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本編
13-マチナカ サガリは、思いのまま。
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ラキの5周年記念イベントまであと少し。
キリには当日含め2連で休みを取るように指示を出す。
俺は俺でキリの外見の最終段階の調整に入った。
洋服は、ドレスコードに見合う服はあるかと聞けば、入社式に着たと言う七五三みたいなスーツを出してきたので、却下した。
髪型は、キリの仕事休みの日に、行き付けの美容院に連れて行き、俺のポイントを使わせて貰って普段キリが行ってる床屋と同じくらいの費用に抑えカットして貰った。
俺がプロデュースすると言っている以上、費用はこっち持ちで全然構わないのだが、色々と気にしている様子なので、可能な所は本人に任せている。
仕上がったキリは、どこから見ても儚げ美少年だった。
本人は「髪の毛が短くなった僕が居る」としか言わなかったが、ドルオタしていてその美意識おかしくないか?
日に当たる事が少なかったのか、肌は元から白かったが、スキンケアの効果も相まってふわもち透明肌。顔立ちは中性的。今まで頬がこけていたからギョロっと目立っていた瞳も、ふっくらとした頬と良いバランスがとれて愛らしくなっている。可愛いとも言えるし、美人とも言える。髪型も、短くはして貰ったが言うなればショートボブ。サラサラとなびく髪の毛が、キリの頬を掠めると、また印象が変わる。少しうつむけば、顔が隠され伏せた長い睫毛が瞳をより儚く見せる。
俺は、とんでもない化け物を生み出してしまった。
カットを担当してくれたトシさんも、キリを気に入り、今後カットモデルをしてくれるならとかなり破格の値段を提示してきたが、キリは歯切れ悪そうに「へへ」と笑っていた。
陰キャな態度で安心する。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
髪の毛が決まれば次は服装。
キリと一緒に俺の実家に帰る。
両親は仕事で不在だったが、高校生の弟が在宅していた。
「よぉ、ちょうどいいや。お前の着なくなった服欲しいんだけど?」
出会い頭にそう言うと、弟は頭に疑問符を付けながらも律儀に自室に入れてくれた。
もちろん、キリも一緒だ。
「この子に着せるの?俺のでもだいぶサイズ大きいんじゃないかな?母さんたちのウォークインクローゼットにサイズアウトした服があればそっちの方が良さそうだけど?」
出来た弟はキリをチラッと見て、アレコレ世話をしてくれる。
すぐにキリのサイズに合いそうな服を見繕ってきてくれた。
「シャツとパンツあったよ。これなら合うんじゃない?形もシンプルだし、流行り廃りは無いはずだよ」
「ナイス。あとはジャケットがあれば完璧なんだが」
「えぇーー?もう最初に言ってよー。あったかなぁー?」
文句言いつつも弟は言われるがままにジャケットを探しに行った。
その間、キリは飛んでもない汗をかきながら目をシパシパ瞬かせていた。
「マチ君…あの……」
「俺が買い揃えるって言ったら絶対に拒否るだろ?」
そう言うと、キリは小さく頷いた。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
弟が持ってきたジャケットを着せ、出来た弟は「靴もでしょ?」と言ってサイズアウトしたが、モノが良いからと取っておいた靴も持ってきた。
トータルで姿を確認。誰がどう見ても、あの陰キャなドルオタと思うまい。
俺が満足げに笑うと、弟が話しかけてきた。
「兄さん、この子は友だちなの?凄い綺麗な子だよね?もしかして恋人だったりする?」
「いや、まだ。けどまぁ……そのうち」
「そっかぁー。楽しみだね。またこっちにも戻ってきてね。次は恋人として紹介してくれるといいなぁ。ね、キリ君!」
弟に不意に話を振られ、恐らく居心地の悪さで俺らの話なんて聞いていなかったのだろう。目をまん丸に見開き、「へぁ?あ、うん、そうだね」と、適当に頷いていた。弟はそれを見て「可愛い」とゲラゲラ笑っていたが、話半分で頷くとどう言う事になるか、あとでキリに思い知らせてやろうと心に決めた。
キリには当日含め2連で休みを取るように指示を出す。
俺は俺でキリの外見の最終段階の調整に入った。
洋服は、ドレスコードに見合う服はあるかと聞けば、入社式に着たと言う七五三みたいなスーツを出してきたので、却下した。
髪型は、キリの仕事休みの日に、行き付けの美容院に連れて行き、俺のポイントを使わせて貰って普段キリが行ってる床屋と同じくらいの費用に抑えカットして貰った。
俺がプロデュースすると言っている以上、費用はこっち持ちで全然構わないのだが、色々と気にしている様子なので、可能な所は本人に任せている。
仕上がったキリは、どこから見ても儚げ美少年だった。
本人は「髪の毛が短くなった僕が居る」としか言わなかったが、ドルオタしていてその美意識おかしくないか?
