝てたって聞いたので」

「だれに?!」

「上杉さんだよ」

「はあ?!」
 と、いうことは真帆と上杉先輩が示し合わせて、いたずらを仕掛けて来たってこと?
「心臓に悪いので、勘弁してよ」

 上杉先輩はニヤつきながら言う。
「キミが女子と寝るの、いつものことだろうから、別に驚かないんじゃない?って言ってたんだけどね」

「いやいやいやいや、驚きましたって…。そして、いつも女子と寝たりしてません」
 まったく、こういういたずらは辞めてほしい。

 アホなことは、これぐらいにして、歴史研&O.M.G.のメンバーは出発の準備をする。
 これから会津若松まで移動して、鶴ヶ城を訪問する。今日は、この鶴ヶ城のみの訪問なので、出発は少々ゆっくりしている。
 荷物を持ってチェックアウト。まずは、ホテルからバスで郡山駅まで。駅のカフェでモーニングを食べる。
 駅で荷物をコインロッカーに預けて移動開始。今日も“休日パス”を利用する。
 郡山駅から会津若松駅までは列車で1時間10分程度。
 列車の中では、僕の隣には真帆が座って、何かと話しかけて来る。

 会津若松駅からは再びバスで。
 バス&徒歩、20分ほどで鶴ヶ城に到着した。

 鶴ヶ城。
 会津若松城、若松城とも呼ばれる。
 1384年、葦名直盛が築いた東黒川館が起源と言われる。
 1598年、伊達政宗によって葦名氏が滅ぼされた後、蒲生氏郷が入城し天守閣を建て「鶴ヶ城」と命名した。
 1868年、戊辰戦争の会津城籠城戦にて1か月の籠城の後、板垣退助による降伏勧告を受諾して開城した。その後、天守閣をはじめとするすべての建物が取り壊されたが、1965年に天守閣が再建された。

 入城料。410円
 立派な天守閣で5階建て。
 僕らは中の展示を見て回る。
 1時間程見て回り、堪能したので再び会津若松駅へ。
 駅チカの定食屋でソースカツ丼を食べる。
 さらに、駅のお土産売り場で、お土産も買う。
 これを忘れると妹に文句を言われるからな。

 そして、再び列車に乗り郡山駅に戻る。
 この後、O.M.G.と僕は、夕方からライブがあるのだ。
 歴史研のメンバーは、今回のライブに来ずに、先に東京に帰るということで、郡山駅で別れた。

 今日のライブも、終演後の物販も無事に終わった。
 物販、今晩も結構売り上った。
 僕らは郡山駅から新幹線に乗って東京に戻る。
 列車の中で、今回の手伝いのバイト代をもらう。おかげで最近、財布の中身がホクホクだ。

 自宅に着いたときはすでに夜の11時を回っていた。
 僕は自室のベッドに身体を投げ出す。
 お城巡りとライブの両方は、流石にかなり疲れた。もう二度とやらないぞと誓う。

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鶴ヶ城の情報
https://www.tsurugajo.com/tsurugajo/
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