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眩暈する秋涼編

織田さんに迫られる

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 自室で睡眠中。

 僕は体に重さを感じたので目を開けた。
 すると目の前に、織田さんが居たので、驚いて目を見開いた。
 織田さんは横になっている僕の上に覆いかぶさるようにして僕を見つめていた。
 彼女の長い髪が僕の顔に少し掛かっている。そして、いい匂い。

 さらに驚いたことに彼女は下着のみの姿なのだ。

 ちなみに、下着の色は白だ。

「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと! 織田さん!」

 僕は驚きのあまり、彼女をよける様に体を横にずらした。

 ドサッ!

 僕はベッドから転落して目が覚めた。

「夢か…」

 それにしても、なんてリアルな夢だ。
 織田さんに“白雪姫”の舞台でキスされてから、彼女の事を妙に意識してしまっている。
 しかし、まさか夢にまで出てくるとは。
 僕は、織田さんが夢だった事に残念だと…、いやいや、安堵して、ため息をついた。

 僕は立ち上がって、時計を見た。
 少し早いが、学校に行く準備をしよう。

 僕は制服に着替えて部屋を出た。

 ダイニングでは妹の美咲が朝食を食べていた。美咲は中学の制服であるセーラー服を着ている。
 美咲は僕の姿を見ると話しかけて来た。

「さっき、すごい音がしたけど?」

「ああ、ベッドから落ちたんだよ」

「またエッチな夢、見てたんでしょう?」
 美咲は呆れる様に言う。

「見てないよ」

 僕は呆れている妹をよそに、ダイニングの椅子に座り、母親が準備していた朝食のパンを頬張る。
 妹はさらに畳みかけてくる。

「どうせ夢に出たのは、白雪姫の人でしょ?」

 エスパーかよ?

「織田さんじゃあないよ」
 とりあえず誤魔化す。

「あの人、織田さんっていうんだ」
 妹はぶつぶつと織田さんの名前を反芻する。そして、追加で言い放った。
「お兄ちゃん、ハーレム作れるのは、アラブの石油王ぐらいだけだよ」

 ハーレムなんか作ってない。

「そろそろ学校行かなきゃ」

 そう言うと、妹は立ち上がって、家を出て行った。
 僕も朝食を平らげて、ちょっと早いけど学校に行くことにした。

 学園祭も終わったので、気分が楽だ。もうすぐ10月。
 10月こそは、ぐうたらしてやろうと思っていたが、無理かなぁ…。

 自宅から学校までは徒歩5分。
 校舎に入りげた箱で上履きに履き替えていると、元気よく挨拶してくる声。

「おお! 武田君! おはよう!」

 この声は織田さんだ。

「お、お、お……、おはよう」
 僕は今朝の夢のこともあって、どもってしまった。
 そして、脳裏に織田さんの下着姿の妄想がよみがえってきた。

「どうしたの?」
 彼女は怪訝そうに尋ねた。

「ゴメン、急に声を掛けられたので、驚いたよ」
 僕は何とかごまかした。

「あ、そう、じゃあ」
 とだけ言い、織田さんは颯爽と教室に向かって行った。

 続いて僕に挨拶してくる聞きなれた声。

「武田君、おはよう」

 毛利さんだ。

「おはよう」
 僕は返事を返す。
 毛利さんとは、伊達先輩とのキスを書庫で見てしまってからは、精神的にちょっと距離を置いている。
 僕は上履きに履き替えて教室に向かう。毛利さんは後をついて来る。

 教室に入って席に座ると、イケメン幼馴染の悠斗も登校してきた。
 松葉杖はもう使わなくていいようだ。自分の足だけでしっかりと立っていた。

「おはよう、純也。なんか眠そうだね」

「変な夢を見たせいかな」

「夢?」

「ああ、実は……」

 僕は、今朝見た夢を悠斗に話した。
 それを聞いて、悠斗は笑う。

「まあ、思春期男子ならそういう夢も仕方ないよなあ」

「だよね」

「夢なんだから、遠慮しないで好き放題やればいいのに」

「好き放題?」

「純也が好きなHなことだよ」

 別に言われるほど好きじゃない。やったことないから、分からんけど。
 いや、やっぱりHなことしてみたい。
 だがしかし、
「夢を見ている間は、それが夢かどうか分からないよ」

「でもまあ、今度同じような夢を見たら、ちょっと意識してみたら?」

 明晰夢ってやつだな。
「気にしとくよ」
 僕は答える。
 しかし、明晰夢って、本当にあるんだろうか?

 予鈴が鳴ったので、僕らは席についた。
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