日に当たる事が少なかったのか、肌は元から白かったが、スキンケアの効果も相まってふわもち透明肌。顔立ちは中性的。今まで頬がこけていたからギョロっと目立っていた瞳も、ふっくらとした頬と良いバランスがとれて愛らしくなっている。可愛いとも言えるし、美人とも言える。髪型も、短くはして貰ったが言うなればショートボブ。サラサラとなびく髪の毛が、キリの頬を掠めると、また印象が変わる。少しうつむけば、顔が隠され伏せた長い睫毛が瞳をより儚く見せる。
俺は、とんでもない化け物を生み出してしまった。
カットを担当してくれたトシさんも、キリを気に入り、今後カットモデルをしてくれるならとかなり破格の値段を提示してきたが、キリは歯切れ悪そうに「へへ」と笑っていた。
陰キャな態度で安心する。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
髪の毛が決まれば次は服装。
キリと一緒に俺の実家に帰る。
両親は仕事で不在だったが、高校生の弟が在宅していた。
「よぉ、ちょうどいいや。お前の着なくなった服欲しいんだけど?」
出会い頭にそう言うと、弟は頭に疑問符を付けながらも律儀に自室に入れてくれた。
もちろん、キリも一緒だ。
「この子に着せるの?俺のでもだいぶサイズ大きいんじゃないかな?母さんたちのウォークインクローゼットにサイズアウトした服があればそっちの方が良さそうだけど?」
出来た弟はキリをチラッと見て、アレコレ世話をしてくれる。
すぐにキリのサイズに合いそうな服を見繕ってきてくれた。
「シャツとパンツあったよ。これなら合うんじゃない?形もシンプルだし、流行り廃りは無いはずだよ」
「ナイス。あとはジャケットがあれば完璧なんだが」
「えぇーー?もう最初に言ってよー。あったかなぁー?」
文句言いつつも弟は言われるがままにジャケットを探しに行った。
その間、キリは飛んでもない汗をかきながら目をシパシパ瞬かせていた。
「マチ君…あの……」
「俺が買い揃えるって言ったら絶対に拒否るだろ?」
そう言うと、キリは小さく頷いた。
▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪
弟が持ってきたジャケットを着せ、出来た弟は「靴もでしょ?」と言ってサイズアウトしたが、モノが良いからと取っておいた靴も持ってきた。
トータルで姿を確認。誰がどう見ても、あの陰キャなドルオタと思うまい。
俺が満足げに笑うと、弟が話しかけてきた。
「兄さん、この子は友だちなの?凄い綺麗な子だよね?もしかして恋人だったりする?」
「いや、まだ。けどまぁ……そのうち」
「そっかぁー。楽しみだね。またこっちにも戻ってきてね。次は恋人として紹介してくれるといいなぁ。ね、キリ君!」
弟に不意に話を振られ、恐らく居心地の悪さで俺らの話なんて聞いていなかったのだろう。目をまん丸に見開き、「へぁ?あ、うん、そうだね」と、適当に頷いていた。弟はそれを見て「可愛い」とゲラゲラ笑っていたが、話半分で頷くとどう言う事になるか、あとでキリに思い知らせてやろうと心に決めた。
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