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混沌の学園祭編
“インターナショナル・カフェ”
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時間は午後2時になって、ピークは少し過ぎた。
「武田君、1時間休憩に行ってきていいわよ」
津軽先輩が声を掛けてきた。
「わかりました」
僕はそう言うと、オムライス作りをメイドに代わる。
教室を出ようとしたら、毛利さんも休憩に入るようだった。
「ねえ、一緒にお昼食べない?」
毛利さんが提案してきた。
毛利さんは、伊達先輩とのキスを目撃した件で、なんか引っ掛っていた。しかし、露骨に拒否するのも変なので、了承することにした。
「いいよ」
彼女と相談して、昼食は占いメイドカフェの隣の隣にある言語研究部の“インターナショナル・カフェ”に行くことにした。
そのカフェはそれほど混んでいなかったので、待つことなく席に着くことができた。
部員に手渡されたメニューを見る。
言語研は英韓中仏独露といろんな言語を学んでいる人が集まった部なので、各国にちなんだ料理がメニューに並び、多国籍な感じになっていた。
僕らは気になる物を適当に注文する。
僕は、紅茶(英)、ソーセージ(独)、ピロシキ(露)、毛利さんは、一葉茶(中)、月餅(中)を注文
そして、韓国風海苔巻きを2人で分けることにした。
そう言えば、毛利さんって、元々は中国の歴史に興味があるとか言ってたな。中国語とか興味ないんだろうか。それに、本が好きだから、歴史研でなくて文芸部とかの方が似合ってそうなんだけどな。今更だけど。
しばらく待ち、注文したものが机に並べられると、僕らはそれを食べ始めた。
「昨日」
食事をしながら毛利さんが話を切り出した。
「怒ってたね」
昨日、毛利さんに話しかけられた時、『今、忙しいから』と言って、彼女を追い払うみたいにしてしまったことがあった。
「え? ああ…、ゴメン。あれは…、ちょっとステージの衝撃が大きくて」
「織田さんにキスされたこと?」
白雪姫ステージでのキスの件もそうだが、毛利さんと伊達先輩のキスの件も、同じぐらいの衝撃で、その件でも、ちょっと怒っていたんだけど、それは口には出さない。
「まあ、そうだね」
「怖かったよ」
「え? ゴメン」
「武田君、普段、全然怒らないから、びっくりした」
確かにそうなんだけど、最近は女難が多すぎて、僕の精神的キャパも限界なのかもしれないな。
あまり、この話を続けたくなかったので、無理に話題を変える。
「ところで、毛利さんって文芸部に入ろうと思わなかったの?」
「うちの学校、文芸部無いんだよ」
「え? そうだっけ?」
「文芸部じゃなくて、執筆部があるのよ」
「ふーん、そうなんだ」
後で学園祭のパンフレットで確認しよう。
「私は小説を読むのは好きだけど、書こうとは思ったことないの」
毛利さんと話をしていると、声を掛けてきた人物がいる。
「やあ、武田君じゃないか」
卓球部の羽柴部長だった。
「あれ? 羽柴部長、なぜここに?」
僕は驚いて尋ねた。
「今、休憩中。それに、実はドイツ語を勉強していてね」
「ドイツ語? 何故ですか?」
「ドイツに留学したいと思っていて」
「そうなんですね。で、なぜドイツなんですか?」
「ドイツには、卓球のプロリーグがあるんだよ」
そうなんだ。全然知らなかった。
卓球と言えば、中国を思い浮かべるが、ドイツでも盛んなのかな?
「それに、あの子ね」
と言って、ある女子生徒を指さした。そして、少し小声で僕に耳打ちする。
「彼女は言語研でドイツ語をやっているんだけど、一緒にドイツ語を勉強するついでに、お近づきになろうと思っていてね」
そうですか。
まあ、趣味(恋愛)と実益(卓球)を兼ねているからいいのか?
いや、趣味(卓球)と実益(恋愛)か?
