ブリキの兵隊達 ~ID人とST人~

クライン・トレイン

文字の大きさ
上 下
12 / 14
ゼンマイの心臓編

12話 ゼンマイの心臓

しおりを挟む
~マスタリオンのいる戦場~

そこにブリキ人形とマスタリオンが存在した

ブリキの兵隊にその他の敵を任せて
マスタリオンと対峙する

マスタリオン

「私は意志を持たない人形が好きです
意志を持つ人形はやがて命令を下す人間に牙を向きます足掻こうとします
それは全く持って愚かな事です

人形とはマスターに忠実でなければならないのです
だからこそ、私の人形たちは素敵さを誇っているのです」

マスタリオンは自分以外を人形と思い込んでいた
マスターは自分一人だと

マスタリオン
「あなた達の軍門には組み込まれません
私は人形を従わせる側の人間だ それはあなたと組むという選択には至りません」

マリス
「組む…?いや、違うよ
俺達はID世界に…全ての悲劇を終わらせるために来るだけさ」




マスタリオン
「ID世界に干渉したが故に狂ったのですか?
それもまた滑稽です」

ゲノム
「違うな
私はID世界に侵入して一度敗れた

だがな
それでも変わりたい思いは誰でも持っていいんだ
否定者はそこに要らねぇ 必要がねぇんだ」

マスタリオン
「私を殺すつもりですか?
否定者はつきものです」

アリスト
「違うな お前みたいな否定者は世界には必要無い
それはただの狭い世界で生きろと命じられているだけだ」

ウルフェミー
「そんな狭い世界
お前みたいな否定者くらいしか望まねぇよ
だから…とっとと消えろ否定者

この世界のアンチ野郎」




マスタリオンは攻撃を繰り出し続ける
それを全力で受け止める
反撃は出来ない

アリスト
「反撃出来ない程強いぞこいつ」

マリス
「当たり前だ
ID人にいたからな

残存しているIDアイテムも駆使しているから」

ゲノム
「量子盤散布も利用しているに違いない
だからこそ脅威の存在として反応されているんだ」

ウルフェミー
「だったら俺達が殺すしかねぇだろ!」




そんな光景をブリキ人形と戦うST兵を見ては思うID人

ID人
「マスタリオンという世界の否定者がいても戦う…か…」
「私達、このST世界を見てきたけど…結局私達は羨んでいたのかもね…」
「脅威を脅威と思っていないのだよ奴らは 異教徒だと思っている だからこそ奴らは戦えるのだ」

否定者は自分達の世界には必要ではない
そして自分達の自由なる世界へと羽ばたく為に
否定者を殺す選択をしている

ID人
「その選択は…」
「この選択は…」
「もう彼らは…ブリキの兵隊では無いのね…」




マスタリオンの攻撃を全力でかばい切り続ける
それがずっと続いた
その消費されていくエネルギーにマスタリオンは最後の攻撃で
切り札を出してきた

マスタリオン
「滅びよ!
運命の中で朽ち果てろ!」

マスタリオンの砲撃
それは誰も抗えない攻撃だった

アリスト
「やばいぞ!
この力では誰も制御出来ない!

誰かが犠牲にならなくては…!」


しかしそんな攻撃に犠牲になる者は誰もいない
誰もが運命を開こうと考えている
それは決して身代わりになるのが犠牲になるのが嫌だからの否定では無い

ID人の3人
「否定は誰もいないなんてな」
「私達のいた世界では考えられないかもね」
「だが、それがお前たちの…ブリキの兵隊が出した結論ならば…」


それを食い止めようと皆の前に現れたのはID人の3人だった

アリスト
「お前ら…!
どうしてだ!?
お前らはID人で、そしてマリスと違って娯楽の様に弄んでいた存在だったってのに!」

ID人
「そうだな
このST世界の生き物に興味があるんだ」

ID人
「私達はひたすらお前らを愚弄していたが
その傍らで羨んでいたのかもな…」

ID人
「俺達は何でも出来たが、お前らは何も出来ないちっぽけな存在
そんなちっぽけな存在がまさか最後に俺達の糧になるとは」


ID人の3人
「俺達すら分からなかったよ」
「私達すら知り得なかったよ」
「僕達すら予想できなかったよ」

そして3人は滅んでいった
マスタリオンの最終攻撃も虚しく消えていった


マスタリオン
「ID世界の住人がST兵をかばって死ぬ?
有り得ないですねぇ…なんですかそれは

そんな世界 私は見えない…見た事が無い…」

そしてマスタリオンに向かって
何かが向かってくる

ブーメランだ

マスタリオン
「あれはブーメラン?何故私に向かってくるのだ?
あいつは死んだのか?」


ブリキ人形は死んでいた
魔女の始祖の魂で作られた存在なのに

その事実はマスタリオンを深く感情を動かしていた

そしてマスタリオンはそのブーメランを受け止めようと感じてしまった




マスタリオンはそのブーメラン攻撃によって
大ダメージを負って、その場で倒れる

それを囲む皆

マスタリオン
「ブリキの兵隊だった玩具達が
まさかID世界へ侵入するまでの意志を持つなんてね…

そうですか…面白いですね…
私もID世界にはそれ程興味はありませんよ

ミゼルのように私もまた長い長い歴史から全ての酔狂を楽しんだのでね
これは私からの酔狂の一つです

私はIDアイテムの一つとなって存在します
そしてその私を使って操られた運命を破壊する殺戮を知りなさい」


そしてマスタリオンはIDアイテムを形を変えた

【赤乃剣乃反映(レッドオーシャンブルームーン)】
≪弱点であるウィークポイントだけに特化した曲刀
弱点に最大限のダメージを齎す

ブルーオーシャンである弱点以外を突くと
全ては所持者も関係者もろとも滅ぼす諸刃の曲刀≫



マリス
「ID世界へと突入するのは誰にする?」

アリスト
「それは決まってるだろ
適任者はお前だよ マリス」


マリス以外も全て賛成していた
ST世界もID世界も知り尽くしているからだ

マリス
「俺だけが…ミゼルの弱点を知っているからな
俺とミゼルは

元はIDアイテムだった
その悪意と悲劇を現実化した存在になってから
幾つもの時が流れて

そして俺とミゼルの意志は違いを見せた

俺は悪意を断ち切る選択を
ミゼルは悲劇を繰り返す惨劇を」


悪意を断ち切るためのIDアイテム
悲劇を繰り返す為のIDアイテム
だからこそマリスはミゼルの弱点を知っていた

マリス
「だから今度はしっかりと悪意を断ち切るさ」


そしてマリスはID世界へと量子盤を利用して旅立った
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

処理中です...