食べたい2人の気散事・裏

黒川

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食べたい2人の土曜日。

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前回の金曜日と繋がってるように見えますが、繋がっていません。
こちらも、いつかの土曜日であり、この前日の金曜日も、2人は相変わらずイチャコラしてたと思って頂ければ幸いです。


✂ーーーーーーーーーーーーーー✂


いつかの土曜日。
昨夜はお楽しみでしたね、なんて言われてもそりゃそうでしょ、としか言えない。
だって好き合った恋人同士。
翌日、仕事もバイトも無かったら、週末盛り上がらないワケがない。


そんな2人揃って休みの日、朝と言うには遅すぎる時間に、何を食べようか。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


【土曜日のレタスチャーハン】


カーテンの隙間から漏れる光で目が覚める。
隣には健やかな表情で眠る恋人。
まだ起こしたくなくて、カーテンをしっかり閉めて光を遮断した。

「かわいい……」

小声で呟いて、時間を確認。
平日だったら起きて当然の時間だったけど、今日は土曜日。
ゆん君もバイトは休み。
だったらと。俺はもう一度ベッドに寝そべった。
……2度寝するつもりだったけど、完全に目が覚めてしまった。
でも、ベッドから抜けるのも癪なので、そのままゆん君の寝顔を楽しむ。

昨夜はお楽しみでしたね……と、某ゲームの有名なセリフを頭の中で反芻する。
えぇえぇ、お楽しみでしたとも。

ゆん君の身体は、どんどん俺好みに育ってきている。自ら鍛えてると公言した胸筋はフカっと盛り上がり弾力が良い。そのテッペンを飾る突起もプックリと主張し、指や舌で弾けば「ふゃっ……ぁあっ」なんて可愛い声が漏れる。
あぁ、思い出しちゃうなぁ。
昨夜はだいぶ乳首を弄ってしまった。
涙目で訴えてくるゆん君が可愛くて「やめて」と言われても続けちゃったんだよね。だって舌触りが気持ち良かったんだもん。仕方ないよね?悪いのはゆん君の乳首だ。あんなにプックリ大きくさせちゃってるんだから。咥えるな舐めるな弄るなと言う方がおかしい。
あぁ、ヤバいな。昨夜あれだけ散々ゆん君を可愛がったのに、ムラムラが止まらない。

チラッと横で眠っている恋人を見るけど、昨夜の淫猥さなんてどこ吹く風とスヤスヤ上向き真っ直ぐに眠ったままだ。

……イタズラしたい。

そんな最低な考えが頭を過る。
睡眠姦なんて言葉もあるけど……こんなかわいい子を相手にそんな非道な事は出来ない。
でもイタズラしたい。
無防備な状態で、ゆん君の気持ちの良い場所を弄ったら、どんな表情をしてくれるのだろう?
いつも以上に素直な反応が見れるかな?

キスくらいなら、いつもしてるしされてるし……と、自分に言い訳をして、ゆん君の口にしっかりと唇を押し付ける。

「んふ……」

感触から逃れるように、ゆん君が顔を逸らす。
追いかけるように、またキスをする。
すると、まだ目覚めないゆん君の眉間に皺が寄った。

嫌がられたかな?

ソワソワしながら、ゆん君の反応を見てると、うっすらと目が開いた。

「……おはようございます……」

ちょっと掠れた声がエッチだ。

「……キスしました?」

「うん、可愛かったから、つい」

素直に認めると、ヘラっとゆん君が笑った。

「タットさんも可愛いです」

ゆん君はモゾモゾ近付いてくると、俺を抱え込むように抱き締めてくれた。

「へへっ」

と言う笑い声付き。え?俺の恋人可愛すぎません?
突然の甘えっぷりに、鼻の下を伸ばしていると、太もも辺りでゴリっと固いものを押し付けられた。

……これ……

「ゆん君?」

太ももに押し付けられているものを、手の平で確認をする。

「んんっ……タットさん……勃ちました……」

元気っ!俺もイタズラしたいとか言ってみたりしたけど、ゆん君は物理的に元気っ!

「ねぇ……ダメ?」

と、小首を傾げて俺に聞いてくる。
ここに来て、タメ語を使ってくる。
紛うことなき小悪魔だ。

「ダメじゃないよ」

俺だって、ゆん君に触りたかった。
昨夜あれだけしたのに、なんて無粋なことは言わないで。
ハタチと20代前半の成人男性の欲なんて、無尽蔵だ。
俺は遠慮なく布団を剥いで、小悪魔な恋人の上に乗った。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


気付けば昼時。
うん。ちょっと……かなり……楽しみ過ぎた。
ゆん君はベッドに沈んでハフハフ息を切らしている。
……乳首がぷっくり赤く腫れ上がってる……
でも言い訳したい。
『今回は』ゆん君からのご所望だ。

「そこ。前より気持ち良くて……昨日はダメって言ったんですけど……」

言いにくそうにオネダリしてくるので、遠慮なく吸い付いたし転がしたし甘噛みもした。
なんなら指で潰して摘んで擦り上げた。
フルコースだ。
弄る度に嬌声が漏れるのもいい。

「きもちーね……?」

と、聞けば視点の定まらないトロンとした目のまま、ヘラっと笑ってくれる。
頑張れば乳首だけでイけるんじゃないかな?と期待したけど『今回は』まだだった。

「タットさん……タットさん……挿れて?……もう……ね?……タットさんの……コレ……突いて……?」

俺のガチガチになってるペニスを柔らかく手で包み込んで、誘導してくる。

初めて身体を重ねてから、声が出ても恥ずかしくない、気持ち良かったら、して欲しいことあったら、教えてと仕込んだ甲斐があった。
本当に素直でエッチでかわいい恋人に育ってきている。

かわいい、かわいい俺の恋人。

お望み通りに挿入すれば「ひゃ……んぁぁぁ!!」想像以上に悦んでくれた。

突然始まったセックスだったので、シーツもパジャマ(特にズボン)も下着(主にパンツ)もドロドロのグチャグチャ。

「流石に洗濯しないとね……」

晴天で良かった。
少しダルい身体を起こすと、ゆん君も気怠そうに起き上がった。

「ベトベト……」

「すごーくね」

2人で苦笑いすると、一緒に「ぐぅー」とお腹が鳴った。
当たり前だ。食事もせずにお互いを貪っていたんだから。

「どうしよう?身支度整えて、どっか食べに……ゆん君、その表情はダメだ。外に出せない」

頬を紅潮させてポヤンとしてる。
明らかに事後の顔だ。

「むぅ……じゃぁ、何か作りましょう」

「うん、けどその前にシャワー浴びてサッパリしようね。一緒に入る?別々にする?」

効率を考えると、一緒が良いんだけど、ゆん君は未だに事後のお風呂を恥ずかしがる。
なので、毎回聞いている。

「お腹空いたので……一緒に入ります……でも、もう……エッチな事は無しで」

一緒に入るとお風呂で再戦する事もあるので、しっかり牽制された。
流石に俺も、もう無理だけどね。
いい加減お腹空いた。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


無事?何事もなく?2人でシャワーを浴びて、サッパリすると、ゆん君の表情も少しは健全に戻ってた。

台所に立てば、早くご飯を食べたい腹ペコの成人男性2人だ。ゆん君が仕切り始めた。

「手早くチャーハンにしましょう」

「チャーハンが手早い……」

「言うより説明するより作り始めた方が早いです」

ゆん君は、俺に卵を2個渡してきた。
俺が割り解している間に、ゆん君は冷凍ご飯をレンジで解凍し始め、チャーハンの具材を物凄い速さで切り始めている。

「フライパンに油敷いて緩めの炒り卵を作るみたいにしてください」

指示が容赦ない。

「はいっ」

俺も言われた通りに卵をフライパンに入れ、緩く固める。

「その位でオッケーです。器に戻してください」

「はいっ」

卵を移しながら、まな板の上を見るとソーセージ、ネギ……と、大量のレタスだ。

「フライパン役変わりますね」

これは本気だ。
基本、2人で料理をする時、ゆん君は俺に色々な機会を与えてくれる。それこそ、ゆん君がやった方が早い事なんて分かりきっているのに、手際が悪くても、時間がかかっても「最初は誰だってそうです」と、俺がする事を辛抱強く待っていてくれる。

けど……コレは俺の料理指導より早くご飯食べたいモードなのだろう。俺も同じ気持ちなので役割を交代する。

「レタス以外の具材を入れてください」「ご飯」「中華出汁とジャン」「レタス」

言われるがままに俺が材料を入れ、ゆん君が炒める。材料を全て入れ終われば、俺はやる事が無くなったので、出来上がりまで、残った材料をしまい、空いた器を軽く洗う。
すると、ゆん君が「タットさんの家事力が上がってます!!」と喜んでいた。

そう言えば、前もこんな事があったなぁ……と、思わずニヤついてしまった。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


出来上がったチャーハンは、そりゃもう空腹も相俟って、とてもとても美味しかった。

「ゆん君……、天才……美味しい……レタスがシャキシャキしてて歯応えがいいね」

「口に合ったなら良かったです。うん、ジャンの加減もちょうどいいですね」

ジャン、とは、ゆん君が大好きな業者用スーパーに売っている香味料だ。
ネギと生姜と油と、あと色々。何にでも合うジャンは、俺の家でも大活躍で、小瓶と大瓶で売ってるけど、もちろん大瓶で買っている。

「そう言えば、ジャンがそろそろ無くなりそうだったな」

チャーハンに入れる時、瓶底から掬い上げたのを思い出した。

「それは一大事ですね、買い足さないと」

ゆん君が真顔で応える。

「じゃぁ、ご飯食べ終わって少ししたら、業者用スーパーに行こうか?」

と誘うと、ゆん君はパッと顔を明るくさせてご機嫌になった。

「やった!行きます!一緒に行きましょう!」

これで、午後の予定も出来た。
せっかくの休みなのに、午後の予定がスーパーだなんて……って思うかも知れないけど、俺はこう言う日常も好き。
ゆん君が喜ぶ場所なら、スーパーだって十分なデートコースだ。

そんなのんびりとした土曜日だって、2人ならいくらでも楽しく過ごせる。
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