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人民革命
オレガの証言~人民革命~その7
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【現在】
大陸歴1710年5月4日・パルラメンスカヤ人民共和国・首都アリーグラード
「プリブレジヌイ付近での戦いの後半、そこで私は師を倒したのよ」。
次の言葉で三人に再び重い沈黙が包んだ。
クララはこの空気を変えるために話題を一旦、変えようとした。
オレガのカップを見ると紅茶が無くなっているのに気が付いた。
「紅茶のおかわりは?」
「いただこうかしら」。
オレガはカップを差し出して、クララに手渡した。クララがそれを持って台所の方へ向かう。
オレガはクララが紅茶を持って戻ってくるのをしばらく待ってから話を続ける。
クララはカップに紅茶を入れて戻って来た。それをオレガに渡すのを見て、イリーナが恐る恐る尋ねる
「師を倒したっていうと、それは…」。
「私は師に剣を突き刺したのよ」。
「「ええっ?!」」
イリーナとクララは驚いて見せた。
「ということは、お爺さまは死んでしまったのですか?!」
クララが思わず叫んだ。イリーナも間髪を入れず尋ねた。
「待って、待って、そうしたらクララが存在しているのはおかしいです。それに、お爺様が死んだのは十年ほど前の事だと」。
「その時は、クララのお父さんは、もう、彼はヴァーシャお婆様のお腹の中にいたのよ」。
オレガは微笑みながら話を続ける。
「それに、師は数か月後、元気な姿でひょっこり私の前に現れたわ」。
「致命傷では無かったのでは?」
「いえ、確かに私の剣は師の胸を貫いて致命傷だったはず。あの時、私は倒れた師を抱き上げようとしたけれど、即死でもう息はしていなかったわ」。
「「ええっ?!」」
イリーナとクララは再び驚きの声を上げた。
「どういうことでしょうか?」
「それが、全然わからないのよ。元気で現れた師に話を聞くと、一命は取り留めて何カ月も治療を受けていたと言っていたわ。それ以上のことは教えてくれなかった」。
「何か秘密が」。
クララは前のめりなって言う。イリーナは、はっとなって思いついたことを口にする。
「そういえば、人を生き返らせる魔術があったはずです」。
この問いに、オレガはゆっくりと答える。
「ヴィット王国だと何人かその魔術を使える人がいるみたいだけど、さっきも言ったけど、革命の時期、知る限りではヴィット王国は全く関与していなかったわ。もし、生き返りの魔術を使ったとしても、あの国に師を生き返らせる理由がわからないわ」。
「お爺さまが、ヴィット王国とかかわっていたことはないのですか?」
「聞いたことはないわね。私が遊撃部隊に所属する前にヴィット王国の女性魔術師が所属していたと聞いたことはあったけど、それぐらい」。
そのヴィット王国の魔術師は、共和国の首都ズーデハーフェンシュタットでブリュンヒルデに聞いた、アグネッタ・ヴィクストレームという魔術師のことだろう。
しかし、途中で革命軍を守った雹の話、ユルゲンを倒した後にあたりに立ち込めた霧の話、これは大気魔術だ。ヴィット王国の魔術師が関与している可能性が高いと二人は感じた。
オレガは尋ねた。
「お二人はまだ時間はある?」
「平気です」。
「じゃあ、もう少し話をするわね」。
大陸歴1710年5月4日・パルラメンスカヤ人民共和国・首都アリーグラード
「プリブレジヌイ付近での戦いの後半、そこで私は師を倒したのよ」。
次の言葉で三人に再び重い沈黙が包んだ。
クララはこの空気を変えるために話題を一旦、変えようとした。
オレガのカップを見ると紅茶が無くなっているのに気が付いた。
「紅茶のおかわりは?」
「いただこうかしら」。
オレガはカップを差し出して、クララに手渡した。クララがそれを持って台所の方へ向かう。
オレガはクララが紅茶を持って戻ってくるのをしばらく待ってから話を続ける。
クララはカップに紅茶を入れて戻って来た。それをオレガに渡すのを見て、イリーナが恐る恐る尋ねる
「師を倒したっていうと、それは…」。
「私は師に剣を突き刺したのよ」。
「「ええっ?!」」
イリーナとクララは驚いて見せた。
「ということは、お爺さまは死んでしまったのですか?!」
クララが思わず叫んだ。イリーナも間髪を入れず尋ねた。
「待って、待って、そうしたらクララが存在しているのはおかしいです。それに、お爺様が死んだのは十年ほど前の事だと」。
「その時は、クララのお父さんは、もう、彼はヴァーシャお婆様のお腹の中にいたのよ」。
オレガは微笑みながら話を続ける。
「それに、師は数か月後、元気な姿でひょっこり私の前に現れたわ」。
「致命傷では無かったのでは?」
「いえ、確かに私の剣は師の胸を貫いて致命傷だったはず。あの時、私は倒れた師を抱き上げようとしたけれど、即死でもう息はしていなかったわ」。
「「ええっ?!」」
イリーナとクララは再び驚きの声を上げた。
「どういうことでしょうか?」
「それが、全然わからないのよ。元気で現れた師に話を聞くと、一命は取り留めて何カ月も治療を受けていたと言っていたわ。それ以上のことは教えてくれなかった」。
「何か秘密が」。
クララは前のめりなって言う。イリーナは、はっとなって思いついたことを口にする。
「そういえば、人を生き返らせる魔術があったはずです」。
この問いに、オレガはゆっくりと答える。
「ヴィット王国だと何人かその魔術を使える人がいるみたいだけど、さっきも言ったけど、革命の時期、知る限りではヴィット王国は全く関与していなかったわ。もし、生き返りの魔術を使ったとしても、あの国に師を生き返らせる理由がわからないわ」。
「お爺さまが、ヴィット王国とかかわっていたことはないのですか?」
「聞いたことはないわね。私が遊撃部隊に所属する前にヴィット王国の女性魔術師が所属していたと聞いたことはあったけど、それぐらい」。
そのヴィット王国の魔術師は、共和国の首都ズーデハーフェンシュタットでブリュンヒルデに聞いた、アグネッタ・ヴィクストレームという魔術師のことだろう。
しかし、途中で革命軍を守った雹の話、ユルゲンを倒した後にあたりに立ち込めた霧の話、これは大気魔術だ。ヴィット王国の魔術師が関与している可能性が高いと二人は感じた。
オレガは尋ねた。
「お二人はまだ時間はある?」
「平気です」。
「じゃあ、もう少し話をするわね」。
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