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グロースアーテッヒ川の戦い
第10話・瓦解
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大陸歴1655年3月5日・正午前
キーシンの伝令は、第五旅団のルツコイの元にも到着した。
攻撃命令だ。
ルツコイの陣の正面の先あたりにソローキンの部隊が、中央と東側にいた共和国軍の二つの旅団と戦っているようだった。
「命令は承服した」
ルツコイは伝令に言うと、再び重装騎士団に出撃するように命令を出した。
先ほどと同様に三百騎を整列させ戦場の東側を駆け抜け、ソローキンの旅団を大きく迂回するように進軍する。
今度は、共和国軍はルツコイ達に対応することは全く出来ない様子だった。陣形を変えてくる様子がない。
ルツコイは一旦、重装騎士団を停止させる。そして、しばらくして鎧のバイザーをおろすと、大声で命令を出した。
「突撃だ!」
掛け声と共にルツコイ達は剣を抜き、一気に戦場を横断する。
共和国軍の反撃は弱々しいもので、戦いは一方的な状態であった。
ルツコイは戦場で敵兵を討ち取る中、正面に上級士官らしい人物が目に留まった。その人物目掛け、ルツコイは突進する。
その人物はルツコイに気が付くも遅すぎた。ルツコイの剣が振り下ろされ、彼は血しぶきをあげて落馬した。それは共和国軍の第三旅団長ヴァイスゲルバーであった。
ヴァイスゲルバーが討ち取られてしばらくして、ヴァイスゲルバーの旅団はソローキンの旅団によって壊滅することになる。
その反対側である西の戦場。
共和国軍のメルテンスは全部隊を戦場の中央の方向に向かうのを止めさせ、側面から現れた帝国軍の攻撃に対して反転攻撃を開始するように命令した。
しかし、兵士たちの疲労は限界な上、数の上でも圧倒的な帝国軍の新手に、こちらでも一方的に攻撃をされる状態が続いた。
そして、帝国軍の新手の攻撃が始まって一時間も掛からないうちに、メルテンスは打ち取られ、メルテンスの旅団も壊滅することになる。
メルテンスの旅団を撃破したイエブツシェンコは、さらに戦場の中央に向かった。
中央にいる共和国軍がスミルノワの部隊と戦っているのが見えた。その様子を良く見ると、ここでも共和国軍は帝国軍に押されているようだ。このまま、イエブツシェンコが突撃すれば、いとも簡単に共和国軍を撃破できるのが想像できた。
しかし、イエブツシェンコはそこで進軍を止める命令を出した。出来れば、自分の部隊にこれ以上被害を出したくないと考えていたからだ。
このまま放っておいても、帝国軍の勝利が見えている。無理をして戦うことは無いだろう。
一方で、陣形を整えるために、一度後ろに引いていたキーシンの部隊が再び動き出した。そして、戦場の中央に残る共和国軍に対して攻撃を開始した。
イエブツシェンコの目には、“もう勝負あった”ように見えた。
キーシンの伝令は、第五旅団のルツコイの元にも到着した。
攻撃命令だ。
ルツコイの陣の正面の先あたりにソローキンの部隊が、中央と東側にいた共和国軍の二つの旅団と戦っているようだった。
「命令は承服した」
ルツコイは伝令に言うと、再び重装騎士団に出撃するように命令を出した。
先ほどと同様に三百騎を整列させ戦場の東側を駆け抜け、ソローキンの旅団を大きく迂回するように進軍する。
今度は、共和国軍はルツコイ達に対応することは全く出来ない様子だった。陣形を変えてくる様子がない。
ルツコイは一旦、重装騎士団を停止させる。そして、しばらくして鎧のバイザーをおろすと、大声で命令を出した。
「突撃だ!」
掛け声と共にルツコイ達は剣を抜き、一気に戦場を横断する。
共和国軍の反撃は弱々しいもので、戦いは一方的な状態であった。
ルツコイは戦場で敵兵を討ち取る中、正面に上級士官らしい人物が目に留まった。その人物目掛け、ルツコイは突進する。
その人物はルツコイに気が付くも遅すぎた。ルツコイの剣が振り下ろされ、彼は血しぶきをあげて落馬した。それは共和国軍の第三旅団長ヴァイスゲルバーであった。
ヴァイスゲルバーが討ち取られてしばらくして、ヴァイスゲルバーの旅団はソローキンの旅団によって壊滅することになる。
その反対側である西の戦場。
共和国軍のメルテンスは全部隊を戦場の中央の方向に向かうのを止めさせ、側面から現れた帝国軍の攻撃に対して反転攻撃を開始するように命令した。
しかし、兵士たちの疲労は限界な上、数の上でも圧倒的な帝国軍の新手に、こちらでも一方的に攻撃をされる状態が続いた。
そして、帝国軍の新手の攻撃が始まって一時間も掛からないうちに、メルテンスは打ち取られ、メルテンスの旅団も壊滅することになる。
メルテンスの旅団を撃破したイエブツシェンコは、さらに戦場の中央に向かった。
中央にいる共和国軍がスミルノワの部隊と戦っているのが見えた。その様子を良く見ると、ここでも共和国軍は帝国軍に押されているようだ。このまま、イエブツシェンコが突撃すれば、いとも簡単に共和国軍を撃破できるのが想像できた。
しかし、イエブツシェンコはそこで進軍を止める命令を出した。出来れば、自分の部隊にこれ以上被害を出したくないと考えていたからだ。
このまま放っておいても、帝国軍の勝利が見えている。無理をして戦うことは無いだろう。
一方で、陣形を整えるために、一度後ろに引いていたキーシンの部隊が再び動き出した。そして、戦場の中央に残る共和国軍に対して攻撃を開始した。
イエブツシェンコの目には、“もう勝負あった”ように見えた。
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