236 / 433
悪夢の奴隷生活編
遭遇再び
しおりを挟む
僕がサンシャインシティのカフェに入るとすぐに、先に来ていた毛利さんを見つけることができた。いつも座る通路に面した座席。
ここは、以前、毛利さんと図書館での勉強会の後で来たところだ。そして、先週は細川さんと来た。
僕と毛利さんはドリンクをカウンターで注文し、いつもの通路から近い席に着いた。
少し世間話をした後、毛利さんが話題を変える。
「クリスマスは、どうするの?」
雪乃と別れた今、リア充イベントとは全く無縁だ。
「僕にクリスマスに用事があると思う? クリぼっち確定、クルシミマスだよ」
「そう…」
「毛利さんは、デートするんでしょ?」
「えっ? デートなんかしないよ」
伊達先輩とはクリスマスを一緒に過ごさないのだろうか。
この2人は良くわからんな。
まあ、冬休みが始まったら、歴史研のお城巡りで4泊5日の旅があるから、別に良いのかな? でも、2人きりにはなれんよな…。
やっぱり、もう別れたのか?
それを聞くのも何か気が引ける。
あっ、唐突に思い出した。
「そう言えば、クリスマス当日には織田さんの舞台があるから、見に行こうと思っているよ。毛利さんも行くって言ってたよね?」
危うく織田さんの舞台を忘れるところだった。
「うん、行く」
毛利さんは話を続ける。
「舞台、昼間でしょ? その後、プラネタリウムに行かない?」
「え? プラネタリウム?」
「ほら、東池の学園祭に行ったとき、約束したでしょ?」
そう言えば、そんなことを約束をしたような気がする。すっかり忘れていた。
何とか記憶を辿って答える。
「サンシャインシティの“プラネタリウム満天”だっけ?」
「うん」
「いいけど」
まあ、クリぼっちよりましだろう。
などと、しばらく世間話をしていると、近くから僕の名前を呼ぶ声がした。
「武田さん」
声の方を向くと、そこには、なんと宇喜多姉妹が立っていた。
メガネに黒髪三つ編みの姉、茶髪で姉より背が少し高い妹。
僕はちょっと驚いた。
「あっ! 宇喜多さん! こんにちは」
宇喜多姉が話しかけてきた。
「お久しぶりです。お元気ですか?」
彼女に会うのは東池女子校の学園祭以来だ。
「ええ、元気です」
僕は答える。
宇喜多姉に会えて、ちょっと嬉しい。
「デートですか?」
「いやいやいやいや、違いますよ」
次に宇喜多妹が挨拶をしてくる。
「先週はどうもでした」
「こちらこそ」
宇喜多姉が話を続ける。
「先週、合コンだったんですてっね。妹が、そちらの新聞部の方を紹介していただいて、SNSの運用方法をいろいろ教えてもらったのを、聞きました」
「そうなんですね」
片倉先輩、合コンで何の話をしてたんだよ。
「それで、うちの生徒会のSNS運用の参考にしようと思っています」
「それは良かった」
片倉先輩のツイッターが参考になるとは思えないが、宇喜多姉が参考にすると言うのであれば、それで良いのであろう。
「武田さんが、その方を連れてきてくれたおかげです。ありがとうございました」
宇喜多姉は丁寧に頭を下げた。
「いやいや。大したことしてませんよ」
かしこまって礼を言われると、こちらも恐縮してしまうな。
偶然、懸念事項だった宇喜多姉にSNSの運用方法を教えるというミッションがクリアになっていた。
しかし、お近づきになる理由が消えたな…。
「お邪魔になると悪いので、これで失礼します」
そう言って再び頭を下げると、宇喜多姉妹は去って行った。
一部始終を見ていた毛利さんが尋ねた。
「いまの2人、誰?」
「メガネの人が、東池女子校の生徒会長。もう1人はその妹」
「合コンとか言ってたけど?」
「妹の方が、先週の合コンに来てたんだよ」
「ということは、学園祭でアイドルステージに出てた人?」
「そうだね」
「どこかで見たことあると思った」
そして、不満そうに続ける。
「なんか、嬉しそうだね」
「そ、そんなこと無いよ」
僕は、ごまかす。
まあ、宇喜多姉に会えて嬉しいけどな。顔に出てたか。
そして、その後、30分ほど世間話をしてから毛利さんとは別れ、帰宅した。
帰宅すると、自宅の居間で妹に声を掛けられた。
「お兄ちゃん、今日の合コン、最悪だったよ!」
まあ、隣がずっと僕だったからな、不満はわからないでもないが。
それでも言い返しておく。
「お前のくじ運が悪いだけだろ」
「人生初合コンだったのにー! 私が隣で、お兄ちゃんも面白くなかったでしょ?」
そう言えば、歴史研の女子3人も人生初合コンだったのでは?
しかし、あんまり盛り上がらなかったから上杉先輩も、もう合コンやろうって言わないのではないか?
