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混沌の学園祭編
占いメイドカフェ1日目~その1
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僕はトイレの個室で執事の衣装に着替えて、占いメイドカフェに出動した。
結構な混み具合。
教室の後ろに占いブースが2つ、そこで占い研の2名が占いをしていた。
教室の横の壁側には手芸部の物販用の机が並び、なにやらフェルトのぬいぐるみらしきものを売っているようだ。
後ろの壁には、歴史研の展示。
お客さん用のテーブル(机にテーブルクロスかけただけ)も幾つもある。
本当にカオスなカフェだな。
教室の一角に持ち場の調理場、と言ってもいくつか並べた机の上にカセットコンロと、少し離れて水の入ったタンク(後で聞いたが、ウォータージャグというらしい)がある。これらはキャンプ道具を持っているメンバーが持って来た。
そして、あとは炊飯器とコーヒーメーカー、これも誰かが持ち込んだらしい。
調理道具、調味料一式が置いてある盆の乗った机。
洗い物は校舎外の水道場でやることになっている。
僕の受け持つカセットコンロの置いた机は教室側に向いていて、お店の混み具合が見えるという配置。
早速、僕はお昼まで調理担当をしていた手芸部の女子と交代する。
「オムライスをよろしくね。結構注文が立て込んでいるから」
「了解です」
鶏肉と玉ねぎみじん切りは、事前に下ごしらえを開店前の朝に他の部員がやってくれていて、適量を分けてビニール袋に入れ、携帯小型冷蔵庫(キャンプ用?)で保存しているのでかなり手間が省ける。
よし。
と、珍しく気合を入れて作ろうとしたところに、クラシカルメイド姿の毛利さんが話しかけてきた。
彼女も同じクラスの出し物“白雪姫”の大道具係をやったので、このカフェは僕と同じく午後から参加。
“白雪姫”ステージでの書き割りなどの移動は男子がやっていたので、彼女は本番の時はやる事はなくて客席から見ていたはずだ。
「ねえ」
「何?」
「織田さんと、キスしたね」
「え? ああ…、なんか、急遽、演出を変えたとか」
って、今、その話をする?
それに、毛利さんが書庫で伊達先輩とキスしてたのを思い出して、僕のキスについて言われる筋合いはないと思い、憮然として返した。
「ごめん、今、忙しいから後で」
毛利さんは、それを聞くと無言でカフェのメイドの仕事に戻っていた。
さて、僕はフライパンに油を引いて火にかけ、玉ねぎと鶏肉を入れて炒める。
鶏肉と玉ねぎに色が変わったら、塩コショウを少々振りかけ、ご飯を投入。
さらに炒める。ケチャップをかけて、さらにかき混ぜる。
十分に炒めたら、一旦火を止め、フライパンからボウルに移しておく。
次は卵、別のボウルに卵2個を割って入れる牛乳と塩を少々、投入。
黄身と白身が十分に混ざるまでかき混ぜる。
フライパンに油を引いて火にかける。フライパンが熱したら、卵をフライパンに流し込んで広げる。そして、菜箸でかき混ぜる。
卵が少し固まったら火を止める。
チキンライスをフライパン手前半分に盛る。
そして、ヘラで卵を被せる。
フライパンを傾けて、オムライスを皿にのせる。
しばらくやってなかったが、上手くできた。
こんな感じで、延々とオムライスを作る。
お店は繁盛しているようだ。
接客は不慣れなはずの上杉先輩のギャルメイドや他のメイドたちは、それでも上手く立ち回っているようだった。
そして、伊達先輩も生徒会の仕事が終わったのか、ほどなくして参加してきた。
そして、僕を呼ぶ声。
「お兄ちゃん」
オムライスづくりに集中していたので、突然声を掛けられて驚いたが、声の主は妹の美咲だった。
「お、おう」
「お兄ちゃん、舞台観たよ」
「あ、そう」
「白雪姫とキスしたね」
「あれは演技だから」
「やるなぁ」
何がだよ?
僕はオムライス作りを再開する。
「お兄ちゃん」
「何?! 今、忙しいんだけど?」
「ダメだなぁ。お嬢様にそう言う口の利き方は?」
「は?」
「お兄ちゃん、執事でしょ?!」
そうだった、そう言う設定を忘れてたよ。
「じゃあ、あれ、やって見せて」
「は? あれって?」
「ほらぁ、お嬢様をお迎えする時の“あれ”よ」
ああ、そうか。仕方ないな。
一旦、オムライスを作る手を休めて言う。
「お、お帰りなさいませ、お嬢様」
「うむ、よろしい」
そう言うと美咲は満足げに席に戻って行こうとする。
しかし、僕らのやり取り見ていたメイド数名が妹に絡んできた。
「えっ?! 武田君の妹なの?」
「中学生? 何年生?」
「可愛い~!」
「お兄さんに似なくて良かったね!」
「若い! 肌、綺麗!」
誰だ、さりげなく僕のことをディスっているのは??
