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混沌の学園祭編
10月も多忙な予感
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お城巡りの翌日。
幸いな事に旅の疲れも残っておらず、元気に登校できた。
授業中、ちょっと寝たけど。
何事もなく1日をすごし、あっと言う間に放課後。
僕と毛利さんは連れ立って、いつもの校舎の4階の端の端、歴史研の部室として利用している理科準備室にやって来た。
今後の予定の確認などをするからということで、事前に伊達先輩からLINEで呼び出されていたのだ。
僕が勢いよく理科準備室の扉を開けると、いつもの様に伊達先輩と上杉先輩が白いくて丸いお菓子? を肴に紙パックのジュースをすすりながら、スマホをいじっていた。
「「お疲れ様です」」
僕と毛利さんは挨拶をする。
「いらっしゃい」
「来たね!」
伊達先輩と上杉先輩のお約束の挨拶が帰ってきた。
僕と毛利さんも椅子に座る。
「これなんですか?」
僕は白くて丸いお菓子?を指さして尋ねた。
「これは、ラムネよ。科学研究部が学園祭で作った残りを分けてくれたの」
「へー。ラムネって自作できるんですね」
僕と毛利さんは、1つずつラムネをつまんで食べる。
あ、美味しい。
伊達先輩は、僕らがラムネを頬張るのを見てから話を始めた。
「じゃあ、10月の予定の確認をするわね。歴史研としては、以前言った通り3連休にお城巡りをするわ」
「3連休というと、土日と体育の日ですね」
「そうよ。水戸城、青葉城、多賀城、山形城、新発田城を回るわね」
以前も聞いたが、確か、かなり過酷なルートだ。
疲れるから、参加するか、しないか、どうしようかな?
「あと、その時に新聞部の片倉君が取材で付いてきたいって」
「取材?」
「そうよ。新聞部では毎号、部活を幾つか紹介しているのよ。次の号で、歴史研を記事にしたいって。武田君がいるから、面白い記事になりそうだって言ってるわ」
「はあ、そうですか…」
「学校新聞、読んだことないんでしょ?」
上杉先輩があきれたように言う。
「ないですよ。どこで読めるんですか?」
この質問には、伊達先輩が説明してくれる。
「毎月初めに、校内の各掲示板に貼られているんだけど、今も張られているから読んでみて」
しかし、掲示板なんて見る気も起らないが、今度ちょっと見ておくか。
「えーと、ということは、お城巡りに片倉先輩も付いて来るってことですね」
「ええ、片倉君と、もう1人部員と2人で来るそうよ」
「そうですか」
“武田君がいるから、面白い記事になりそう”って、僕はお城巡りに行くとは、まだ言ってないが。しかし、これは行かないといけない流れなんだろうな。
伊達先輩は話題を変えて話を続ける。
「あと、東池女子校の学園祭が、その次の週の週末にあるんだけど、占いメイドカフェのメンバーでいける人は、土曜日に行くことになったわ。フライヤーを配らせてもらったし、私は宇喜多会長にも挨拶をしたいから」
それは、いいな。
宇喜多会長に会えるなら、行ってみたい。
あの雑司ヶ谷高校の女子には無い上品な感じが、上手く表現できないが良い。
「あ、それ、行きます」
僕は手を上げて言った。
「おっ、女子校に行けるとなったら、決断が早いねぇ」
上杉先輩がからかうように言う。
「上杉先輩だって、男子校にフライヤー配りしに行くとき嬉しそうでしたよ」
とりあえず、言い返しておいた。
伊達先輩がまた話題を変えてきた。
「それと、中旬に中間試験があるけど、勉強は大丈夫?」
そうか、すっかり忘れていた。
最近は学園祭の準備などで、忙しくて勉強は疎かになっているな。
折角だから、久しぶりに伊達先輩に見てもらうかな。
「最近はあまりできてなくて、よかったら見てもらえますか?」
「じゃあ、また、勉強会で第2部室に集合だね!」
上杉先輩が嬉しそうに言う。
「え? 第2部室ってどこですか?」
「キミんちの部屋だよ」
「いつの間に部室になっているんですか?」
「まあ、良いじゃん」
良くない。
しかし、僕の部屋で勉強会が開催されるのは、いつものことだし、抵抗しても決まってしまうだろうから、反対しなかった。
「じゃあ、東池の学園祭を見に行く、翌日の日曜日にしましょう」
なんか、休みがないなぁ。
でも仕方ない、勉強はやっとかないと成績が落ちると困る。
「私も、東池の学園祭と勉強会に参加しても良いですか?」
毛利さんが静かに尋ねた。
「もちろん、良いわよ」
伊達先輩が答える。
「よかったら、もっと食べてね」
伊達先輩は、ラムネを指さした。
「「ありがとうございます」」
僕と毛利さんは、さらにラムネをつまむ。
その後、僕らは他愛のない世間話をして時間を過ごした。
僕は、今月の出来事を頭の中で振り返る。
毛利さんと伊達先輩の関係が気になる。しかし、この件は、やはり、そっとしておいた方が良いのだろうか…?
