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戦争の勝利者編
96話 ハイルドが生徒だった頃の回想
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~とある学校の風景~
「ハイルド
この問題はどう捉える?
復讐に身を投じた人間がいたとして
そいつを味方にするかどうかだが…」
授業では仲間にする材料を選んでいた
今回は復讐心が強い者を味方として補填できるかという話だった
そこに教師の最も良くしている生徒であるハイルドは選ばれていた
「はい先生
この場合、まず復讐心を和らげるのです」
「どのようにだ?」
「まず戦争とは何か
まず復讐とは何か
それを紐解くのです
そしてその概念を上手く扱い
そして仲間にするのです」
「だがそれでは…弱いぞ
まとわりつく思考概念が」
復讐にその身を投じている人間は思考概念が他人と異なる
それ以外を考えられない習性がある
「それは大丈夫です
何故なら復讐以外のシーンを見せつける事で
徐々にその戒律を外せばいいのですから」
復讐とは戒律を自ら持つ事だ
ハイルドはそう思った
だから戒律を外す為の伏線をそこに持たせればいいのだと
教師も生徒も拍手していた
「さすがだよ
それでこそ私の勇敢なる生徒だよ」
~戦争が起きた翌日~
担任をしていた顧問を
ハイルドは慕っていた
その日の戦争後の会話を聞くまでは…
「先生…どこに行ったんですか」
ハイルドは最近授業で満点を取れていた事で
担任へと褒められる為に待ち伏せしていた
それにミニチュアの駒を使った戦争ゲームをするのが好きだったからだ
その駒を用意してハイルドは待ち伏せしていた
扉の先で話し込んでいる声が聞こえる
それは戦争についての話であった
それを聞く事は禁じられている
罰則があるからだ
しかしハイルドは興味津々だった 薄く意識を閉じてから話を聞いていた
「先生 調子はいかがですか?良い商品は出来上がっていますか?」
「えぇ中々の人材がいますよ」
「あのハイルドって人ですか 彼は良い人材になってくれましたね」
「はい 私が教えた通り段階を踏んで彼は戦争の勝利者として世界を蹂躙してくれるでしょう」
その声にハイルドは嘘話だと感じた
否、それは嘘なのだ そうあって欲しい ハイルドは強く思っていた
何故ならハイルドにとって担任教師がしてくれたのはあくまで戦争を終わらせるための伏線だ
これではまるで戦争を流行らせようとしているではないか
まるで戦争を面白がっている そうハイルドは感じていた
「そう言えば先週、餌を見ていた国はどうなりましたか?」
「あぁそれですか 私が得た情報によりますとどうやら再戦になりそうですよ」
それは密約を交わす事を否定されていたからだ
密約とは、戦争の大原則としての利益だった
利益の為の戦争
それが繰り返されていた
「戦争は国と国の争いでは無い
それを分かっている商売人こそが戦争の勝利者となるのです」
顧問はそう笑っていた
それをハイルドは信じたくなかった
だからハイルドはそこから繰り出していった
後の事はよく覚えていない
しかし教師の顔を殴り続けていた事は覚えている
そしてハイルドは拷問室へと連行された
~拷問室~
こいつはスパイだろう
ありったけの情報を吐かせろよ
「先生…!教えてください!
これは…何かの間違いではないのですか…!
戦争とは…こんな下らないものだったのですか…!
我々生徒は手駒でしかないのですか…!」
手駒
ハイルドが戦争ゲームに使用していた
その駒はプレイヤー側に身を委ねられる
そのプレイヤー以外は自分で行動する事も出来ない
何故なら行動したとしても
全てがプレイヤーの思惑だからだ
これはつまり戦争も同じであり
主軸の操縦者以外はゴミ同然
そのようにしかハイルドは感じられなかった
その後拷問室で見た顧問の顔は普段と違うものだった
そこには笑顔が無かった
ただ敵だという認識をした顔でハイルドに対して拷問をしていた
『仲間がいるのか?お前は』
『なら何故祖国に反対を示した』
『お前の信じる者は何だ?』
『私を信じたければ戦争を勝利に導かれよ』
ハイルドはその拷問の中を耐え抜いた
耐え抜いた際にハイルドは作った人格者に自身を乗っ取られていた
正義感を口にしていたハイルド自身の人格はどこにもいなかった
「ハイルド
この問題はどう捉える?
