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迷走する新春編

白河小峰城(日本100名城No.13)

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 今日から1泊2日で、歴史研のお城巡りとO.M.G.のライブ遠征が、まさかの合同での行動になっている。
 一体、どう言うことになるのか予測がつかない不安な旅だ。

 今日の移動では、秋に長野、新潟の城を巡った時と同じ“週末パス”を使って移動する。
 週末パスは、値段8880円で、土日の2日間、関東、甲信越、東北の一部のJR東日本や私鉄が乗り放題になるきっぷ。今回の旅行先である福島県は全域が乗り放題で入っている。
 そして、週末パスは、追加で特急券を買えば、新幹線も乗れる。
 今回、郡山までは新幹線で移動することになった。
 と言うことで、今日は、ちょっとだけ遅い集合時間となっている。

 今日の僕は、O.M.G.の物販の荷物を持たされているのでキャリーケースでやってきている。キャリーケースは家にあったものを借りて自分の旅の荷物も入れている。

 集合場所は、いつものように、池袋のいけふくろう。
 土曜の朝なので、人はまばらだ。
 僕がやや早めに到着した。どうやら一番乗りのようだ。

 しばらく待っていると、毛利さんがやって来た。
「おはよう」
 僕は挨拶をする。

 毛利さんも挨拶を返してきた。
「おはよう。荷物多いのね」

 流石にキャリーケースは目についたらしい。
 いつもは、ボストンバッグだからな。
「アイドルのグッズが入っているんだよ」

「グッズ?」

「そう、Tシャツとか…。物販でお客さんに売るんだよ」

「ふーん」

 毛利さん、あんまり興味なさそうだ。
 アイドルとか、そう言うものとは縁遠そうだしね。

 伊達先輩と上杉先輩が続いてやってきた。
 挨拶を終えると早速、上杉先輩が絡んでくる。
「なんか、久しぶりじゃない?」

「そ、そうですか…?」
 上杉先輩に会うのは、10日ぶりぐらいかな。

「最近、アイドルにハマって、部活がおろそかだよね」

「部活って、別に平日はダベっているだけじゃないですか」

「まあ、そうだけどね」

 などと話をしていると、O.M.G.の3人がやって来た。
 1泊分の荷物とステージ衣装などが入ったキャリーケースを引いていた。
 歴史研とO.M.G.は、初対面の人たちもいるので、自己紹介をしばらくしている。
 伊達先輩は前もって購入していた週末パスを全員に手渡していく。

 それが終わると、上杉先輩がまた嬉しそうに絡んできた。
「今日は、ハーレムだね!」

「そ、そうですね…」
 流石に女子6人と一緒に旅行とか、2度とないのではないか?
 どうなることやら…。

 ということで、週末パスを手にまずは池袋駅をスタート。
 大宮まで移動して、そこから新幹線に乗る
 そこからは郡山まで。約1時間。

 新幹線の中では、O.M.G.のメンバーはわいわいやりながら、動画を撮ったりしている様子。
 歴史研のメンバーはスマホいじったり、話をしたり。
 座席的に1人あぶれている僕は、朝早かったので、うとうとしていた。
 郡山駅に到着後、コインロッカーに荷物を預けて在来線に乗り換える。

 在来線では真帆が僕の隣の席に座って、これまでのお城巡りについて、いろいろ尋ねて来た。
 僕は、覚えている範囲でこれまでのお城について教えてあげた。

 そうこうしていると、35分程度で白河駅に到着した。
 駅のホームから白河小峰城が見えた。
 ぞろぞろと一行は移動して、お城まで徒歩5分。
 
 白河小峰城は、南北朝時代に結城親朝が城を築いたのが始まりで、江戸時代に入って丹羽長重が改修して完成した。
 1868年、戊辰戦争白河口の戦いで落城。
 平成時代になって三重櫓、前御門が木造建築で史料に基づいて復元された。

 復元された三重櫓内は見学可能。入場料310円。
 O.M.G.のメンバーはお城なんか興味ないのかと思っていたが、楽しそうに写真を取ったり、動画を取ったりしている。

 僕は真帆に声を掛けた。
「動画、撮ってるの?」

「折角だから、後で編集して投稿しようと思って」

 さらに聞くと、O.M.G.のYouTubeや、メンバーそれぞれのTikTokなんかも配信しているという。
 しかし、あまり活用ができていないそうだ。

 白河小峰城を堪能した後、一行は次の目的地、二本松城を目指す。

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 白河小峰城の情報。
 https://www.city.shirakawa.fukushima.jp/page/page001390.html
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