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眩暈する秋涼編

新幹線

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 放課後。
 先週は中間試験、先々週は監査の手伝いがあったので、歴史研の部室に行くのは2週間ぶりとなる。

 生徒会長をやっている伊達先輩は不在。今週も生徒会室で監査の続きをやっているはずだ。
 そんなわけで、今日は、僕、毛利さん、上杉先輩の3人が部室に居る。

 僕が部室に顔を出すと、早速、上杉先輩が噂について話題にする。
「ねえ、王子様。噂になってるね」

「ええ、織田さんとのことですよね」

「そうそう、白雪姫」

「その噂って、どこで仕入れたんですか?」

「新聞部のツイッターだよ」

 元凶はあそこか。
 僕も新聞部の片倉部長のアカウントは知っているので、スマホを取り出してツイッターを見た。

『学園祭舞台での白雪姫と王子様は、リアルでも白雪姫と王子様だった!』
 というつぶやきが、僕と織田さんが腕を組んで歩いている後姿の写真と共にUPされていた。
 先週の下校時だな、これは。
 実名を挙げてないと言えども、文章内容と写真を見る人が見れば、僕と織田さんということは明らかにわかる。

「それで、本当に付き合ってるの?」
 上杉先輩は畳みかける。

「付き合ってません」

「写真見ると、仲良さそうじゃない?」

「確かに、仲は悪くないですよ。それと、織田さんは、腕を組んだりするのに抵抗が全然ない人なんです」

「へー。彼女って、男とヤルのも抵抗ないっていう噂も聞くけど。キミはもうヤったの?」

「そんな事、しませんよ」

「あわよくばヤレると思ってる?」

「思ってません。織田さんも、そんな素振りないですし。そもそも、その織田さんについての噂も嘘なんじゃないですか?」

「まあ、そうかもしれないけど」

 今度、機会があったら織田さんの噂につても本人に聞いてみようかな。
 もし嘘だったら、彼女が可哀そうだ。ひどい内容だし。

 上杉先輩は話題を変えた。
「それで、来月のお城巡りの予定について、恵梨香から伝えるように言われたんだけど」

「今週は伊達先輩はここには来れそうにないんですね?」

「うん。なんか、今週いっぱい放課後は、生徒会室に籠るらしいよ」
 と言うと、次に上杉先輩は立ち上がって、なんか嬉しそうに話し出した。
「というわけで、発表! 11月のお城巡りは、春日山城、松代城、上田城、小諸城に1泊2日で行きまーす!」

「それ、どこらへんですか?」

「新潟県と長野県だって。そして、そして、なんと、新幹線で行きまーす!」

「ええっ!? 往復ともですか?」

「そう!」

「おおっ!! 歴史研究部に、何が起こったんですか?!」
 僕は思わず歓声を上げた。

「学園祭の占いメイドカフェの売り上げが予想以上だったって恵梨香が言ってた」

「それはすごい!」

「11月の最初の土日に行くからね」

 珍しくお城巡りが楽しみに感じられた。
 新幹線で楽そうだから今回も参加することにする。

 来月の予定の発表が終わった後は、上杉先輩はスマホいじり、毛利さんは読書、僕は勉強して下校時間まで過ごした。
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