妹は、しばらく、メイドたちにもみくちゃにされていた。
僕はそれをチラ見しつつ、オムライスづくりに専念する。
結構な混み具合。
教室の後ろに占いブースが2つ、そこで占い研の2名が占いをしていた。
教室の横の壁側には手芸部の物販用の机が並び、なにやらフェルトのぬいぐるみらしきものを売っているようだ。
後ろの壁には、歴史研の展示。
お客さん用のテーブル(机にテーブルクロスかけただけ)も幾つもある。
本当にカオスなカフェだな。
教室の一角に持ち場の調理場、と言ってもいくつか並べた机の上にカセットコンロと、少し離れて水の入ったタンク(後で聞いたが、ウォータージャグというらしい)がある。これらはキャンプ道具を持っているメンバーが持って来た。
そして、あとは炊飯器とコーヒーメーカー、これも誰かが持ち込んだらしい。
調理道具、調味料一式が置いてある盆の乗った机。
洗い物は校舎外の水道場でやることになっている。
僕の受け持つカセットコンロの置いた机は教室側に向いていて、お店の混み具合が見えるという配置。
早速、僕はお昼まで調理担当をしていた手芸部の女子と交代する。
「オムライスをよろしくね。結構注文が立て込んでいるから」
「了解です」
鶏肉と玉ねぎみじん切りは、事前に下ごしらえを開店前の朝に他の部員がやってくれていて、適量を分けてビニール袋に入れ、携帯小型冷蔵庫(キャンプ用?)で保存しているのでかなり手間が省ける。
よし。
と、珍しく気合を入れて作ろうとしたところに、クラシカルメイド姿の毛利さんが話しかけてきた。
彼女も同じクラスの出し物“白雪姫”の大道具係をやったので、このカフェは僕と同じく午後から参加。
“白雪姫”ステージでの書き割りなどの移動は男子がやっていたので、彼女は本番の時はやる事はなくて客席から見ていたはずだ。
「ねえ」
「何?」
「織田さんと、キスしたね」
「え? ああ…、なんか、急遽、演出を変えたとか」
って、今、その話をする?
それに、毛利さんが書庫で伊達先輩とキスしてたのを思い出して、僕のキスについて言われる筋合いはないと思い、憮然として返した。
「ごめん、今、忙しいから後で」
毛利さんは、それを聞くと無言でカフェのメイドの仕事に戻っていた。
さて、僕はフライパンに油を引いて火にかけ、玉ねぎと鶏肉を入れて炒める。
鶏肉と玉ねぎに色が変わったら、塩コショウを少々振りかけ、ご飯を投入。
さらに炒める。ケチャップをかけて、さらにかき混ぜる。
十分に炒めたら、一旦火を止め、フライパンからボウルに移しておく。
次は卵、別のボウルに卵2個を割って入れる牛乳と塩を少々、投入。
黄身と白身が十分に混ざるまでかき混ぜる。
フライパンに油を引いて火にかける。フライパンが熱したら、卵をフライパンに流し込んで広げる。そして、菜箸でかき混ぜる。
卵が少し固まったら火を止める。
チキンライスをフライパン手前半分に盛る。
そして、ヘラで卵を被せる。
フライパンを傾けて、オムライスを皿にのせる。
しばらくやってなかったが、上手くできた。
こんな感じで、延々とオムライスを作る。
お店は繁盛しているようだ。
接客は不慣れなはずの上杉先輩のギャルメイドや他のメイドたちは、それでも上手く立ち回っているようだった。
そして、伊達先輩も生徒会の仕事が終わったのか、ほどなくして参加してきた。
そして、僕を呼ぶ声。
「お兄ちゃん」
オムライスづくりに集中していたので、突然声を掛けられて驚いたが、声の主は妹の美咲だった。
「お、おう」
「お兄ちゃん、舞台観たよ」
「あ、そう」
「白雪姫とキスしたね」
「あれは演技だから」
「やるなぁ」
何がだよ?
僕はオムライス作りを再開する。
「お兄ちゃん」
「何?! 今、忙しいんだけど?」
「ダメだなぁ。お嬢様にそう言う口の利き方は?」
「は?」
「お兄ちゃん、執事でしょ?!」
そうだった、そう言う設定を忘れてたよ。
「じゃあ、あれ、やって見せて」
「は? あれって?」
「ほらぁ、お嬢様をお迎えする時の“あれ”よ」
ああ、そうか。仕方ないな。
一旦、オムライスを作る手を休めて言う。
「お、お帰りなさいませ、お嬢様」
「うむ、よろしい」
そう言うと美咲は満足げに席に戻って行こうとする。
しかし、僕らのやり取り見ていたメイド数名が妹に絡んできた。
「えっ?! 武田君の妹なの?」
「中学生? 何年生?」
「可愛い~!」
「お兄さんに似なくて良かったね!」
「若い! 肌、綺麗!」
誰だ、さりげなく僕のことをディスっているのは??
妹は、しばらく、メイドたちにもみくちゃにされていた。
僕はそれをチラ見しつつ、オムライスづくりに専念する。
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