それが原因で、僕の毛利さんに対する気持も大分冷めたのだが。
そして、歴史研とは距離を置きたいと思っているのだが、どうやら、来月もそうはいかないらしい。
いろんなことが待ち構えているような気がするが、来月は来月の自分に何とかしてもらおう。
その後も部室で駄弁ったり、ラムネを食べたりしていると、あっという間に下校時間になり、僕らは解散した。
≪雑司ヶ谷高校 歴史研究部!! 混沌の学園祭編 完≫
幸いな事に旅の疲れも残っておらず、元気に登校できた。
授業中、ちょっと寝たけど。
何事もなく1日をすごし、あっと言う間に放課後。
僕と毛利さんは連れ立って、いつもの校舎の4階の端の端、歴史研の部室として利用している理科準備室にやって来た。
今後の予定の確認などをするからということで、事前に伊達先輩からLINEで呼び出されていたのだ。
僕が勢いよく理科準備室の扉を開けると、いつもの様に伊達先輩と上杉先輩が白いくて丸いお菓子? を肴に紙パックのジュースをすすりながら、スマホをいじっていた。
「「お疲れ様です」」
僕と毛利さんは挨拶をする。
「いらっしゃい」
「来たね!」
伊達先輩と上杉先輩のお約束の挨拶が帰ってきた。
僕と毛利さんも椅子に座る。
「これなんですか?」
僕は白くて丸いお菓子?を指さして尋ねた。
「これは、ラムネよ。科学研究部が学園祭で作った残りを分けてくれたの」
「へー。ラムネって自作できるんですね」
僕と毛利さんは、1つずつラムネをつまんで食べる。
あ、美味しい。
伊達先輩は、僕らがラムネを頬張るのを見てから話を始めた。
「じゃあ、10月の予定の確認をするわね。歴史研としては、以前言った通り3連休にお城巡りをするわ」
「3連休というと、土日と体育の日ですね」
「そうよ。水戸城、青葉城、多賀城、山形城、新発田城を回るわね」
以前も聞いたが、確か、かなり過酷なルートだ。
疲れるから、参加するか、しないか、どうしようかな?
「あと、その時に新聞部の片倉君が取材で付いてきたいって」
「取材?」
「そうよ。新聞部では毎号、部活を幾つか紹介しているのよ。次の号で、歴史研を記事にしたいって。武田君がいるから、面白い記事になりそうだって言ってるわ」
「はあ、そうですか…」
「学校新聞、読んだことないんでしょ?」
上杉先輩があきれたように言う。
「ないですよ。どこで読めるんですか?」
この質問には、伊達先輩が説明してくれる。
「毎月初めに、校内の各掲示板に貼られているんだけど、今も張られているから読んでみて」
しかし、掲示板なんて見る気も起らないが、今度ちょっと見ておくか。
「えーと、ということは、お城巡りに片倉先輩も付いて来るってことですね」
「ええ、片倉君と、もう1人部員と2人で来るそうよ」
「そうですか」
“武田君がいるから、面白い記事になりそう”って、僕はお城巡りに行くとは、まだ言ってないが。しかし、これは行かないといけない流れなんだろうな。
伊達先輩は話題を変えて話を続ける。
「あと、東池女子校の学園祭が、その次の週の週末にあるんだけど、占いメイドカフェのメンバーでいける人は、土曜日に行くことになったわ。フライヤーを配らせてもらったし、私は宇喜多会長にも挨拶をしたいから」
それは、いいな。
宇喜多会長に会えるなら、行ってみたい。
あの雑司ヶ谷高校の女子には無い上品な感じが、上手く表現できないが良い。
「あ、それ、行きます」
僕は手を上げて言った。
「おっ、女子校に行けるとなったら、決断が早いねぇ」
上杉先輩がからかうように言う。
「上杉先輩だって、男子校にフライヤー配りしに行くとき嬉しそうでしたよ」
とりあえず、言い返しておいた。
伊達先輩がまた話題を変えてきた。
「それと、中旬に中間試験があるけど、勉強は大丈夫?」
そうか、すっかり忘れていた。
最近は学園祭の準備などで、忙しくて勉強は疎かになっているな。
折角だから、久しぶりに伊達先輩に見てもらうかな。
「最近はあまりできてなくて、よかったら見てもらえますか?」
「じゃあ、また、勉強会で第2部室に集合だね!」
上杉先輩が嬉しそうに言う。
「え? 第2部室ってどこですか?」
「キミんちの部屋だよ」
「いつの間に部室になっているんですか?」
「まあ、良いじゃん」
良くない。
しかし、僕の部屋で勉強会が開催されるのは、いつものことだし、抵抗しても決まってしまうだろうから、反対しなかった。
「じゃあ、東池の学園祭を見に行く、翌日の日曜日にしましょう」
なんか、休みがないなぁ。
でも仕方ない、勉強はやっとかないと成績が落ちると困る。
「私も、東池の学園祭と勉強会に参加しても良いですか?」
毛利さんが静かに尋ねた。
「もちろん、良いわよ」
伊達先輩が答える。
「よかったら、もっと食べてね」
伊達先輩は、ラムネを指さした。
「「ありがとうございます」」
僕と毛利さんは、さらにラムネをつまむ。
その後、僕らは他愛のない世間話をして時間を過ごした。
僕は、今月の出来事を頭の中で振り返る。
毛利さんと伊達先輩の関係が気になる。しかし、この件は、やはり、そっとしておいた方が良いのだろうか…?
それが原因で、僕の毛利さんに対する気持も大分冷めたのだが。
そして、歴史研とは距離を置きたいと思っているのだが、どうやら、来月もそうはいかないらしい。
いろんなことが待ち構えているような気がするが、来月は来月の自分に何とかしてもらおう。
その後も部室で駄弁ったり、ラムネを食べたりしていると、あっという間に下校時間になり、僕らは解散した。
≪雑司ヶ谷高校 歴史研究部!! 混沌の学園祭編 完≫
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