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Episode#01:音叉の少年

Episode#01:音叉の少年

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「えっと……」
ぢっと手を見る。
「わたし……」
ぢっと手を見る。
「………………」
ぢっと……

足が勝手に歩き出す。

ぢっ……

反対側の手が勝手に窓を開ける。

抜けるような青い空。
透けるほどに白い雲。
何かを脱ぎ捨てて何かを始めるに相応しい、澄んだ空気。

あぁ、潮風も芳しい爽やかな朝だ。

「ふふ。眩し」

自分の顔に満面の笑みが浮かんでいるのを自覚する。
まだ真っさらな美味しい空気を胸いっぱいに吸い込んで。
私は。


高らかに笑いながら手に持ったソレをチカライッパイ放り投げたのだった。



▶︎Episode#01:音叉の少年


「シスター!リンリンベリー入ってる?!」

今日も魔の時間帯に突入した。
チャイムが鳴って半刻あまり、一刻まるまる確保されたお昼休みの後半は、しかしなんだかんだで忙しい。
「マンドレイクの根、アルラウネの蔓がひと巻き、火を噴く山の雪結晶、全部で250金ね」
「耐火下敷き……耐火下敷き……あー…たまに踊るやつしかないけどいいかな」
「走る豆の缶ね……ってここで開けちゃダメだってば!あー!!」
足の生えた青豆の集団が生育しやすい環境を求めて走ってゆく先を見届ける間も無く、次の注文が入る。
あーあ、初級クラスの子たちにアレを全部捕まえるのは無理だな。
苦笑しつつ、差し出された予約伝票を確認する。学科が決まる時期だから専用魔具の注文も多い。

ここはグリードフォックス魔法学院。
ようやく黙って机に着けるようになったばかりの幼児が湖をひとつ無事に凍らせることができるように、あるいは焼畑一枚を他に延焼させることなくこんがり焼けるように……まぁとにかく一人前になるまでの数年間、魔法の鍛錬を行う学び舎だ。

そして私は学院の購買部で働いている。
あだ名はシスター。まだレディとは呼ばれたくないので、そのつもりで。

生徒たちの生活空間とはショーケース付きのカウンターと魔法障壁で区切られた狭い空間。魔具の在庫が所狭しと押し込められ腕も満足に伸ばせないその場所で教材や文具、その他勉学に必要なものを管理し売るのが私の仕事。
「そういえば踊らない耐火下敷き注文するの忘れてたな……」
授業が始まり生徒が掃けて静かになった廊下を眺めつつ注文書をめくり、忙しさに荒れた室内を片付けながら品薄の商品を書き入れていく。今週は走る豆と眠る豆の単価が高く旋風クローバーが底値、甘い風の瓶詰めは……バツ印。暫く入荷が無いらしい。
「ポスト!」
呼び声に応じてちょこまかと走ってきた黒い箱のスリットに書き終わった注文書を滑り込ませる。
「金牛の刻までにお願い」
黒い箱は四つのカドをピシッと尖らせ完璧な立方体に整ってから、再びふにゃりと脚を生やして出て行った。羽も作れるのだから窓を使ってもらっても良いのだが…まぁポストにも配達方法の好みがあるのだろう。遅れたことも届かなかったことも無いからどちらでも構わないけれど。


さて、ひと段落。とっておきのバターベリーサンドクラッカーも有るし、お茶でも淹れようかと考えているとカウンターの向こうに気配を感じた。生徒は授業中のはずだから教員だろうか。もそもそと在庫を避けてカウンターへ向かう。
「いらっしゃ……あれ?」
誰もいない。
在庫に埋もれたこちらの姿に気づかず去ってしまったのだろうか。これでもカンは良いほうだから気のせいということは無い……と思う。多分。きっと。
カウンターからぐいと身を乗り出して視線を廊下に往復させ……ソレに気付く。カウンターのすぐ下、しゃがみこむ金栗色の小さな頭に。
「……忘れものでもしちゃったかな?」
声を掛けると小さな頭はぴくりと震え、ゆっくりとひっくり返って大きな水色の目を現した。
「何かお役に立てて?」
「……楽器」
頭と同じく小さな声がぽそり、と呟く。
「楽器が欲しい。誰にも馬鹿にされないような」



『……えっと……わたし……』
教室中に溢れる嗤い声と拳の中で掌に爪が刺さる感触が……



「……シスター?」
いけない。ちょっと飛んでしまった。
「ああ、うん」
あはは、と苦笑い。
「うん、大丈夫」
この子は楽曲魔術師の候補生だ。魔術形態は多々あれど、主に物質の中に宿る魔法の素──俗に魔基と呼ばれる──を楽曲の力で魅了し、使役することで効果を発動させる魔術師。資質の他に使用楽器との相性も求められる、なかなか厄介な分野だ。
しかも、好みの楽器に適性があるとは限らない。
「楽器の選別が終わったのね」
大きな目を再び隠した頭がこくりと揺れる。
「君は何の楽器に選ばれたの?」
こちらの声に応えてポケットに潜り込んだ小さな手が取り出したものを見た瞬間、不覚にも凍りついてしまった。
それは楽器ですらない、折り曲げて持ち手を付けただけの金属棒。
「……悔しいよ……!」
静かな廊下にしゃくりあげる声が響く。
「……おとうさんやおかあさんみたいな音楽の魔法使いになりたくていろんな楽器練習したのに……っ!フルートも……バイオリンも……っ……頑張ったのに……!」
それは音叉と呼ばれる調音具。叩いて発する音は単音で、響かせる箱が無ければその音すらマトモに聞こえない。
これは……
「……みんなも笑うし先生もゼンダイミモンだって……こんなの……ヒドイよ……!」
「……わかった」
カウンター横の壁に命じて道を開かせる。
「お入りなさいな。美味しいバターベリーサンドクラッカーが有るの。お茶でも飲んで落ち着いたら君に合う楽器を探してみよう?」


愛らしい声と薄水色の瞳、いっそ金に近い栗色の巻毛を持つその少年はムジークと名乗った。ローブの胸元に輝く楽曲魔術科の学生章は適性テストによって確かにその適性を認められた証。
上から見た顔と可愛らしい声から女の子だとばかり思っていたのだが……まぁ、そっちはいいや。
「……お店の奥にこんなお部屋が有るなんて知らなかった」
それはそうだろう。
校舎の表側ではなく、裏手に張り出した部屋。壁の半分から上はガラス張りの、いわばサンルーム……というよりは、温室?
「まぁ校舎の表側からは見えないわね」
薬草でいっぱいの庭園に一人用のベッドとガーデンテーブルセットがひと組、壁際には暖房を兼ねたオーブンと流し台だけのキッチン。
「私の私室よ」
張られたロープに吊り下がっている薬草の束から捥ぎ取った葉を茶器に放り込み、オーブンの上で沸かしたお湯を注ぎ込めば良い香りが漂った。砂時計の砂が落ちきる頃には透明なお湯が夕焼け色に染まるはずだ。
それぞれの前におもてなし用のナプキンを敷き、クラッカーの皿を真ん中に置いてカップをセットする。
「それで」
ティーポットを傾ければ予想通りの夕焼け色がカップを染めた。
「君はどんな楽器ならいいのかな?」
「……馬鹿にされない楽器なら、なんでも」
勧めたカップに輝石シュガーの塊をみっつばかり入れながら少年が唸る。
「ホントに、何でもいいんだ。僕なら飼い慣らしてみせるよ。ピアノでも、木琴でも」
「……カスタネットは?」
「……笑われない楽器って言ったじゃない」
茶器を啜りながらむくれる頬が可愛いが…そっかぁ、笑われない楽器かぁ。
「じゃあ、今このお店にあるありったけを出すわね」
地面に敷物を広げ、店内から運び込んだ楽器を並べてゆく。彼が頑張ったと言っていたバイオリンやフルートを始め、サクソフォン、コルネット、リコーダー各種に首かけ木琴・鉄琴や宙に展開する鍵盤。おそらく彼の候補には入らないであろうカスタネットやトライアングル、タンバリンも。
「これ、全部試していいの?」
「どうぞ。授業では担当外の楽器、触らせてもらえなかったでしょ?」
譜面台を立てて譜面の束を置いた。ここにある楽器なら全て網羅している指揮者用のスコア……なんていうものが在れば良いのに。
「お部屋が壊れちゃうような魔法は困るから試すのはこの曲でお願いね。成功すれば光のシャボン玉が浮かぶの。どんなに大きくしてもどんなに増やしても構わないわ」
『光のシャボン玉』という言葉に浮かんだ不満げな表情も、いくらでも大規模にして構わないと聞いた瞬間に晴れ渡る。まだ湯気の立つカップもそのままに歩み寄ってきた少年は黒輝貝の象嵌で魔法文字の施されたバイオリンを手に取った。
流れるような風と光の旋律が響き始める。
頑張ってきたと言うだけあって、きっかり楽譜通りに整った綺麗な音色だ。けれど。
「……どうして」
ぷちぷちと弾けるシャボン玉はソーダ水の中に沸く炭酸泡のような大きさで。
どんなに早く、どんなに力強く、どんなに美しく弾いても大きく膨らむことは無くて。

「じゃあフルート……フルートは……!」

「鉄琴……コルネット……!」

「……リコーダー……!」

綺麗な演奏が時間を経るごとに、更に楽器を変えるごとに乱暴になってゆくのを聴きながらお茶を啜る。
「……シスター!これおかしいよ!」
すっかり冷めた夕焼け色がカップから消える頃、少年の中にある我慢の堤防はとうとう決壊した。
「どの楽器を使っても爪の大きさにもならないなんて…こんなの…」
今までにできたどんな大きさのシャボン玉よりも大きな涙の粒が敷物に落ちて濃く染みを作る。
「うーん」
まぁ、そうだよなぁ……
「音叉、使ってみたりは?」
「絶対ヤダ」
うん、そうだよなぁ……
吐いてみせるのは盛大な溜息。
「……じゃあ、ムジーク」
ポケットの中からソレを取り出せば、眼を見張るのは少年のほうだ。

「一休みして私の楽曲魔術、見てくれるかな?」

それは、原始の音。
掌に収まるほど小さくてリズムと強弱しか無いけれど、老いも若きも手練れも初心も、全てを受け入れる寛大で自由な音。

「それって……」

そう、カスタネット。二枚貝を模し、丸い板を打ち合わせるだけのごく単純な仕組みで奏でる打楽器だ。
遠い昔に一度は拒否して投げ捨てた、けれど今は私の相棒。

音に合わせてふわりふわりと湧き上がっては消える、光でできたシャボン玉。音楽の名を持つ少年の目が澄んだ輝きと落ち着きを取り戻してゆく。
とうとう、幼さの残る手がポケットから小さな音叉を取り出した。
楽器ではないけれど。
「叩いてみて!」
まだ不安げな瞳に笑いかけてやる。
「素敵なことが起こるから!」


お茶と同じ色の陽光が溢れかえる温室、互いが互いの複製であるかのように同じ大きさのシャボン玉が少年の横顔をきらきらと照らし出す。
少年が叩く音叉の震えはマチマチだったシャボン玉の大きさを整え、少年自身を囲むように整列させた。彼の演奏と同じく整い過ぎるほどに整った光の珠。
「うわ、初めてとは思えないな」
「シスター……どういうことなの?」
問いかけてくる大きな目に微笑を返す。
「……そうだなぁ……ここに間違って開けちゃった『走る豆』の缶が有ります」
「……え?あぁ、うん」
「走っていっちゃった『走る豆』、君が集められると思う?」
半端に蓋の捲られた缶。白黒まだら模様の鞘から走り出す青豆のイラストに目を落とし、小さな頭はふるふると揺れた。
「……無理だと思う」
だよね。
本来なら上級クラスへの進級テストに出されるレベルの課題だ。初級どころか基本クラスを脱したばかりのぺーぺーにできる仕事ではない……普通なら。
「やってみる気、無い?」
「ボクが?」
缶の中に残っていた白黒まだら模様の鞘を蓋の隙間から振り出そうとしていた手が止まる。
「『探知の網』は習ってないし楽器も無いもん……ダメだよ。できるわけない」
「そうかな。私はできると思うわ」
こつ、こつ、こつ、手にしたカスタネットでリズムを取りつつ缶に触れると缶が仄かに光を帯びた。大丈夫。缶の記憶は失われていない。
「ちょっとだけ手伝ってあげる。こっちは後で覚えてね」
床に置かれた缶を中心に描かれてゆく魔法陣。青豆を抱き守っていた鞘の記憶を旗にして組み立てた、目印の魔法陣だ。完成を待って缶を退かしてやれば中心は空白の魔法陣が描けた。
「さあ、音叉を叩いて魔法陣の真ん中で響かせてみて。学校中に散らばったお豆さん達を呼んでここに整列させるの」
「……やってみる」
ぱん、と掌に硬いものの当たる衝撃音だけが響く。音叉、それ自体は殆ど音を発しない。その音は何かに触れて初めて響き渡るのだ。


……ぽぅん……


魔法陣の中央に音叉が立てられた途端、魔力光の輪が爆発でも起こったかのように拡がった。
うわ、このレベルか。
ほぼ歪むことなく正確に球形を描き広がり続ける光の輪は……
……うん、コレ、後で自分が怒られるヤツだ。


倒れた音叉と床にぺったり座り込んだムジーク、そしてワクワクとビクビクを同時に抱えた自分の前に怒り顔の教頭と最初の青豆が到着したのは脳内で三十ほど数えた頃、だった……


「はい、転入届と推薦状」
いきなり学園中に魔力の輪を広げたことに対する教頭のお小言を聞き流したあと、2通の書類をしたためた。
帰ってきた青豆は8粒。走る豆の缶詰めは約20粒入りだから最初に入っていた豆の半分にも及ばない。けれど特に召喚の術式も無く来いと念じただけでこれだけ集めてしまったのは十分凄いし、脱走からの経過時間を考えれば根の生えてしまった個体も多かっただろう。
つまりは上出来、である。
彼は調律と増幅に特化していた。しまくっていた。
自分で奏でた楽器では人の耳を癒すのが精一杯で魔基を魅了することはできない。けれど音叉でなら魔力で描いた設計図に沿って強制的に従わせることができるのだ。
人は彼らを調律師、チューナーと呼ぶ。
楽曲魔術と似て非なるこの能力は音を統べる者であるコンダクターに次いで稀有。そして強力だ。でき得る限り正しく慎重に導くべきなのだがいかんせん指導できる講師が少な過ぎた。
「私のお師匠様なの。きっとあなたを一人前のチューナーに導いてくれるはず……」
「シスター……ボク、転校するの嫌だな」
ぽつり。少年が口を開く。
「それに売店の店員さんが書いた紹介状なんて見てくれないよ……」
あはは……売店の店員さん、まぁそうなんだけど。
机の隣から盛大な溜息が噴き出した。
「……ほら、いつまでも悪ふざけしていなさるから」
傍らに立つ影をちらりと見上げれば見慣れた教頭の呆れ顔。
「大切な生徒を困らせていますよ」
「悪ふざけじゃないもの」
ぷいと目を逸らせば、今度は少年の愛らしい困惑顔。
……あー、わかった観念した。
「えっと、シスター……?」
「うん、ごめんね」
苦笑して、ひとつ、咳払い。姿勢を正す。

「ええと、私の名前はクレープ・S・グリードフォックス……まぁつまり、学院長先生よ」


「ムジーク、頑張ってるかしらねー」
テーブルにはお気に入りのマグカップ。晴空色のお茶と、甘酸っぱいジャムが挟まれた堅焼きクッキーがテーブルに並んだティータイム。
「便りが無いのが良い便りともいいますでしょう?」
それに10日も経っていないじゃないですか、と向かいに座った教頭が笑う。
「そうもいうけど、船乗りの弟が居る身にもなって欲しいわ。便りが無いと思ったら沈んでたりするかも知れないんだから!」
窓の外を海鳥の影が横切った。
つまんだ星模様のクッキーは先日港に降りて久々に再会した弟からのお土産だ。使い魔通信も使えるくせに碌に便りも寄越さないもんだからハタいておいた。
「相変わらずの無連絡恐怖症ですね」
「ビョーキじゃないわ。気になるだけ」
自分に繋がるものはみんな健康安全無事でいて欲しいってそんなにおかしいかな。
「学院長の場合はそれを常に確認していないと落ち着かないのが問題なんです」
「知ってる」
そんな性格だからこそ一人でも多く生徒の無事を確認したくてここに居るのだ。この、購買部に。
さくり、とクッキーを一口齧り取ったところへ今日のポストがやってきた。頭をカポンと開けてやると伝票や納品予定表に混じって可愛らしいホルン模様の封蝋が為された白い封筒が目に入る。
「良かったですね」
「……うん」
ペーパーナイフを滑らせれば、新しいインクの匂いが漂った。


さて、音楽の名を持つ少年は何を綴ってくれたのだろう。元気だろうか。
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