ということは、今後、面倒な合コンの幹事をやらされることはないだろう。
僕にとっては、盛り上がらなくて逆に良かったということになる。
「いや、別に。良かったんじゃない」
「なんで?! 私とずっと一緒で良かったってこと?」
「いや、そうじゃない…」
「私たち、兄妹だよ! キモイ!」
妹は真っ赤な顔で激怒して自分の部屋に戻っていった。
勘違いしてるな。
まあ、どうでも、いいや。
その後は、自宅でのんびり過ごした。
そして、明日、日曜日は予定が何もないので、引き続き自室に籠ってゆっくりすることにする。
ここは、以前、毛利さんと図書館での勉強会の後で来たところだ。そして、先週は細川さんと来た。
僕と毛利さんはドリンクをカウンターで注文し、いつもの通路から近い席に着いた。
少し世間話をした後、毛利さんが話題を変える。
「クリスマスは、どうするの?」
雪乃と別れた今、リア充イベントとは全く無縁だ。
「僕にクリスマスに用事があると思う? クリぼっち確定、クルシミマスだよ」
「そう…」
「毛利さんは、デートするんでしょ?」
「えっ? デートなんかしないよ」
伊達先輩とはクリスマスを一緒に過ごさないのだろうか。
この2人は良くわからんな。
まあ、冬休みが始まったら、歴史研のお城巡りで4泊5日の旅があるから、別に良いのかな? でも、2人きりにはなれんよな…。
やっぱり、もう別れたのか?
それを聞くのも何か気が引ける。
あっ、唐突に思い出した。
「そう言えば、クリスマス当日には織田さんの舞台があるから、見に行こうと思っているよ。毛利さんも行くって言ってたよね?」
危うく織田さんの舞台を忘れるところだった。
「うん、行く」
毛利さんは話を続ける。
「舞台、昼間でしょ? その後、プラネタリウムに行かない?」
「え? プラネタリウム?」
「ほら、東池の学園祭に行ったとき、約束したでしょ?」
そう言えば、そんなことを約束をしたような気がする。すっかり忘れていた。
何とか記憶を辿って答える。
「サンシャインシティの“プラネタリウム満天”だっけ?」
「うん」
「いいけど」
まあ、クリぼっちよりましだろう。
などと、しばらく世間話をしていると、近くから僕の名前を呼ぶ声がした。
「武田さん」
声の方を向くと、そこには、なんと宇喜多姉妹が立っていた。
メガネに黒髪三つ編みの姉、茶髪で姉より背が少し高い妹。
僕はちょっと驚いた。
「あっ! 宇喜多さん! こんにちは」
宇喜多姉が話しかけてきた。
「お久しぶりです。お元気ですか?」
彼女に会うのは東池女子校の学園祭以来だ。
「ええ、元気です」
僕は答える。
宇喜多姉に会えて、ちょっと嬉しい。
「デートですか?」
「いやいやいやいや、違いますよ」
次に宇喜多妹が挨拶をしてくる。
「先週はどうもでした」
「こちらこそ」
宇喜多姉が話を続ける。
「先週、合コンだったんですてっね。妹が、そちらの新聞部の方を紹介していただいて、SNSの運用方法をいろいろ教えてもらったのを、聞きました」
「そうなんですね」
片倉先輩、合コンで何の話をしてたんだよ。
「それで、うちの生徒会のSNS運用の参考にしようと思っています」
「それは良かった」
片倉先輩のツイッターが参考になるとは思えないが、宇喜多姉が参考にすると言うのであれば、それで良いのであろう。
「武田さんが、その方を連れてきてくれたおかげです。ありがとうございました」
宇喜多姉は丁寧に頭を下げた。
「いやいや。大したことしてませんよ」
かしこまって礼を言われると、こちらも恐縮してしまうな。
偶然、懸念事項だった宇喜多姉にSNSの運用方法を教えるというミッションがクリアになっていた。
しかし、お近づきになる理由が消えたな…。
「お邪魔になると悪いので、これで失礼します」
そう言って再び頭を下げると、宇喜多姉妹は去って行った。
一部始終を見ていた毛利さんが尋ねた。
「いまの2人、誰?」
「メガネの人が、東池女子校の生徒会長。もう1人はその妹」
「合コンとか言ってたけど?」
「妹の方が、先週の合コンに来てたんだよ」
「ということは、学園祭でアイドルステージに出てた人?」
「そうだね」
「どこかで見たことあると思った」
そして、不満そうに続ける。
「なんか、嬉しそうだね」
「そ、そんなこと無いよ」
僕は、ごまかす。
まあ、宇喜多姉に会えて嬉しいけどな。顔に出てたか。
そして、その後、30分ほど世間話をしてから毛利さんとは別れ、帰宅した。
帰宅すると、自宅の居間で妹に声を掛けられた。
「お兄ちゃん、今日の合コン、最悪だったよ!」
まあ、隣がずっと僕だったからな、不満はわからないでもないが。
それでも言い返しておく。
「お前のくじ運が悪いだけだろ」
「人生初合コンだったのにー! 私が隣で、お兄ちゃんも面白くなかったでしょ?」
そう言えば、歴史研の女子3人も人生初合コンだったのでは?
しかし、あんまり盛り上がらなかったから上杉先輩も、もう合コンやろうって言わないのではないか?
ということは、今後、面倒な合コンの幹事をやらされることはないだろう。
僕にとっては、盛り上がらなくて逆に良かったということになる。
「いや、別に。良かったんじゃない」
「なんで?! 私とずっと一緒で良かったってこと?」
「いや、そうじゃない…」
「私たち、兄妹だよ! キモイ!」
妹は真っ赤な顔で激怒して自分の部屋に戻っていった。
勘違いしてるな。
まあ、どうでも、いいや。
その後は、自宅でのんびり過ごした。
そして、明日、日曜日は予定が何もないので、引き続き自室に籠ってゆっくりすることにする。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる