雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

谷島修一

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悪夢の奴隷生活編

痛いのは嫌なので素早さに極振りしたいと思います。

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 冬休みは、成人の日が明けるまで、残り5日ある。
 冬休みの宿題も、先日の雪乃の家でやったおかげでほぼ終了しているのでかなり気が楽だ。
 しばらくは、のんびりしようと思っている。

 さて、今日は悠斗が久しぶりに遊びにやって来た。
 今日はサッカー部の練習が休みらしい。
 悠斗とは、中学の頃までは良くゲームをしていたが、高校に入ってからは、悠斗がサッカー部で忙しいみたいだから、ほとんど一緒に遊んでいないかった。
 何か“見せたいもの”があるって言ってたけど…、なんだろう?

 悠斗は、床に座って話し出した。
「純也の部屋に遊びに来るの久しぶりだね」

 僕も座って答える。
「え? この前、学校休んだ時に来てくれたじゃん?」

「いや、“遊びに来る”ってこと」

「あ、そうか…。半年ぶりぐらいか…?」
 僕は早速本題に入る。
「で、見せたいものって何?」

「これだよ」
 そう言って悠斗がカバンから取り出したのは…、ゴーグル?

「何それ?」

「これはVRゴーグル。この前買ったばかり。これを見せたかったんだ」

 VRゴーグルとそれを操作するためのリモコンのようなものを手渡され、僕はそれらを手に取ってよく見てみる。
 これを付けてゲームができるらしい。
 僕は気になったことを尋ねた。
「これって、結構高いんじゃないの?」

「いや、これは、スマホをゴーグルに挟むタイプだから、安いよ」

「へー」
 スマホをゴーグルに挟んで、その画面として利用するもののようだ。

 悠斗は続ける。
「これで、最近、流行ってるファンタジー大作のVR MMORPG“色彩の大陸”ができる」

「ああ、そのゲームの広告をネットとかで見たことあるけど…。VRってバーチャルリアリティーのことだろ? MMORPGって、どういう意味だっけ?」

「大規模多人数同時参加型オンラインRPG」

 みんなでやるっていうことか…。
「なるほど…」

「面白いから。中学の頃は良く一緒にゲームしてたじゃん? 純也もゴーグルを買って、一緒にやろうぜ」

 中学の頃は、よく家にあるゲーム機で遊んでいた。
 最近は、全然遊んでなかったな。

 しかし、VRゴーグル。面白いのかな?
「うーん…。ちょっと考えさせて」

「まあ、これでお試しでやってみなよ、はまること間違いなし!」
 追加で、悠斗が教えてくれる。
「音声入力ができるから、それでチャットとかも出来るよ」

 すごいな、文明開化だな。

 悠斗は、お年玉を軍資金にしてVRゴーグルを買い、すでに数日プレイしたらしい。
 彼が自信を持って勧めて来るので、僕も試しにやってみることにした。

 まずは、自分のスマホのアップストアで、アプリ“色彩の大陸”をダウンロードする。
 リモコンをBluetoothでリンク。
 そして、アプリを立ち上げて、悠斗のゴーグルを借りる。
 ゴーグルにスマホを挟んで、プレイ開始。

 いきなりファンタジーの世界が目の前に広がった。
「おおっ!」
 思わず声がでた。
 まだ、ログイン画面だけど綺麗な不思議な風景が広がっていた。
 近くには、中世ヨーロッパ風の城と城下町。
 遠くの山脈の近くにドラゴンらしきものが飛んでいたり、雲の間から稲光が走っている。さらに、時折、目の前を火の玉のようなものが横切る。
 首を振るとそれに合わせて景色も動いていく。
 耳はゴーグルについているヘッドフォンで音も聞こえる。
 スマホの画面とわかっていても、臨場感がなかなかすごい。
 本当にファンタジーの世界にいるみたいだ。

 そんなわけで、早速、ゲームの新規登録をする。
 まずは、キャラ作りから。
 悠斗に質問をする。
「このゲームって目的は何なの?」

「クエストがあるから、それを攻略しながらストーリーを進めて行くんだよ。あとは、他のプレイヤーと交流したりして遊べる」

「なるほどね。まったりとスローライフを送りたいんだけど?」

「まあ、そういうのもできるかもしれないけど、クエストやってると、どんどんクリアしたくなるよ。他のプレイヤーと協力プレイとかもできるし」

「そうか…」
 根っから陰キャの僕は、あまり、人と交流とかしたくないんだけど。
 まあ、悠斗とは一緒にやっても良いかな。

 まず、キャラを作る。
 性別は男性、種族は人間を選ぶ。
 そして。名前を決める。
 名前は、うーん…。
 センスないけど、“シンゲン”でいいや。

「そういえば、悠斗はプレイヤー名はなんて名?」

「“ジス”だよ」

「“ジス”?」

「そう、本当は“ファンタジスタ”にしたかったんだけど、長いから短縮した」

 ファンタジスタか、さすがサッカー好きだな。

 次のステータス振り分け。
 異世界ぐらいスローライフを送りたいし、戦闘はあまりやりたくないので、攻撃力や魔法を使うための精神力は少なくても良いかな。
 痛いのは嫌だが防御力に極振りはしない。
 代わりに素早さに極振りして、敵と出会ったらすぐに逃亡できるようにしよう。
 逃げるが勝ち。

「よし、出来た」

「次は」
 悠斗がアドバイスをくれる。
「街の“第5番詰所”というところの掲示板にクエストが張り出されているんだけど、まずはチュートリアルだ」

「お、おう…」
 チュートリアルが始まる。
 その前に、ゲーム内でアシスタント役を務めるNPC女性キャラが出てきて、世界観とか状況の説明をしてくれる。
 ちなみに、NCP女性キャラの名前は“エミリア”。

 説明、長いな…。

 そして、ようやくチュートリアルだ。
 操作方法とか、どうやって戦闘するかとか、エミリアが教えてくれるので、それに沿ってクリアしていく。

 簡単なクエストをやったり、街の外へ出て弱い敵を倒したりして、30分ほどやって、チュートリアルは終了した。

「ふーん。面白いな」

「だろ? 純也もゴーグルを買って、一緒にやろうぜ」

「そうだな…、考えておくよ」
 珍しく興味が出た。
 そして、お年玉の使い道がまだ決まっていなかったので、買ってみようと思った。

 その後は、クローゼットに仕舞い込んでいるゲーム機とディスプレイを出して、悠斗と夕方まで、それを久しぶりに楽しんだ。
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