214 / 407
逡巡する初冬編
問題解決
しおりを挟む
12月になった。
時の経つのは早い。もう、1か月で今年も終わりである。
1年、色々あった。おかげで、様々な悩みを抱えているが…。
特に北条先輩の件は、なんとか解決したいなぁ…。
無理なんだろうか。
登校し、授業を受けて、昼休みには体育館の観客席で毛利さんと一緒に弁当を食べ、放課後は歴史研の部室へ行く、というローテーションの日々が2日続いた。幸いなことに、これまで北条先輩に会うことも無かった。
そして、金曜日。
この日は、放課後は図書室で宿題をしていた。
すると、聞きなれた声で僕の名前が呼ばれた。
「武田君」
僕は顔を上げる。そこには新聞部部長、片倉先輩が立っていた。
「あ、こんにちは」
僕は挨拶をする。
「やあ」
片倉先輩は簡単に挨拶をすると、僕の隣の席に座った。
「武田君、北条に脅されてたでしょ?」
「えっ?!」
片倉先輩の言葉に驚いた。何で知ってるんだろう?
「ええ…、脅されてます」
「もう、大丈夫だから」
「えっ?!」
想定外の言葉の驚いて、図書館に居るにも関わらず大声が出てしまった。
僕はあわてて口をふさぐ。
そして、静かに尋ねた。
「どういうことですか?」
「じつは、君が北条にトイレに連れ込まれた時、個室で用をたしてたんだよね。それで、君を脅していた時の状況の一部始終をスマホのボイスメモで録音したんだよ」
「それって…、たまたまですか?」
「たまたまだよ。それで、そのボイスメモで逆に北条を脅しといたから。あんな風に君を脅迫するなんて、下手すりゃあ停学でしょ。それで、君に手を出したら先生に通報するとか、ツイッターで拡散するって言っといたから、もう君と彼女に何かするってことはないってよ。ちょっと、交渉に時間がかかってしまったけどね」
「交渉?」
「うん、君の件以外でも、生徒会に楯突くなとか、いろいろ要求を飲ませていたから」
「そうでしたか」
片倉先輩の言うことが正しければ、僕の件だけでなく、生徒会の抵抗勢力の件もクリアになった。
これで北条先輩のことはもう心配しなくてもいいということか。
「いずれにせよ、助かりました。ありがとうございます」
僕は礼を言った。
「いいって、いいって。じゃあね」
そう言うと、片倉先輩は立ち上がって図書室を去って行った。
片倉先輩、ファインプレーだな。
彼の事を苦手とか思って、悪かった。と、僕は心の中で謝った。
しかし、片倉先輩が偶然トイレに居たから良かったものの、そうでなかったら最悪な状態が続いていたと考えるとぞっとするな。
まあ、片倉先輩には、何か、恩返しでも考えておこう。
とりあえずは一番の悩み事が消えたということで、安堵のため息をついた。
引き続き図書室で勉強していると、別の人物に声を掛けられた。
時の経つのは早い。もう、1か月で今年も終わりである。
1年、色々あった。おかげで、様々な悩みを抱えているが…。
特に北条先輩の件は、なんとか解決したいなぁ…。
無理なんだろうか。
登校し、授業を受けて、昼休みには体育館の観客席で毛利さんと一緒に弁当を食べ、放課後は歴史研の部室へ行く、というローテーションの日々が2日続いた。幸いなことに、これまで北条先輩に会うことも無かった。
そして、金曜日。
この日は、放課後は図書室で宿題をしていた。
すると、聞きなれた声で僕の名前が呼ばれた。
「武田君」
僕は顔を上げる。そこには新聞部部長、片倉先輩が立っていた。
「あ、こんにちは」
僕は挨拶をする。
「やあ」
片倉先輩は簡単に挨拶をすると、僕の隣の席に座った。
「武田君、北条に脅されてたでしょ?」
「えっ?!」
片倉先輩の言葉に驚いた。何で知ってるんだろう?
「ええ…、脅されてます」
「もう、大丈夫だから」
「えっ?!」
想定外の言葉の驚いて、図書館に居るにも関わらず大声が出てしまった。
僕はあわてて口をふさぐ。
そして、静かに尋ねた。
「どういうことですか?」
「じつは、君が北条にトイレに連れ込まれた時、個室で用をたしてたんだよね。それで、君を脅していた時の状況の一部始終をスマホのボイスメモで録音したんだよ」
「それって…、たまたまですか?」
「たまたまだよ。それで、そのボイスメモで逆に北条を脅しといたから。あんな風に君を脅迫するなんて、下手すりゃあ停学でしょ。それで、君に手を出したら先生に通報するとか、ツイッターで拡散するって言っといたから、もう君と彼女に何かするってことはないってよ。ちょっと、交渉に時間がかかってしまったけどね」
「交渉?」
「うん、君の件以外でも、生徒会に楯突くなとか、いろいろ要求を飲ませていたから」
「そうでしたか」
片倉先輩の言うことが正しければ、僕の件だけでなく、生徒会の抵抗勢力の件もクリアになった。
これで北条先輩のことはもう心配しなくてもいいということか。
「いずれにせよ、助かりました。ありがとうございます」
僕は礼を言った。
「いいって、いいって。じゃあね」
そう言うと、片倉先輩は立ち上がって図書室を去って行った。
片倉先輩、ファインプレーだな。
彼の事を苦手とか思って、悪かった。と、僕は心の中で謝った。
しかし、片倉先輩が偶然トイレに居たから良かったものの、そうでなかったら最悪な状態が続いていたと考えるとぞっとするな。
まあ、片倉先輩には、何か、恩返しでも考えておこう。
とりあえずは一番の悩み事が消えたということで、安堵のため息をついた。
引き続き図書室で勉強していると、別の人物に声を掛けられた。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる