上 下
121 / 362
混沌の学園祭編

占いメイドカフェ2日目~その2

しおりを挟む
 メイドによると、今日は昨日よりお客さんが多いそうで、外の廊下にも長い行列ができているらしい。確かにオムライスの出る量も多い。
 多めに仕込んどいて正解だったな。

 なんやかんやでお昼前となった。店内を見回すとお客さんは変わらず一杯だ。

「おお! 武田君!」

 声を掛けてきたのは、今度は織田さんだった。その後ろにはクラスの陽キャ友だちが2人いる。
 昨日の舞台“白雪姫”でのキスが脳裏をよぎる。

 僕は動揺を抑えながら、お約束の挨拶で返す。
「お、お帰りなさいませ、お嬢様」

「執事姿も様になってるね」
 織田さんは、お世辞を言う。

 僕はオムライスを作る手を止めずに話を続ける。
「ありがとう。そう言えば、今日は演劇部でも何か舞台をやるんじゃあ?」

「ええ、さっき終わったわ」

「何をやったの?」

「『オセロ』よ」

 オセロ? 何だ、それは? リバーシか?

「そうなんだ、お疲れ様」
 よくわからないが、労いの言葉を口にした。

「今度、動画、見せるわ」

「え、ああ、うん」
 興味ないんだけどな。

「じゃあ、邪魔になると悪いから、これぐらいで行くわ。頑張ってね」
 そういうと、織田さんと陽キャ友達はメイドに案内されて席に着いた。

 そのやり取りを見ていたメイドの一人が声を掛けてきた。
「何? 彼女?」

「いやいやいやいや。違いますよ。彼女は同じクラスで、昨日、クラスの出し物で白雪姫をやった人です」

「えー! ということは、武田君とキスした人?!」

「まあ、そう言うことになりますが、あれはあくまでも演技でー」

「ちょっと話をしに行こう」
 僕の話を途中までしか聞かずに、メイドは織田さんの方に行った。
 やれやれ。
 チラ見すると、メイドと織田さんは何やら楽し気に話をしているが、なんの話をしているのだろうか?

 午後1時頃、まだまだ、カフェはお客さんで一杯だ。
 松前先輩と津軽先輩が生徒会の仕事から戻ってきて、メイドとして参加してきた。伊達先輩はまだやることがあるそうで、生徒会室にいるという。生徒会長も何やら大変だな。

 しばらくして、聞きなれない声。
「お兄さん、来たよ」
 顔を上げると正面に女子の3人組。

「お帰りなさいませ、お嬢様」
 もう、反射的にこのセリフが出る様になった。
 そして、この3人組は…、誰だっけ?
 そうだ、先週、東池女子校に、カフェのフライヤー配りに行ったとき時に絡んできた3人組。

「お兄さん、オムライス、作ってるんだね」

「是非、食べて行ってください、お嬢様。当たる占いも後ろでやってますよ」
 まあ、占いでは、なにか売りつけられるかもしれんけど。

「「「りょうかーい」」」
 3人組は明るく返事をすると席に戻って行った。

 なにやら、千客万来だな。
しおりを挟む

処理中です...