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徹底抗戦派の反乱
第7話・幕切れ
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炎がさらに強まってきた。もう甲板上に居るのは限界だ。
私も甲板から海へ飛び込んだ。
海面からあたりの様子をうかがう。燃え上っている “アーベントイヤー号” を除く、 “エンデクン号” 、“ヘアラウスフォーダンド号” 、“アンゲヴィーゼン号” の三隻が動き始めていた。オストハーフェンシュタットに向けて移動を開始したようだ。
しかし、一番大きな“アーベントイヤー号”が炎上しているため、多くの兵士が桟橋に取り残されたままとなっている。
そこへ、ブロンベルクの部隊がようやく到着し、戦いが始まった。
乗船できず取り残されている反乱兵は二百人ばかりだろう。ブロンベルクの部隊は千人近くいた。戦いに決着がつくのに時間はさほどかからないと予想ができた。
私は泳いで桟橋にたどり着く。海面から桟橋の上によじ登った。
しばらくして、ブロンベルクの部隊と反乱兵の戦いに決着がついた。反乱兵は討たれるか降伏した。
私は歩いてブロンベルクの部隊に近づいた。最初、兵たちに警戒されて取り押さえられたが、私に気が付いたブロンベルクが解放してくれた。
「彼はこちら側だ」。
私は礼を言った。
「助かります」。
「最初は城に居たな。今まではどこにいた?」
私はこれまでの経緯を話した。
「城内で修練所から逃げた者を探しておりましたら、街で煙が見えました。他に反乱兵がいると見て、ここに向かったところクラウス・ルーデルがおりました。彼がこの反乱の首謀者でした。その後、彼は船で脱出すると言っていたので、彼が船に乗ったところで火を放ちました。そして、船上で彼を討ちました」。
「そうか、よくやった」。
「その後、彼らはオストハーフェンシュタットで仲間と合流し、ダーガリンダ王国かテレ・ダ・ズール公国へ逃げのびそこで亡命政府を設立するとのことでした」。
「では、出航した三隻はオストハーフェンシュタットに向かっているのだな」。
「はい」。
「すぐに追跡させる。しかし、彼らはもう三百名程度の勢力だ、指揮を執っていたルーデル亡き後、リーダーが誰かわからんが、企みは成功しないだろう」。
「クリーガー!」
声の方を向くと、そこにはエーベル・マイヤーが居た。彼も海に飛び込んでずぶ濡れだったが、満面の笑みで立っていた。
「生きていたか?」
エーベルが大声で尋ねた。
「まだまだ死なないよ」。
私は笑顔で返した。
「よかったよ。お互い酷い目に遭ったな」。
「まったくだ」。
私は手に痛みを感じたので、目を向けた。手の皮膚が赤くなり。痛みもある。
顔にも同様の痛みがある、どうやら軽い火傷をしているようだ、先ほどまでは緊張していたのでわからなかったが、今、それに気が付いた。
私は、ブロンベルクに許可を得て、火傷の治療のため城に戻ることにした。海水で濡れた服も着替えたい。
その後、反乱兵を乗せ出発した三隻の船は、残りの海軍の船に追跡され、オストハーフェンシュタット到着直前に追いつかれ、その場であっけなく降伏したという。
一方、オストハーフェンシュタットに居たという約千の反乱兵は、ズーデハーフェンシュタットの反乱の失敗を聞いて降伏したか、一部は逃亡したという。
この騒動は、思いの外あっけない幕切れとなった。
私も甲板から海へ飛び込んだ。
海面からあたりの様子をうかがう。燃え上っている “アーベントイヤー号” を除く、 “エンデクン号” 、“ヘアラウスフォーダンド号” 、“アンゲヴィーゼン号” の三隻が動き始めていた。オストハーフェンシュタットに向けて移動を開始したようだ。
しかし、一番大きな“アーベントイヤー号”が炎上しているため、多くの兵士が桟橋に取り残されたままとなっている。
そこへ、ブロンベルクの部隊がようやく到着し、戦いが始まった。
乗船できず取り残されている反乱兵は二百人ばかりだろう。ブロンベルクの部隊は千人近くいた。戦いに決着がつくのに時間はさほどかからないと予想ができた。
私は泳いで桟橋にたどり着く。海面から桟橋の上によじ登った。
しばらくして、ブロンベルクの部隊と反乱兵の戦いに決着がついた。反乱兵は討たれるか降伏した。
私は歩いてブロンベルクの部隊に近づいた。最初、兵たちに警戒されて取り押さえられたが、私に気が付いたブロンベルクが解放してくれた。
「彼はこちら側だ」。
私は礼を言った。
「助かります」。
「最初は城に居たな。今まではどこにいた?」
私はこれまでの経緯を話した。
「城内で修練所から逃げた者を探しておりましたら、街で煙が見えました。他に反乱兵がいると見て、ここに向かったところクラウス・ルーデルがおりました。彼がこの反乱の首謀者でした。その後、彼は船で脱出すると言っていたので、彼が船に乗ったところで火を放ちました。そして、船上で彼を討ちました」。
「そうか、よくやった」。
「その後、彼らはオストハーフェンシュタットで仲間と合流し、ダーガリンダ王国かテレ・ダ・ズール公国へ逃げのびそこで亡命政府を設立するとのことでした」。
「では、出航した三隻はオストハーフェンシュタットに向かっているのだな」。
「はい」。
「すぐに追跡させる。しかし、彼らはもう三百名程度の勢力だ、指揮を執っていたルーデル亡き後、リーダーが誰かわからんが、企みは成功しないだろう」。
「クリーガー!」
声の方を向くと、そこにはエーベル・マイヤーが居た。彼も海に飛び込んでずぶ濡れだったが、満面の笑みで立っていた。
「生きていたか?」
エーベルが大声で尋ねた。
「まだまだ死なないよ」。
私は笑顔で返した。
「よかったよ。お互い酷い目に遭ったな」。
「まったくだ」。
私は手に痛みを感じたので、目を向けた。手の皮膚が赤くなり。痛みもある。
顔にも同様の痛みがある、どうやら軽い火傷をしているようだ、先ほどまでは緊張していたのでわからなかったが、今、それに気が付いた。
私は、ブロンベルクに許可を得て、火傷の治療のため城に戻ることにした。海水で濡れた服も着替えたい。
その後、反乱兵を乗せ出発した三隻の船は、残りの海軍の船に追跡され、オストハーフェンシュタット到着直前に追いつかれ、その場であっけなく降伏したという。
一方、オストハーフェンシュタットに居たという約千の反乱兵は、ズーデハーフェンシュタットの反乱の失敗を聞いて降伏したか、一部は逃亡したという。
この騒動は、思いの外あっけない幕切れとなった。
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