どっちでもいいけど。
「じゃあね」
と言うと羽柴部長は、その女子生徒の方に向かっていた。
僕と毛利さんは、机の上の料理を全て平らげると、“インターナショナル・カフェ”を後にした。
「武田君、1時間休憩に行ってきていいわよ」
津軽先輩が声を掛けてきた。
「わかりました」
僕はそう言うと、オムライス作りをメイドに代わる。
教室を出ようとしたら、毛利さんも休憩に入るようだった。
「ねえ、一緒にお昼食べない?」
毛利さんが提案してきた。
毛利さんは、伊達先輩とのキスを目撃した件で、なんか引っ掛っていた。しかし、露骨に拒否するのも変なので、了承することにした。
「いいよ」
彼女と相談して、昼食は占いメイドカフェの隣の隣にある言語研究部の“インターナショナル・カフェ”に行くことにした。
そのカフェはそれほど混んでいなかったので、待つことなく席に着くことができた。
部員に手渡されたメニューを見る。
言語研は英韓中仏独露といろんな言語を学んでいる人が集まった部なので、各国にちなんだ料理がメニューに並び、多国籍な感じになっていた。
僕らは気になる物を適当に注文する。
僕は、紅茶(英)、ソーセージ(独)、ピロシキ(露)、毛利さんは、一葉茶(中)、月餅(中)を注文
そして、韓国風海苔巻きを2人で分けることにした。
そう言えば、毛利さんって、元々は中国の歴史に興味があるとか言ってたな。中国語とか興味ないんだろうか。それに、本が好きだから、歴史研でなくて文芸部とかの方が似合ってそうなんだけどな。今更だけど。
しばらく待ち、注文したものが机に並べられると、僕らはそれを食べ始めた。
「昨日」
食事をしながら毛利さんが話を切り出した。
「怒ってたね」
昨日、毛利さんに話しかけられた時、『今、忙しいから』と言って、彼女を追い払うみたいにしてしまったことがあった。
「え? ああ…、ゴメン。あれは…、ちょっとステージの衝撃が大きくて」
「織田さんにキスされたこと?」
白雪姫ステージでのキスの件もそうだが、毛利さんと伊達先輩のキスの件も、同じぐらいの衝撃で、その件でも、ちょっと怒っていたんだけど、それは口には出さない。
「まあ、そうだね」
「怖かったよ」
「え? ゴメン」
「武田君、普段、全然怒らないから、びっくりした」
確かにそうなんだけど、最近は女難が多すぎて、僕の精神的キャパも限界なのかもしれないな。
あまり、この話を続けたくなかったので、無理に話題を変える。
「ところで、毛利さんって文芸部に入ろうと思わなかったの?」
「うちの学校、文芸部無いんだよ」
「え? そうだっけ?」
「文芸部じゃなくて、執筆部があるのよ」
「ふーん、そうなんだ」
後で学園祭のパンフレットで確認しよう。
「私は小説を読むのは好きだけど、書こうとは思ったことないの」
毛利さんと話をしていると、声を掛けてきた人物がいる。
「やあ、武田君じゃないか」
卓球部の羽柴部長だった。
「あれ? 羽柴部長、なぜここに?」
僕は驚いて尋ねた。
「今、休憩中。それに、実はドイツ語を勉強していてね」
「ドイツ語? 何故ですか?」
「ドイツに留学したいと思っていて」
「そうなんですね。で、なぜドイツなんですか?」
「ドイツには、卓球のプロリーグがあるんだよ」
そうなんだ。全然知らなかった。
卓球と言えば、中国を思い浮かべるが、ドイツでも盛んなのかな?
「それに、あの子ね」
と言って、ある女子生徒を指さした。そして、少し小声で僕に耳打ちする。
「彼女は言語研でドイツ語をやっているんだけど、一緒にドイツ語を勉強するついでに、お近づきになろうと思っていてね」
そうですか。
まあ、趣味(恋愛)と実益(卓球)を兼ねているからいいのか?
いや、趣味(卓球)と実益(恋愛)か?
どっちでもいいけど。
「じゃあね」
と言うと羽柴部長は、その女子生徒の方に向かっていた。
僕と毛利さんは、机の上の料理を全て平らげると、“インターナショナル・カフェ”を後にした。
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