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グロースアーテッヒ川の戦い
第9話・帝国軍第二旅団長 ミハイル・イェブツシェンコ
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大陸歴1655年3月5日・正午前
キーシンからの伝令が、後方の西側で待機する第二旅団長ミハイル・イェブツシェンコの元にも到着した。伝令の内容は攻撃命令だ。
イェブツシェンコは戦場の様子を望遠鏡で確認する。最前線の戦闘の様子は相変わらず膠着状態に見えた。
当初、前線の兵力は帝国軍二万四千、共和国軍は一万八千と聞いていたが、共和国軍は思いのほか善戦しているようだ。
しばらくして、イェブツシェンコの陣から少し離れて隣、後方の中央で待機していたイワノフの第一旅団の陣あたりから霧が発生するのが見えた。どうやら “霧の魔女” エリザベータ・スミルノワが動き出したようだ。
イェブツシェンコは自分が遅れを取るのは構わないが、まったく動かないとなると、後々面倒なことになりそうだと思っていた。あわよくば、ソローキンとキーシンの旅団のみで戦いの決着をつけてほしかったが、仕方ない。
イェブツシェンコは、脇で控えていた副旅団長のブルガコフや上級士官に声を掛けた。
「全軍、出撃する」
士官たちは敬礼すると、それぞれの持ち場に散っていった。
イェブツシェンコは部下に改めて前線の様子を確認させる。
報告によると、キーシンの部隊は少し後方に下がって陣形を整えているようなので、一番西側にいる共和国軍はキーシンの部隊への攻撃を止め、現在は中央の方へ移動しつつ、スミルノワの部隊と戦闘を攻撃を始めたようだとの報告だ。
イェブツシェンコの進軍先は、その一番西側にいる共和国軍だと決めた。それは中央に移動しつつあるので、こちらはグロースアーテッヒ川沿いに移動し、キーシンの旅団を回り込むように進軍し、西側の共和国軍の側面から攻撃を開始する。
「よし、続け!」
イェブツシェンコは号令をかける。全軍が一気に戦場に向かって移動を開始した。
しばらく川に沿って戦場を大きく回り込むように進軍する。するとイェブツシェンコの目に、川の真ん中あたりで停泊する数隻の船が見えた。おそらく共和国の海軍であろう。しかし、戦闘に参加する様子はないので、今のところは無視することにした。
しばらく草原を駆け抜け、イェブツシェンコの部隊はついに戦場に到達し、共和国軍を側面から襲い掛かる。
戦場の西側の共和国軍の第二旅団長メルテンスは帝国軍に対し良く戦っていた。しかし、新たに現れたイェブツシェンコの部隊に対して、長時間の戦いの疲れが祟って一方的に押される状態となった。徐々に草原には、メルテンス率いる旅団の兵士の死体が積みあがっていった。
キーシンからの伝令が、後方の西側で待機する第二旅団長ミハイル・イェブツシェンコの元にも到着した。伝令の内容は攻撃命令だ。
イェブツシェンコは戦場の様子を望遠鏡で確認する。最前線の戦闘の様子は相変わらず膠着状態に見えた。
当初、前線の兵力は帝国軍二万四千、共和国軍は一万八千と聞いていたが、共和国軍は思いのほか善戦しているようだ。
しばらくして、イェブツシェンコの陣から少し離れて隣、後方の中央で待機していたイワノフの第一旅団の陣あたりから霧が発生するのが見えた。どうやら “霧の魔女” エリザベータ・スミルノワが動き出したようだ。
イェブツシェンコは自分が遅れを取るのは構わないが、まったく動かないとなると、後々面倒なことになりそうだと思っていた。あわよくば、ソローキンとキーシンの旅団のみで戦いの決着をつけてほしかったが、仕方ない。
イェブツシェンコは、脇で控えていた副旅団長のブルガコフや上級士官に声を掛けた。
「全軍、出撃する」
士官たちは敬礼すると、それぞれの持ち場に散っていった。
イェブツシェンコは部下に改めて前線の様子を確認させる。
報告によると、キーシンの部隊は少し後方に下がって陣形を整えているようなので、一番西側にいる共和国軍はキーシンの部隊への攻撃を止め、現在は中央の方へ移動しつつ、スミルノワの部隊と戦闘を攻撃を始めたようだとの報告だ。
イェブツシェンコの進軍先は、その一番西側にいる共和国軍だと決めた。それは中央に移動しつつあるので、こちらはグロースアーテッヒ川沿いに移動し、キーシンの旅団を回り込むように進軍し、西側の共和国軍の側面から攻撃を開始する。
「よし、続け!」
イェブツシェンコは号令をかける。全軍が一気に戦場に向かって移動を開始した。
しばらく川に沿って戦場を大きく回り込むように進軍する。するとイェブツシェンコの目に、川の真ん中あたりで停泊する数隻の船が見えた。おそらく共和国の海軍であろう。しかし、戦闘に参加する様子はないので、今のところは無視することにした。
しばらく草原を駆け抜け、イェブツシェンコの部隊はついに戦場に到達し、共和国軍を側面から襲い掛かる。
戦場の西側の共和国軍の第二旅団長メルテンスは帝国軍に対し良く戦っていた。しかし、新たに現れたイェブツシェンコの部隊に対して、長時間の戦いの疲れが祟って一方的に押される状態となった。徐々に草原には、メルテンス率いる旅団の兵士の死体が積みあがっていった。
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