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英雄は二度死ぬ
新たな証言者探し
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大陸歴1710年5月8日・パルラメンスカヤ人民共和国・首都アリーグラード
イリーナとクララは、クララの屋敷で集まって資料を調べていた。
最初にピックアップした証言者のリストに、メモを書き込みながら改めて確認する。
ユルゲンの弟子の三人
・オットー・クラクス
・ソフィア・タウゼントシュタイン
・オレガ・ジベリゴワ
彼らからは貴重な証言を聞くことができた。
傭兵部隊の隊員
・フリードリヒ・プロブスト。
ブリュンヒルデが会っているが収穫は無し。
・アグネッタ・ヴィクストレーム
ヴィット王国で存命らしい。
以下の三人は鬼籍に入っているか入っていると思われる。
・ユルゲンの妻で皇帝親衛隊の隊長 ヴァシリーサ・アクーニナ。
遺品の中にはめぼしいものはなかった。
・ユルゲンの上官、第五旅団長 ボリス・ルツコイ。
消息不明。おそらくすでに死去。
・帝国の最後皇帝イリア。
国外脱出後は、消息不明。
イリーナとクララは、他に何か手掛かりを持っていそうな人物はいないか話をしていた。
しばらくすると、召使いのナターシャが飲み物を持って部屋に入って来た。彼女は飲み物の入ったコップをテーブルを上に置く。
「皇帝イリアの消息が何とかわからないかしら?」
そう話し合うイリーナとクララの話の内容を耳にしてナターシャが話しかけてきた。
「そういえばお嬢様」。
「なに?」
「プリブレジヌイに、皇族の末裔が住んでいるのをご存じですか?」
「皇族の末裔?」
「はい、皇帝イリアが公国へ亡命して数年後、東方のプネルタバ王国の王族と婚姻し、二男二女を授かりました。晩年に相手が死去してから、皇帝イリアは人民共和国政府に許されて、末息子と一緒にプリブレジヌイに移住したそうです。それが十年ほど前の事です。皇帝イリア自身は移住して数年後に病死しましたが、その末息子が存命です。歳はたしか四十歳ぐらい」。
「よく知ってるね」。
「私は、こちらでお世話になる前の屋敷が元貴族でしたので、知っていました。そして、帝国の元皇族や貴族の子孫たちがあつまる会合があります。それで、以前、その会合に臨時の給仕係として参加したことがございます」。
「へー。そうだったんだ」。
「その御子息が皇帝イリアの遺品の中で、何か手掛かりになるような資料を持っているかもしれません」。
「国外に脱出した皇帝が何か資料を持っているとは思えないけど。オレガさんの話では皇帝は着の身着のままで脱出したようだと」。
「でも、国外に言った後でも、例えば日記の類があれば、彼女しか知りえないようなことも書いてあるかもしれません。何せ皇帝ですから当時の民衆には知られていないような事実も知っているのではないでしょうか?」。
「そーかあ。日記があればね。でも、その息子のその消息が分からないわ」。
「住所が分かればいいんだけど」。
クララが答えた。
「その元皇族、貴族の会合に参加できればなあ」。イリーナはつぶやいた。「いい方法がないか…」。
「通常では会合への参加は難しいかもしれません。でも、わたくしが、前の屋敷の旦那様にお願いして会合に参加できないか頼んでみましょうか?」
「えー。それ助かります」
イリーナは思わず姿勢を正した。
「だた、ご了承いただけるかはわかりませんので、あまりご期待はされないようにお願いします」。
「いいよ。当たって砕けろだね。もし、うまくいったらラッキーだし」。
クララが嬉しそうに言う。
「では、数日中に前の屋敷の旦那様に会ってみます」。
召使いはそういって部屋を後にした。
イリーナとクララは、クララの屋敷で集まって資料を調べていた。
最初にピックアップした証言者のリストに、メモを書き込みながら改めて確認する。
ユルゲンの弟子の三人
・オットー・クラクス
・ソフィア・タウゼントシュタイン
・オレガ・ジベリゴワ
彼らからは貴重な証言を聞くことができた。
傭兵部隊の隊員
・フリードリヒ・プロブスト。
ブリュンヒルデが会っているが収穫は無し。
・アグネッタ・ヴィクストレーム
ヴィット王国で存命らしい。
以下の三人は鬼籍に入っているか入っていると思われる。
・ユルゲンの妻で皇帝親衛隊の隊長 ヴァシリーサ・アクーニナ。
遺品の中にはめぼしいものはなかった。
・ユルゲンの上官、第五旅団長 ボリス・ルツコイ。
消息不明。おそらくすでに死去。
・帝国の最後皇帝イリア。
国外脱出後は、消息不明。
イリーナとクララは、他に何か手掛かりを持っていそうな人物はいないか話をしていた。
しばらくすると、召使いのナターシャが飲み物を持って部屋に入って来た。彼女は飲み物の入ったコップをテーブルを上に置く。
「皇帝イリアの消息が何とかわからないかしら?」
そう話し合うイリーナとクララの話の内容を耳にしてナターシャが話しかけてきた。
「そういえばお嬢様」。
「なに?」
「プリブレジヌイに、皇族の末裔が住んでいるのをご存じですか?」
「皇族の末裔?」
「はい、皇帝イリアが公国へ亡命して数年後、東方のプネルタバ王国の王族と婚姻し、二男二女を授かりました。晩年に相手が死去してから、皇帝イリアは人民共和国政府に許されて、末息子と一緒にプリブレジヌイに移住したそうです。それが十年ほど前の事です。皇帝イリア自身は移住して数年後に病死しましたが、その末息子が存命です。歳はたしか四十歳ぐらい」。
「よく知ってるね」。
「私は、こちらでお世話になる前の屋敷が元貴族でしたので、知っていました。そして、帝国の元皇族や貴族の子孫たちがあつまる会合があります。それで、以前、その会合に臨時の給仕係として参加したことがございます」。
「へー。そうだったんだ」。
「その御子息が皇帝イリアの遺品の中で、何か手掛かりになるような資料を持っているかもしれません」。
「国外に脱出した皇帝が何か資料を持っているとは思えないけど。オレガさんの話では皇帝は着の身着のままで脱出したようだと」。
「でも、国外に言った後でも、例えば日記の類があれば、彼女しか知りえないようなことも書いてあるかもしれません。何せ皇帝ですから当時の民衆には知られていないような事実も知っているのではないでしょうか?」。
「そーかあ。日記があればね。でも、その息子のその消息が分からないわ」。
「住所が分かればいいんだけど」。
クララが答えた。
「その元皇族、貴族の会合に参加できればなあ」。イリーナはつぶやいた。「いい方法がないか…」。
「通常では会合への参加は難しいかもしれません。でも、わたくしが、前の屋敷の旦那様にお願いして会合に参加できないか頼んでみましょうか?」
「えー。それ助かります」
イリーナは思わず姿勢を正した。
「だた、ご了承いただけるかはわかりませんので、あまりご期待はされないようにお願いします」。
「いいよ。当たって砕けろだね。もし、うまくいったらラッキーだし」。
クララが嬉しそうに言う。
「では、数日中に前の屋敷の旦那様に会ってみます」。
召使いはそういって部屋を後にした。
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