16 / 29
徹底抗戦派の反乱
第4話・兄弟子 クラウス・ルーデル
しおりを挟む
城の通路を移動していると、窓の外、街の方で幾筋も煙が上がっているのが見えた。
城外にも反乱兵が居るようだ。予想を超えた人数が反乱に加わっているようだった。
「あれは?」
エーベルが声を上げた。
「外でも反乱が?!」
私の懸念がその通りになった。おそらく城内の反乱兵士は囮だ。
反乱兵の方が組織だって動いている。おそらく、周到な準備をしていたのに違いない。一方、こちらは既に組織としては機能していない。街の中で煙が立っていたら、今までならすぐに出動の命令が出ただろう。
本来ならブロンベルク隊長の指示を仰ぎたいところだが、彼も城内の捜索をしているだろう。そうなると彼を探し当てて命令を仰ぐより、独断にやらせてもらった方が手っ取り早い。軍は解体され組織としてはもう存在しない。ということは、正確に言うと私は軍の者ではないのだ。立場が宙ぶらりんなのも気に掛かるが、ここは反乱兵を鎮圧するのが住民の安全のためだ。
帝国軍の大軍が街の外に控えている。下手をすると帝国軍が街の中に攻め込んでくる。そうなると、住民に被害が及ばないようするという当初の目的は達成されなくなる。
「行くぞ」
私はエーベルに声を掛けた。
「えっ?外の反乱兵を鎮圧する気かい?」
「そうだ」。
「俺たちだけで?」
「そうだ」。
「そんな無茶な」。
私は、そのエーベルの言葉に返事をせず、城の中を進んだ。
我々は城内の馬屋に到着した。
馬番は居なかったので、適当な馬に乗り城外を目指した。
城門は開いている。先ほど修練所から逃げ出した反乱兵を逃がさないために、誰も通すなという命令が来ていたはずだが。
馬で城門に近づいて、衛兵二人が切り倒されているのが分かった。一旦、馬を降りて衛兵の様子を見た。二人ともすでに絶命していた。
「ひどいな」
エーベルは思わず目を背けた。
反乱兵がここを通って逃げたに違いない。そして、逃げる先はあの煙の立っているところだろう。
私とエーベルは再び馬に乗り、煙が立っている方へ馬を急がせた。
馬を急がせてしばらく進むと大通りを瓦礫でバリケードを設置してあった。
その後ろには大勢の反乱兵が居る。
瓦礫の向こう側では別の瓦礫の山を燃やしている。
「どうする?」
エーベルが不安げに話しかける。
「任せろ。考えがあるから、黙ってついて来てほしい」
私にはそう言って、馬を降り、手綱を近くの適当な建物の柱に括り付けた後、瓦礫の前に歩み寄った。
私は瓦礫の反対側の居る兵士に声を掛けた。
「クラウス・ルーデルに会いたい」。
瓦礫のすぐ後ろにいた兵士が答える。
「何者だ?」
「私の名はユルゲン・クリーガーだ。“深蒼の騎士”で、ルーデルとは師が同じセバスティアン・ウォルターだった」。
「で、なんの用だ?」
「彼と話がしたい。私と仲間も反乱に加わりたいと思っている」。
「そうか。ちょっと待て」。
兵士は瓦礫から離れ、通りのずっと奥の方へ歩いて行った。
やはり、ルーデルは反乱に加わっているようだ。先ほど城で集まった際、ルーデルの姿が見えなかった。もしやとは思ったが、やはり彼は反乱軍に居たようだ。
城外にも反乱兵が居るようだ。予想を超えた人数が反乱に加わっているようだった。
「あれは?」
エーベルが声を上げた。
「外でも反乱が?!」
私の懸念がその通りになった。おそらく城内の反乱兵士は囮だ。
反乱兵の方が組織だって動いている。おそらく、周到な準備をしていたのに違いない。一方、こちらは既に組織としては機能していない。街の中で煙が立っていたら、今までならすぐに出動の命令が出ただろう。
本来ならブロンベルク隊長の指示を仰ぎたいところだが、彼も城内の捜索をしているだろう。そうなると彼を探し当てて命令を仰ぐより、独断にやらせてもらった方が手っ取り早い。軍は解体され組織としてはもう存在しない。ということは、正確に言うと私は軍の者ではないのだ。立場が宙ぶらりんなのも気に掛かるが、ここは反乱兵を鎮圧するのが住民の安全のためだ。
帝国軍の大軍が街の外に控えている。下手をすると帝国軍が街の中に攻め込んでくる。そうなると、住民に被害が及ばないようするという当初の目的は達成されなくなる。
「行くぞ」
私はエーベルに声を掛けた。
「えっ?外の反乱兵を鎮圧する気かい?」
「そうだ」。
「俺たちだけで?」
「そうだ」。
「そんな無茶な」。
私は、そのエーベルの言葉に返事をせず、城の中を進んだ。
我々は城内の馬屋に到着した。
馬番は居なかったので、適当な馬に乗り城外を目指した。
城門は開いている。先ほど修練所から逃げ出した反乱兵を逃がさないために、誰も通すなという命令が来ていたはずだが。
馬で城門に近づいて、衛兵二人が切り倒されているのが分かった。一旦、馬を降りて衛兵の様子を見た。二人ともすでに絶命していた。
「ひどいな」
エーベルは思わず目を背けた。
反乱兵がここを通って逃げたに違いない。そして、逃げる先はあの煙の立っているところだろう。
私とエーベルは再び馬に乗り、煙が立っている方へ馬を急がせた。
馬を急がせてしばらく進むと大通りを瓦礫でバリケードを設置してあった。
その後ろには大勢の反乱兵が居る。
瓦礫の向こう側では別の瓦礫の山を燃やしている。
「どうする?」
エーベルが不安げに話しかける。
「任せろ。考えがあるから、黙ってついて来てほしい」
私にはそう言って、馬を降り、手綱を近くの適当な建物の柱に括り付けた後、瓦礫の前に歩み寄った。
私は瓦礫の反対側の居る兵士に声を掛けた。
「クラウス・ルーデルに会いたい」。
瓦礫のすぐ後ろにいた兵士が答える。
「何者だ?」
「私の名はユルゲン・クリーガーだ。“深蒼の騎士”で、ルーデルとは師が同じセバスティアン・ウォルターだった」。
「で、なんの用だ?」
「彼と話がしたい。私と仲間も反乱に加わりたいと思っている」。
「そうか。ちょっと待て」。
兵士は瓦礫から離れ、通りのずっと奥の方へ歩いて行った。
やはり、ルーデルは反乱に加わっているようだ。先ほど城で集まった際、ルーデルの姿が見えなかった。もしやとは思ったが、やはり彼は反乱軍に居たようだ。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる