285 / 441
迷走する新春編
勝負
しおりを挟む
木曜日。
学校では何事にもなく平和に過ぎ、放課後となった。
今日もさっさと撤収する。
毛利さんに簡単に挨拶をすると教室を後にした。
そして、いつものように、サンシャインシティのマックまでやって来た。
120円ドリンクを購入して適当な席に着き、しばらくの間、宿題をしている。
かれこれ1時間ほど経っただろうか、突然、良く知った声で呼びかけられた。
「お兄ちゃん!」
顔を上げると、妹の美咲とその友達の前田さんが立っていた。
2人とも学校帰りで、中学のセーラー服を着ていた。
「お兄さん、こんにちはー」
前田さんが挨拶をして来た。
「こ、こんにちは」
僕も挨拶を返した。
妹と前田さんもドリンクのみを持っていて、僕の隣の席に座った。
早速、妹は尋ねて来た。
「お兄ちゃん、こんなところで、何してるの?」
「え? 宿題だよ。お前たちも何で?」
「一緒に文房具を買い物に来たんだよ」
「そうか」
「で、なんで、こんなところで宿題やってんの? 部活は?」
「最近、部室に行ってないのは、知ってるだろ?」
「でも、紗夜さんが心配してたじゃん? いいの?」
「ああ、一昨日、部室に行って、上杉先輩たちと話をして来たよ。だから大丈夫」
「ほんとに?」
「本当だよ」
「ふーん」
妹は、なんか不満げにしている。
続いて前田さんが話しかけて来た。
「ねえねえ、お兄さん。今度、私と卓球で勝負してくださーい」
また、唐突なお願いだな。
「え? なんで?」
「だって、お兄さんって、“天才卓球少年”なんでしょー? 腕前を知りたいです」
「いや、天才じゃないってば」
妹が茶々を入れて来る。
「お兄ちゃんは、天変地異の方の“天災”だよね」
「なんでだよ」
前田さんが前のめりでさらに言う。
「ともかく、勝負してくださーい」
「いやだ」
「えー…。じゃあ、うちの卓球部と、そちらの卓球部で合同練習できないか、聞いてもらえませんかー?」
「そう言うのって、学校を通じてやればいいのでは? 僕は卓球部ですらないし」
「でも、生徒会の副会長なんですよねー?」
「え?」
そうだった、僕は副会長なのだった。すっかり忘れていたよ。
そのことを妹に聞いたんだな。
「副会長なら、権限ありそうじゃあないですかー?」
「僕に権限なんか何もないよ。名前だけの副会長だからね」
妹が、また割り込んできた。
「それぐらい、やってあげなよ」
「やだよ、面倒くさい」
その後も、卓球の話やら、なんやかんや横から話しかけられて、宿題があまり進まなかった。
小一時間もしたら、前田さんとは別れて、僕は妹と一緒に帰宅した。
マックでは、邪魔されたおかげで宿題があまり進まなかったので、仕方なく自宅で残りを片付けている。
そうしているとスマホが鳴った。
LINEで真帆からのメッセージが。
『演劇部の動画見たよ!!』
『純ちゃんも出てるじゃん!!』
『それに、キスもしてたじゃん!!』
昨日、学園祭にクラスでやった舞台“白雪姫”をYouTubeにUPされていると教えたから、見られたんだな。
『キスは、演技だから』
『普通、演技でもキスはしないでしょ!!』
『それより、織田さんの演技はどうだった?』
キスからは、話題を逸らす。
『上手かった! すごかった!』
『でしょ?』
たとえ、元(仮)カノと言っても、褒められると僕もちょっと嬉しいかな。
『今度、織田さんに会わせてよ』
『いいけど』
『じゃあ、セッティングお願いね!』
『わかったよ』
最近、雪乃は演劇部で忙しいみたいだから、時間を取れるのだろうか?
