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しばらく、本に夢中になっていたら、カレーとクリームソーダが運ばれてきた。
いそいそと本たちをカバンに片付け、スプーンを持った。
手を合わせて「いただきます」と挨拶。
スパイシーな香りが鼻をくすぐる。
真っ白なご飯に、サラサラ系のカレーが染みている。大きめにカットされた鶏肉に、色とりどりの揚げ野菜がこれでもかと飾られている。コレコレコレコレ!!お店のHPで見たオリジナルスパイシーカレー!!写真見ただけで分かる、美味しいやつ!
早速、俺の中のご飯とルーの黄金比をスプーンの上で作り出し、口の中に入れた。
「くぅ~~っ!!」
思わず拳を握ってしまうくらい。
美味しい。とてもとても美味しい。
辛みはそこまで強くない。けれども、スパイスの香りが強い。なんだろう?ありがちなクミン?コリアンダー?ターメリック?シナモン?んんんー??考えても分からないので味に集中する。
口の中で大事に噛み締めて嚥下すると、鼻から異国情緒溢れるスパイシーな香りが漂う。口の中が空になっても美味しいが続いている。
時々、口の中をリセットする様に、クリームソーダを少し飲んで、カレーを食べる。
SNSでは、オリジナルスパイシーカレーとクリームソーダをセットで頼むのが定番だと、書かれていたが、なんとなく理解出来た。
時々、店主さんに話しかけられたり、ゆん君とも少しおしゃべりしつつ、食事は終わった。
会計の時に、メンバーズカードと説明を受けたので、恐らく2回目も予約して良いのだろう。予約が取れる取れないは別として。
次は、ゆん君ともっとおしゃべりしたいと告げたら、店主さんが気を利かせてくれて、一緒に帰ることになった。
そんなつもりは無かったけど、ありがたく店主さんの好意に甘えた。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
帰り道で話した事と言えば、お互いのこと。
ゆん君は経済学部の大学2年生。実家暮らし。CDフィットを始める前はとても太っていたらしいのだけど、今の姿から想像出来ない。
痩せ始めてから女の子にモテるようになったらしいけど、当の本人は知らない女性に話しかけられたりするのは苦手なのだと。
「イケメンなのに勿体ないなぁ。そうなると彼女は居たことない?」
「無いですよ。あ、でも初恋は済ませてますからね。中学の時に!」
「かっわいいなぁ、もう。じゃぁ、ど……」
「お付き合いした事が無いのにどうやってしろと?」
食い気味に返された。うん、少し踏み込みすぎたかな?
話してる雰囲気的には、見た目よりずっと真面目な子っぽいし、
「俺は、本当に好きになった子としたいので、童貞である事を後ろめたいと思った事は無いです」
と、真っ直ぐに言われてしまうと、自分の俗な質問が恥ずかしくなってしまった。適当に誤魔化して彼の頭を撫でると、素直に受け止めてくれた。
「そう言うタットさんは、どうなんですか?彼女さんは居ないんですか?」
まぁ、聞いたら返ってくるよね。
『彼女』の部分は、ぼかしながら自分の恋愛経験を語る。と言っても、真剣な付き合いなんてした事無いけど。
これ以上深く聞かれるとボロが出そうなので、話を変えた。
「あ!じゃぁさ、休みの日って何してるの?」
「バイトしたりゲームしたり、です。CDフィットの為に延々と歩いたり筋トレしたり。あとは家庭用ゲーム機の方のゲームしたりネトゲしたり?」
話題の変更は成功。
聞けばリアルで会う友だちは少なく、オンラインで遊ぶ事の方が多いのだそう。今どきと言えば今どきの交流なのだろうか?
ここまで聞いて、邪な気持ちがゼロと言うワケでは無いのだけど、それとは別に、純粋に彼と言う人間に興味を持ってしまった。
「そしたらさ、俺と友だちになろうよ」
そう彼に言って、友だちになった。
いそいそと本たちをカバンに片付け、スプーンを持った。
手を合わせて「いただきます」と挨拶。
スパイシーな香りが鼻をくすぐる。
真っ白なご飯に、サラサラ系のカレーが染みている。大きめにカットされた鶏肉に、色とりどりの揚げ野菜がこれでもかと飾られている。コレコレコレコレ!!お店のHPで見たオリジナルスパイシーカレー!!写真見ただけで分かる、美味しいやつ!
早速、俺の中のご飯とルーの黄金比をスプーンの上で作り出し、口の中に入れた。
「くぅ~~っ!!」
思わず拳を握ってしまうくらい。
美味しい。とてもとても美味しい。
辛みはそこまで強くない。けれども、スパイスの香りが強い。なんだろう?ありがちなクミン?コリアンダー?ターメリック?シナモン?んんんー??考えても分からないので味に集中する。
口の中で大事に噛み締めて嚥下すると、鼻から異国情緒溢れるスパイシーな香りが漂う。口の中が空になっても美味しいが続いている。
時々、口の中をリセットする様に、クリームソーダを少し飲んで、カレーを食べる。
SNSでは、オリジナルスパイシーカレーとクリームソーダをセットで頼むのが定番だと、書かれていたが、なんとなく理解出来た。
時々、店主さんに話しかけられたり、ゆん君とも少しおしゃべりしつつ、食事は終わった。
会計の時に、メンバーズカードと説明を受けたので、恐らく2回目も予約して良いのだろう。予約が取れる取れないは別として。
次は、ゆん君ともっとおしゃべりしたいと告げたら、店主さんが気を利かせてくれて、一緒に帰ることになった。
そんなつもりは無かったけど、ありがたく店主さんの好意に甘えた。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
帰り道で話した事と言えば、お互いのこと。
ゆん君は経済学部の大学2年生。実家暮らし。CDフィットを始める前はとても太っていたらしいのだけど、今の姿から想像出来ない。
痩せ始めてから女の子にモテるようになったらしいけど、当の本人は知らない女性に話しかけられたりするのは苦手なのだと。
「イケメンなのに勿体ないなぁ。そうなると彼女は居たことない?」
「無いですよ。あ、でも初恋は済ませてますからね。中学の時に!」
「かっわいいなぁ、もう。じゃぁ、ど……」
「お付き合いした事が無いのにどうやってしろと?」
食い気味に返された。うん、少し踏み込みすぎたかな?
話してる雰囲気的には、見た目よりずっと真面目な子っぽいし、
「俺は、本当に好きになった子としたいので、童貞である事を後ろめたいと思った事は無いです」
と、真っ直ぐに言われてしまうと、自分の俗な質問が恥ずかしくなってしまった。適当に誤魔化して彼の頭を撫でると、素直に受け止めてくれた。
「そう言うタットさんは、どうなんですか?彼女さんは居ないんですか?」
まぁ、聞いたら返ってくるよね。
『彼女』の部分は、ぼかしながら自分の恋愛経験を語る。と言っても、真剣な付き合いなんてした事無いけど。
これ以上深く聞かれるとボロが出そうなので、話を変えた。
「あ!じゃぁさ、休みの日って何してるの?」
「バイトしたりゲームしたり、です。CDフィットの為に延々と歩いたり筋トレしたり。あとは家庭用ゲーム機の方のゲームしたりネトゲしたり?」
話題の変更は成功。
聞けばリアルで会う友だちは少なく、オンラインで遊ぶ事の方が多いのだそう。今どきと言えば今どきの交流なのだろうか?
ここまで聞いて、邪な気持ちがゼロと言うワケでは無いのだけど、それとは別に、純粋に彼と言う人間に興味を持ってしまった。
「そしたらさ、俺と友だちになろうよ」
そう彼に言って、友だちになった。
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