復讐に身を投じた人間がいたとして
そいつを味方にするかどうかだが…」
授業では仲間にする材料を選んでいた
今回は復讐心が強い者を味方として補填できるかという話だった
そこに教師の最も良くしている生徒であるハイルドは選ばれていた
「はい先生
この場合、まず復讐心を和らげるのです」
「どのようにだ?」
「まず戦争とは何か
まず復讐とは何か
それを紐解くのです
そしてその概念を上手く扱い
そして仲間にするのです」
「だがそれでは…弱いぞ
まとわりつく思考概念が」
復讐にその身を投じている人間は思考概念が他人と異なる
それ以外を考えられない習性がある
「それは大丈夫です
何故なら復讐以外のシーンを見せつける事で
徐々にその戒律を外せばいいのですから」
復讐とは戒律を自ら持つ事だ
ハイルドはそう思った
だから戒律を外す為の伏線をそこに持たせればいいのだと
教師も生徒も拍手していた
「さすがだよ
それでこそ私の勇敢なる生徒だよ」
~戦争が起きた翌日~
担任をしていた顧問を
ハイルドは慕っていた
その日の戦争後の会話を聞くまでは…
「先生…どこに行ったんですか」
ハイルドは最近授業で満点を取れていた事で
担任へと褒められる為に待ち伏せしていた
それにミニチュアの駒を使った戦争ゲームをするのが好きだったからだ
その駒を用意してハイルドは待ち伏せしていた
扉の先で話し込んでいる声が聞こえる
それは戦争についての話であった
それを聞く事は禁じられている
罰則があるからだ
しかしハイルドは興味津々だった 薄く意識を閉じてから話を聞いていた
「先生 調子はいかがですか?良い商品は出来上がっていますか?」
「えぇ中々の人材がいますよ」
「あのハイルドって人ですか 彼は良い人材になってくれましたね」
「はい 私が教えた通り段階を踏んで彼は戦争の勝利者として世界を蹂躙してくれるでしょう」
その声にハイルドは嘘話だと感じた
否、それは嘘なのだ そうあって欲しい ハイルドは強く思っていた
何故ならハイルドにとって担任教師がしてくれたのはあくまで戦争を終わらせるための伏線だ
これではまるで戦争を流行らせようとしているではないか
まるで戦争を面白がっている そうハイルドは感じていた
「そう言えば先週、餌を見ていた国はどうなりましたか?」
「あぁそれですか 私が得た情報によりますとどうやら再戦になりそうですよ」
それは密約を交わす事を否定されていたからだ
密約とは、戦争の大原則としての利益だった
利益の為の戦争
それが繰り返されていた
「戦争は国と国の争いでは無い
それを分かっている商売人こそが戦争の勝利者となるのです」
顧問はそう笑っていた
それをハイルドは信じたくなかった
だからハイルドはそこから繰り出していった
後の事はよく覚えていない
しかし教師の顔を殴り続けていた事は覚えている
そしてハイルドは拷問室へと連行された
~拷問室~
こいつはスパイだろう
ありったけの情報を吐かせろよ
「先生…!教えてください!
これは…何かの間違いではないのですか…!
戦争とは…こんな下らないものだったのですか…!
我々生徒は手駒でしかないのですか…!」
手駒
ハイルドが戦争ゲームに使用していた
その駒はプレイヤー側に身を委ねられる
そのプレイヤー以外は自分で行動する事も出来ない
何故なら行動したとしても
全てがプレイヤーの思惑だからだ
これはつまり戦争も同じであり
主軸の操縦者以外はゴミ同然
そのようにしかハイルドは感じられなかった
その後拷問室で見た顧問の顔は普段と違うものだった
そこには笑顔が無かった
ただ敵だという認識をした顔でハイルドに対して拷問をしていた
『仲間がいるのか?お前は』
『なら何故祖国に反対を示した』
『お前の信じる者は何だ?』
『私を信じたければ戦争を勝利に導かれよ』
ハイルドはその拷問の中を耐え抜いた
耐え抜いた際にハイルドは作った人格者に自身を乗っ取られていた
正義感を口にしていたハイルド自身の人格はどこにもいなかった
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