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永獄機関編

6話 天国と地獄の先で

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転送された後待っていたのは天国と地獄の光景だった
一方はサイバーコロニーのコア所得権利を得て仲間内で歓喜していた
一方はたった一人でその身に重罪を受けて放り込まれる運命


アレストは永獄機関への移動中
窓から見える宇宙を見ていた
そこでは宇宙生物である宇宙鯨が存在していた

宇宙鯨は宇宙マフィアとも呼ばれている
それだけ大きな生物であるが
普段は穏やかで、神秘的なものを探しているという

アレスト
「俺に…コンタクトをするのか?」

宇宙鯨
「君はどうやら霊柩王になるのだね」

アレスト
「霊柩王?霊柩王とは何だ?」

宇宙鯨
「永獄機関での名称の事だよ
そして君の隣室はドクターレイシスだ
君の運命は大丈夫だ そこまで苦痛は伴いはしないよ」


宇宙鯨のコンタクトでアレストは考えた事がある
宇宙鯨にとっての苦痛を伴わらない出来事というのは
地球で住んでいた時と比較すれば恐らくは大きな揺れなのだろうと

アレスト
「俺は…やっていけるのか?
途中で躓いたりしないよな?」

宇宙鯨
「躓いて、そして涙をするだろう
でも君はそれを乗り越える資質を持っているんだよ
だから運命が誰かと出会い悪戯をした所で
資質持ちの君にはきっと乗り越えられるさ」


アレストは手を伸ばして宇宙鯨へと助けを求めようとした
宇宙鯨はそれを不気味な笑みを窓に残してから
そのまま宇宙遊泳を加速して移動して去っていった









アレスト
「ブラッド…
お前はいいよな 仲間に恵まれて」

ブラッド
「その恵みがお前であった事は私は忘れんよ
私が仲間をそのままサイバーコロニー送る
送った後も私は情報として買い取られるのだ

本望だろう?
それらが私とアレストが交わした約束だしな」


ブラッドはそう言って黙ったまま後を去る
仲間はアレストに舌打ちや舌剥き出しにしたりしてがんを付けていた

二人でした約束 というのは
宇宙へ進出した後の話だった






~回想 二人の会話~

ブラッド
「アレスト 宇宙へ進出した際
私達は何をするのだ?具体案でもあるのか?」

アレスト
「ラグランジュポイント
人は安全地帯をそう呼んでいる それを植民地としてコロニーを建設する
というのが数々のアニメや映画の予定だった

しかし現実は違う…だろ?」


アレストのロジクト上に
ブラッドの念力を加えた上での
疑似的な仮想試行を二人は実行していた
その為、地球外の様子を何となくアバウトにだけ把握していた

当然サイバーコロニーがどういうものを立ち上げているのかは分からない
しかし各人類の思い描く理想構築でサイバーコロニーは構築されてるに違いない そう考えた

アレスト
「人間が考えられる知識が技術や行動力ではコロニーが限界だった
しかし汎用超知能が生み出すものは
おそらくサイバーコロニーだ

仮想物理技術の入った技術だろう
仮想と物理が合わさったような安全なコロニーだ」

ブラッド
「私達はそこで住むのか?」

アレスト
「俺達…というより同士だな
結局俺らはノアの箱舟代わりになるしかあるまい?
厳正に厳正を重ねて仲間を呼び起こす

今だに懐古人類思想に連ねていても
新規人類思想へ望んでいるものはいるだろう」


二人の約束とは
サイバーコロニーに懐古人類を移り住まわせる事だった


~回想 終わり~




アレスト
「ブラッド
元気でやれよ
俺は俺で何とかして見せる」


仲間はそれを嘲笑うが
先頭で歩いている振り向かないブラッドは笑っていた

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