上 下
184 / 418
逡巡する初冬編

上田城(日本100名城No.27)

しおりを挟む
 次の目的地は、上田城。
 再び「週末パス」を使って、しなの鉄道で移動。
 小諸駅から上田駅までは、たったの20分。
 電車を降りて、駅前広場へ。
 上田駅の駅ビルには真田の六文銭が描かれていた。

「真田家の家紋が六文銭ってなんで?」
 上杉先輩が僕に質問してきた。

「六文って、死後、三途の川を渡るときにかかる運賃だとか。真田家が家紋にしたのは"死をいとわない覚悟で戦う”という意味でだと。確か」

「ふーん。六文って今のお金だと、いくらぐらいなんだろうね」

「さあ?」

 そこへ伊達先輩が割り込んで来た。
「大体300円ぐらいらしいわね」

「安いね」
 上杉先輩がなんか嬉しそうに言う。
「往復できちゃうじゃん!」

「三途の川を往復したら、生き返っちゃいますよ…」

 そんな、アホな会話をしつつ移動。
 上田城までは駅から徒歩数分。
 今回も駅チカで助かるなあ。

 上田城。
 1583年。真田幸村の父、真田昌幸によって築城された。
 関ヶ原合戦後の1601年に城は破却されるが、仙石忠政によって1626年に再建される。その時の建てられた西櫓が現存している。

 付近は現在、上田城跡公園として整備され、眞田神社や上田市立博物館などがある。

 上田城本丸跡に建っている眞田神社は、上田城が徳川家の攻撃に2度も耐えて、陥落しなかった(落ちなかった)ということで、受験生の合格祈願、学業成就で有名らしい。

 その他のことも聞いてくれるらしいので、みんなでお参り。
 お賽銭投入。

 その後、僕は上杉先輩に尋ねた。
「何をお願いしました?」

「イケメンの彼氏!」

 想定通りすぎて、面白みがない。

 続いて伊達先輩に尋ねる。答えは、
「生徒会の運営がスムーズにいきますように」

 最近、不穏な空気が流れているからな…。

 最後に毛利さんにも尋ねた。
「秘密」

 相変わらずの秘密主義だ。

「キミは何をお願いしたのよ」
 上杉先輩が尋ねる。

「平穏な高校生活が送れますように、です」

「無理じゃない?」

 なんでやねん。

 妹が来年受験だから、合格祈願のお守りを買っていくことにした。お土産買って帰らないと怒るからな。
 妹も、家から近いから雑司が谷高校に行きたいと言っているが、受かるのか?

 そうそう、忘れそうだった。雪乃にもお土産で学業成就のお守りでも買って帰るか。
 女子にお土産で、お守りってどう思うだろう?
 まあ、いいか。
 歴史研のメンバーの意見は参考にならなさそうなので、あえて聞くことはしなかった。

 そして、上田市立博物館では鎧や刀などの展示があって、僕らはそれを見学。
 櫓と上田市立博物館の共通観覧料は500円。

 僕らは、上田城を後にして、近くのファミレスで昼食を取る。

 食事しながら、上杉先輩が絡んでくる。
「武田君さぁ、彼女とはどんな感じなの?」

「どんな感じと言いますと?」

「デートとかしてる?」

「まあ…、してますね」

「Hした?」

「してませんよ!」
 何を聞くんだ、上杉先輩。
「付き合い始めて、まだ1週間ですよ」

「そんなこと関係ない無いじゃん?」

「僕は、有るんです」

「今度、一緒にお城巡りとか行かないかなぁ」

「え? 織田さんがですか? 彼女は演劇部で忙しいから無理ですよ」

「そっか」

 それにしても、雪乃も一緒にお城巡りとか、何を言い出すんだ上杉先輩。
 何か、良からぬことを企んでいるに違いない。

 僕らは食事を終えると、次の目的地である松代城に向かう。

 ==========
 上田城の情報
 https://nagano-ueda.gr.jp/uedajo/
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

処理中です...