雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

谷島修一

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生徒会長選挙編

先輩2人に応援演説の約束をさせられる

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 午後の授業で、先週の英語の小テストの結果が返ってきた。
 なんと、92点という、これまでにない高得点だ。それは、伊達先輩に勉強を見てもらったおかげだ。この調子で期末テストも高得点が取れればいいなあ。

 放課後、部室に寄って、伊達先輩にお礼を言わないと。

 というわけで、午後の授業も終わり、歴史研究部の部室=校舎の四階、端の端、理科準備室に向かう。

 僕は理科準備室の扉を勢い良く開けた。
 いつもの様に、伊達先輩と上杉先輩は部室に来ていて、ポテチを食べていた。

「来たね!」

 上杉先輩は元気よく挨拶した。

「いらっしゃい」

 伊達先輩も挨拶してくれた。
 僕は早速、英語の小テストの結果を報告する。

「伊達先輩!英語のテスト92点でした!」

「それは、良かったわね」

 伊達先輩、相変わらず感情の起伏が少ないな。そうか、92点ぐらい、伊達先輩にとっては楽ちんな点数なのだろう。
 一方、上杉先輩はテンション高く声を上げた。

「よかったねー!!」

 そして、僕の背中をバンバンと叩く。

「先輩!痛いです!」

「ゴメン、ゴメン」

 上杉先輩は笑いながら、ペロっと舌を出した。

「伊達先輩、今後も勉強、よろしくお願いします!」

「良いわよ」

 伊達先輩は少し微笑んでから、付け加えた。

「それで、生徒会長選挙の応援演説の件だけど…」

 !!! 

 そうだった。すっかり、忘れていた。

 伊達先輩が出馬する生徒会長選挙の応援演説をするかどうか、週末の旅の間に決めなければいけなかった。そして、演説のために伊達先輩の良いところを見つけないといけなかったのだ。

 伊達先輩、良い人だし、今後、勉強見てもらうことを考えると、ここは引き受け方がよさそうだ。

「やります!」

「よかった。安心したわ」

 伊達先輩が笑顔になった。僕の英語テスト92点より嬉しそうだ。

「よかったね!」

 上杉先輩も伊達先輩にハイタッチをするために手を上げた。伊達先輩は控え目ながらゆっくり手を上げてハイタッチに応じた。
 上杉先輩は、次に僕にもハイタッチをしてきた。

「これで、当選確実だね!」

「何で、そうなるんですか?」

 僕は質問しながらハイタッチに応じた。

「キミのような、真面目な男子が応援演説してくれれば、当選間違いないよ!」

 上杉先輩、テキトーな事、言ってないか?

「まあ、座って、食べて」

 伊達先輩がポテチ(うすしお)を指し出した。
 僕は座って、遠慮なくポテチをつまんだ。そして、応援演説について質問する。

「応援演説の内容は、僕が考えた方がいいですか?」

「むしろ、それでお願いしたいわ。自分の言葉の方が、内容にリアリティがでるでしょ?」

「わかりました。何とか、考えてみます。それで、選挙のスケジュールってどうなっているんでしたっけ??」

「キミ、何も知らないんだね」

 上杉先輩があきれたように言う。ため息をつきながらスケジュールについて話してくれる。

「立候補者の応募締め切りは今週金曜日。選挙運動は、締め切りから12日後の今月末投票」

「肝心の応援演説は?」

「来週の水曜の午後。講堂に全校生徒が集められてそこでやるわ。ちなみに、立候補者による討論会も行われる」

「ほほう」

 そうだ、肝心なことを聞くのを忘れていた。

「ところで、伊達先輩の公約は?」

「そうね、
 ・自由な校風を引き続き継続していく
 ・女子生徒の制服にスラックスの導入
 ・部活の活動費の増額
 こんなところかしら」

 そうなんだ。あまり、ピンとこないけど。

「そういえば、対立候補の情報は無いんですか?」

「強敵になりそうなのは、2年C組の北条 星《そら》ね。彼は、校則を厳しくしたいと考えているみたい」

「それって強敵になりますか? 自由の方が良いじゃないですか?」

「彼は、まあまあイケメンだから、女子票が結構入るかもしれないわね」

「イケメンって…。公約と全然関係ないじゃないですか?」

「生徒は公約なんて聞いてないわ」

「えええー…」

「そんなもんよ」

 伊達先輩はそう言って、ポテチをもう一つつまんだ。
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