明日、金曜日で、“お弁当交換会”があるので、その時にでも聞いてみるか。
学校では何事にもなく平和に過ぎ、放課後となった。
今日もさっさと撤収する。
毛利さんに簡単に挨拶をすると教室を後にした。
そして、いつものように、サンシャインシティのマックまでやって来た。
120円ドリンクを購入して適当な席に着き、しばらくの間、宿題をしている。
かれこれ1時間ほど経っただろうか、突然、良く知った声で呼びかけられた。
「お兄ちゃん!」
顔を上げると、妹の美咲とその友達の前田さんが立っていた。
2人とも学校帰りで、中学のセーラー服を着ていた。
「お兄さん、こんにちはー」
前田さんが挨拶をして来た。
「こ、こんにちは」
僕も挨拶を返した。
妹と前田さんもドリンクのみを持っていて、僕の隣の席に座った。
早速、妹は尋ねて来た。
「お兄ちゃん、こんなところで、何してるの?」
「え? 宿題だよ。お前たちも何で?」
「一緒に文房具を買い物に来たんだよ」
「そうか」
「で、なんで、こんなところで宿題やってんの? 部活は?」
「最近、部室に行ってないのは、知ってるだろ?」
「でも、紗夜さんが心配してたじゃん? いいの?」
「ああ、一昨日、部室に行って、上杉先輩たちと話をして来たよ。だから大丈夫」
「ほんとに?」
「本当だよ」
「ふーん」
妹は、なんか不満げにしている。
続いて前田さんが話しかけて来た。
「ねえねえ、お兄さん。今度、私と卓球で勝負してくださーい」
また、唐突なお願いだな。
「え? なんで?」
「だって、お兄さんって、“天才卓球少年”なんでしょー? 腕前を知りたいです」
「いや、天才じゃないってば」
妹が茶々を入れて来る。
「お兄ちゃんは、天変地異の方の“天災”だよね」
「なんでだよ」
前田さんが前のめりでさらに言う。
「ともかく、勝負してくださーい」
「いやだ」
「えー…。じゃあ、うちの卓球部と、そちらの卓球部で合同練習できないか、聞いてもらえませんかー?」
「そう言うのって、学校を通じてやればいいのでは? 僕は卓球部ですらないし」
「でも、生徒会の副会長なんですよねー?」
「え?」
そうだった、僕は副会長なのだった。すっかり忘れていたよ。
そのことを妹に聞いたんだな。
「副会長なら、権限ありそうじゃあないですかー?」
「僕に権限なんか何もないよ。名前だけの副会長だからね」
妹が、また割り込んできた。
「それぐらい、やってあげなよ」
「やだよ、面倒くさい」
その後も、卓球の話やら、なんやかんや横から話しかけられて、宿題があまり進まなかった。
小一時間もしたら、前田さんとは別れて、僕は妹と一緒に帰宅した。
マックでは、邪魔されたおかげで宿題があまり進まなかったので、仕方なく自宅で残りを片付けている。
そうしているとスマホが鳴った。
LINEで真帆からのメッセージが。
『演劇部の動画見たよ!!』
『純ちゃんも出てるじゃん!!』
『それに、キスもしてたじゃん!!』
昨日、学園祭にクラスでやった舞台“白雪姫”をYouTubeにUPされていると教えたから、見られたんだな。
『キスは、演技だから』
『普通、演技でもキスはしないでしょ!!』
『それより、織田さんの演技はどうだった?』
キスからは、話題を逸らす。
『上手かった! すごかった!』
『でしょ?』
たとえ、元(仮)カノと言っても、褒められると僕もちょっと嬉しいかな。
『今度、織田さんに会わせてよ』
『いいけど』
『じゃあ、セッティングお願いね!』
『わかったよ』
最近、雪乃は演劇部で忙しいみたいだから、時間を取れるのだろうか?
明日、金曜日で、“お弁当交換会”があるので、その時にでも聞いてみるか。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり

男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる