28 / 67
26:表~40
しおりを挟む
家に着くと、ゆん君はすでに起きてた。
「あ、起きたんだね。ゆん君おはよう」
挨拶をして、コンビニで買ってきたご飯をテーブルの上に置く。
俺が朝ごはんを食べない事を覚えていてくれてたみたいで、ゆん君は少し申し訳なさそうにしていた。
そう言う小さな事でも覚えていてくれるの、嬉しい。
挨拶程度に抱き締めて、シャワーに向かわせる。
夜、結構汗かいてたんだよね、ゆん君。
接客業なので綺麗な体で送り出したい。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
サッパリとした表情で戻ってきた彼に、テーブルに並べた朝ごはんを見せる。
うーん、やっぱりコンビニ飯だと見栄えが悪い……
せめて栄養満点なメニューだと、言い訳がましく、CDフィットで薦められていたサラダの栄養表を見せれば、
「わざわざ調べてくれたんですね。ありがとうございます。でも俺、ジャンクな食べ物も大好きなので、あまり気にしなくても大丈夫ですよ。カップ麺も菓子パンもファストフードも、みんな好きです」
ゆん君の気遣いの塊が降ってきた。
あぁー。そう言う所、好き。
気遣いとか思ったけど、きっと彼の本心だ。
ゆん君は食べる事が好きだから、俺が菓子パンを買ってきたとしても、きっとどんな菓子パンなんだろう?とか興味持って本心で喜んじゃうんだろうな。
好き。
大好き。
思わず笑みが零れる。
お互いどれを食べようか、こっちも美味しい、それは何が入っているの?等と、分け合ったり感想を言い合ったりしながら、朝ご飯が済んだ。
こんな楽しい朝ごはんなら、毎日でも食べたいな。
食事も終わり、しばらくテレビを見ながら食休みをさせていたら、ゆん君のバイトの時間が差し迫ってきた。
俺もそろそろ始業時間。
寂しい気持ちもあるけど、今日の夜も会える!
浮ついた気持ちでゆん君を見ると、なにやら神妙な表情をしていた。
心配して、様子を伺えば、俺への気持ちに気付けて良かったとしみじみと言われた。
え、何それ嬉しい。
でも、確かに昨日ゆん君が追いかけて来てくれなかったら、そのまま関係はフェードアウトしてたんじゃないかなと思う。
もともと、俺はそのつもりだったし。
荒療治な気もするけど、きっかけをくれた店主さんにも感謝だ。
ゆん君も、同じように店主さんに感謝してるみたいなので、俺の分もお礼を言っておいて欲しい事と、改めてイロトリに予約して挨拶しに行く旨を伝えた。
最後に抱き合って舌を絡ませるキスをする。
まだディープキスは恥ずかしいのか、ゆん君が下を向いてしまったので「少しずつ、慣れていこうね」と、伝えると、
「タットさん!俺なんだかめっちゃ恥ずかしいです!!」
なんて、顔を真っ赤にして訴えてきた。
もうその訴えすらも可愛いとしか形容出来ない。
思わず笑ってしまったけど、彼もつられて笑ってくれた。
恋人同士のスキンシップも、日常的であると思えるようになって欲しい。
「行ってらっしゃい。また、夜にね」
そう言って、幸せな気持ちのまま、彼を見送った。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
……夢じゃないよね?
改めて、昨日の夜から今朝にかけての出来事を反芻する。
思わず、古典的に自分の頬を抓る。
間違いなく痛い。
これは現実だ。
彼の事が好きすぎて、俺の頭がおかしくなって自分の都合の良い事を夢想し、幻覚を見ていたわけでもない。
……思い出そうと思えばリアルに思い出せる、ゆん君のペニスの感触に、刺激した時の反応。
あっあぁぁぁぁー!!!!可愛かった!!!可愛かった!!!すっごく可愛かった!!!
いきなり現実味が帯びてきて玄関先で飛び跳ねてしまう。
大の男が何してるんだ?と思うかも知れないけど、考えてもみて欲しい。
手に入らないと思ってた望みの無い男の子が!俺の事を好きになってくれて身体を預けてくれたんだ。
ソレって確率で言ったら飛んでもない天文学的数値になるんじゃない!?
誰も居ない事を良いことに、フーフーと鼻息荒く呼吸をする。
残念ながら、突っ込む人も止める人も誰も居ない。
荒い鼻息を、今度は鼻歌に変換させて居間に戻る。
どんだけ嬉しくても時間は残酷で、そろそろ俺の始業時間だ。
でも、今日は何となく捗りそうな気がするし、何がなんでも定時で終わらせるし、今夜ゆん君を連れて行くお店も決める。
うん、忙しいぞ。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
チームのチャットで「今日の古川がエグい」と突っ込んできたのは同僚。「調子いいね」と言ってきたのはチームリーダー。「今日の古川さんのタスク管理どうなってんですか?」と聞いてきたのは後輩。
何とでも言ってくれ。
何がなんでも定時で上がると強い意志を持ったら思った以上に仕事が捗った。
終業の目処がついたので、ゆん君にメッセージを送る。
『時間通りに仕事終わりそう。駅前で待ち合わせでいいかな?』
昼休み中に、ゆん君が喜びそうなお店を見つけたので、今日はそこに連れて行くつもり。
恋人に昇格したおかげか、ゆん君のメッセージも何だか甘くなった気がする……
ハートの付いたスタンプを初めて貰った……脊髄反射の如く『大好き』をスタンプと言葉で伝えると、ゆん君からも『お仕事頑張って』と応援された。
予定通り定時に合わせて仕事を終わらせる。就業記録を提出し、仕事用のパソコンの電源を切って……これでおしまい。
少し伸びをしてスマホの画面を見ると、再びゆん君からメッセージが届いていた。
『兄ちゃんも一緒に行ってもいいですか?』
お兄さん……!?
「あ、起きたんだね。ゆん君おはよう」
挨拶をして、コンビニで買ってきたご飯をテーブルの上に置く。
俺が朝ごはんを食べない事を覚えていてくれてたみたいで、ゆん君は少し申し訳なさそうにしていた。
そう言う小さな事でも覚えていてくれるの、嬉しい。
挨拶程度に抱き締めて、シャワーに向かわせる。
夜、結構汗かいてたんだよね、ゆん君。
接客業なので綺麗な体で送り出したい。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
サッパリとした表情で戻ってきた彼に、テーブルに並べた朝ごはんを見せる。
うーん、やっぱりコンビニ飯だと見栄えが悪い……
せめて栄養満点なメニューだと、言い訳がましく、CDフィットで薦められていたサラダの栄養表を見せれば、
「わざわざ調べてくれたんですね。ありがとうございます。でも俺、ジャンクな食べ物も大好きなので、あまり気にしなくても大丈夫ですよ。カップ麺も菓子パンもファストフードも、みんな好きです」
ゆん君の気遣いの塊が降ってきた。
あぁー。そう言う所、好き。
気遣いとか思ったけど、きっと彼の本心だ。
ゆん君は食べる事が好きだから、俺が菓子パンを買ってきたとしても、きっとどんな菓子パンなんだろう?とか興味持って本心で喜んじゃうんだろうな。
好き。
大好き。
思わず笑みが零れる。
お互いどれを食べようか、こっちも美味しい、それは何が入っているの?等と、分け合ったり感想を言い合ったりしながら、朝ご飯が済んだ。
こんな楽しい朝ごはんなら、毎日でも食べたいな。
食事も終わり、しばらくテレビを見ながら食休みをさせていたら、ゆん君のバイトの時間が差し迫ってきた。
俺もそろそろ始業時間。
寂しい気持ちもあるけど、今日の夜も会える!
浮ついた気持ちでゆん君を見ると、なにやら神妙な表情をしていた。
心配して、様子を伺えば、俺への気持ちに気付けて良かったとしみじみと言われた。
え、何それ嬉しい。
でも、確かに昨日ゆん君が追いかけて来てくれなかったら、そのまま関係はフェードアウトしてたんじゃないかなと思う。
もともと、俺はそのつもりだったし。
荒療治な気もするけど、きっかけをくれた店主さんにも感謝だ。
ゆん君も、同じように店主さんに感謝してるみたいなので、俺の分もお礼を言っておいて欲しい事と、改めてイロトリに予約して挨拶しに行く旨を伝えた。
最後に抱き合って舌を絡ませるキスをする。
まだディープキスは恥ずかしいのか、ゆん君が下を向いてしまったので「少しずつ、慣れていこうね」と、伝えると、
「タットさん!俺なんだかめっちゃ恥ずかしいです!!」
なんて、顔を真っ赤にして訴えてきた。
もうその訴えすらも可愛いとしか形容出来ない。
思わず笑ってしまったけど、彼もつられて笑ってくれた。
恋人同士のスキンシップも、日常的であると思えるようになって欲しい。
「行ってらっしゃい。また、夜にね」
そう言って、幸せな気持ちのまま、彼を見送った。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
……夢じゃないよね?
改めて、昨日の夜から今朝にかけての出来事を反芻する。
思わず、古典的に自分の頬を抓る。
間違いなく痛い。
これは現実だ。
彼の事が好きすぎて、俺の頭がおかしくなって自分の都合の良い事を夢想し、幻覚を見ていたわけでもない。
……思い出そうと思えばリアルに思い出せる、ゆん君のペニスの感触に、刺激した時の反応。
あっあぁぁぁぁー!!!!可愛かった!!!可愛かった!!!すっごく可愛かった!!!
いきなり現実味が帯びてきて玄関先で飛び跳ねてしまう。
大の男が何してるんだ?と思うかも知れないけど、考えてもみて欲しい。
手に入らないと思ってた望みの無い男の子が!俺の事を好きになってくれて身体を預けてくれたんだ。
ソレって確率で言ったら飛んでもない天文学的数値になるんじゃない!?
誰も居ない事を良いことに、フーフーと鼻息荒く呼吸をする。
残念ながら、突っ込む人も止める人も誰も居ない。
荒い鼻息を、今度は鼻歌に変換させて居間に戻る。
どんだけ嬉しくても時間は残酷で、そろそろ俺の始業時間だ。
でも、今日は何となく捗りそうな気がするし、何がなんでも定時で終わらせるし、今夜ゆん君を連れて行くお店も決める。
うん、忙しいぞ。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
チームのチャットで「今日の古川がエグい」と突っ込んできたのは同僚。「調子いいね」と言ってきたのはチームリーダー。「今日の古川さんのタスク管理どうなってんですか?」と聞いてきたのは後輩。
何とでも言ってくれ。
何がなんでも定時で上がると強い意志を持ったら思った以上に仕事が捗った。
終業の目処がついたので、ゆん君にメッセージを送る。
『時間通りに仕事終わりそう。駅前で待ち合わせでいいかな?』
昼休み中に、ゆん君が喜びそうなお店を見つけたので、今日はそこに連れて行くつもり。
恋人に昇格したおかげか、ゆん君のメッセージも何だか甘くなった気がする……
ハートの付いたスタンプを初めて貰った……脊髄反射の如く『大好き』をスタンプと言葉で伝えると、ゆん君からも『お仕事頑張って』と応援された。
予定通り定時に合わせて仕事を終わらせる。就業記録を提出し、仕事用のパソコンの電源を切って……これでおしまい。
少し伸びをしてスマホの画面を見ると、再びゆん君からメッセージが届いていた。
『兄ちゃんも一緒に行ってもいいですか?』
お兄さん……!?
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる