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眩暈する秋涼編

ゲテモノと呼ばれて

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 東池学園祭から帰宅。
 すると、妹の美咲が居間でTVでアニメを見ていた。

「お兄ちゃん、お帰り」

「ただいま。何、見てるんだ?」

「アニメ」

 僕もTVを覗き込む。
 これは、先ほど細川さんがコスプレをしていた魔法少女のアニメ、タイトルが長いやつだ。タイトル、なんだっけ…?

「それ、『魔法少女になって、常磐線で戦う』だっけ?」

「違うよ! 『頼まれて魔法少女になったら、中央線で戦う羽目になりました』だよ」

 あ、そう。

 自分の部屋に行こうとして、居間を出ようとすると、妹が話しかけてきた。
「お兄ちゃん、東池の学園祭に行ってきたんだよね?」

「そうだよ。歴史研のメンバーと行ってきたよ」

「私も友達と会う約束が無かったら、行きたかったんだけどなあ」

「友達も一緒に行けばよかったのに。それに、学園祭は明日もやってるよ」 

「そっか。どうしようかな…?」

「そう言えば、そのアニメのコスプレをしたアイドルが居たよ」

「ふーん」

 なんだ、反応薄いな。

「そう言えば、学園祭で少女マンガ売ってたから、買って来たけど、あげるよ」

 僕は、さっき漫研で購入した同人漫画を鞄から取り出して妹に手渡そうとした。

「ええっ?! どうしたの?!」

 妹は、以前、占いメイドカフェの手芸部物販で購入した犬のぬいぐるみをあげた時と同じぐらい驚いた。

「なんで、そんなに驚くんだよ?」

「ドケチのお兄ちゃんがモノをくれるなんて…、やっぱり天変地異が近いのか? あっ、そうか! またキスしてきたんでしょ?」

「なんでだよ?」

「お兄ちゃんはキスしたら、ケチが治るみたいだから」

「そんな設定は存在していない」

「で、誰とキスしてきたの? 毛利さん?」

「してないって」

「えっ!? ひょっとして、ナンパした女と?!」

「なんでそうなるんだよ?」

「女子校だから、女子がいっぱいで、ゲテモノ好きの女子が一人ぐらい居そうじゃない?」

「なんで、僕がゲテモノなんだよ?」

「まあ、お兄ちゃんには、ナンパするような度胸無いよねー」

 なんなんだよ。まあ、無いけど。

「そうそう、明日、歴史研のメンバーで勉強会やることになってるよ」

「えっ?! 伊達さんも来るの?」

「もちろん」

「そうかー。じゃあ、また勉強教えてもらおうっと!」

 そう言うと、妹はTVに視線を戻した。
 僕は居間から出て、二階の自分の部屋まで。

 部屋着に着替えて、ベッドに転んでくつろいていると、スマホが鳴った。
 見るとLINEでメッセージが。細川さんだ。

『今日は来てくれてありがとう☺
 あそこで会えるなんて、びっくりだよ~
 運命だね♡♡♡
 それで、次回のライブは再来週の土曜日、会場はお台場の……』

 なんだ。ライブの告知かよ。
 まあ、そんなもんだと思ったけど。

 それより、宇喜多さんとLINE交換したかったな。何とか次に会う作戦を考えないと。
 宇喜多さんはSNSがどうとか言ってたな。これをネタにお近づきになれないものか。
 僕はツイッターのアカウントはあるが、ほとんど活用していない。インスタ、TikTokあたりもすべてそうだ。
 実のところ僕のほうが活用法を教えてほしいぐらいなのだが。

 取り敢えず、細川さんに返事しとくか。
 後々、“既読スルー”、とか言われて絡まれると、面倒だからな。

『ライブ楽しかったよ。これからも頑張ってね』
 と、適当に返しておいた。

 その後は、明日の勉強会のために部屋の掃除をして、就寝までゆっくりと過ごした。
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