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本編

5-カナタ キリ は、君を待つ。

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「最近マチ君と仲いいでしょ?」

特典会のラキちゃんとのおしゃべりの時間、彼女に言われた。

「タグ以外も、みんなの投稿見てるんだからね?」

ニコっと笑顔を僕に向けてくれる。
最高にビジュがいい。
ラキちゃんが言う、みんなの投稿を見てると言うのはガチだ。こう言うお喋りの時間に、ラキちゃんは僕がタグ付けしてない投稿した内容も覚えて話題にしてくれている。

「ファンを監視するアイドルだよ!みんな下手な事出来ないねぇ?」

定期的にラキちゃんは主張する。ラキちゃんに見られてると思うと、自然とウキウキした投稿ばかりになる。

「楽しそうにキャッキャしてるから羨ましくなっちゃった。でも、最推しはずっと私でいてね?」

「と……当然だよっ、ラキちゃんは僕のタカラモノだよ!」

「嬉しい。キリ君の投稿、いつも楽しそうで好きなの」

「ふっ……ふぐぅぅ」

「あは、変な声出たね。その限界オタクな反応も好き。キリ君大好きだよ!また来てね!」

最後にラキちゃんからギュッと手を握られた後に剥がされる。
大好き……大好きだって!!普通に生きていたら絶対に言われないセリフ!
きっとファンのみんなに言ってるのだろうなんて、いじけた事は考えない。
だって、あの時間、あの空間でラキちゃんはしっかりと僕の顔を見て、僕に「大好き」って言ってくれたんだ。
アレは確実に僕のために言ってくれたセリフ。
キチンと心の中に記憶していつでも脳内で再生出来るようになりたい。

特典会のおしゃべりブースを出て、フラフラしながら会場を後にした。

あ、マチ君も特典会で並んでたっけ?後ろに居たからまた一緒に帰れるかな?マチ君はラキちゃんとどんな話をするんだろう?
帰り道、ちょっと話して貰えたらいいな。……大好きって言われてるのかな……まぁ、イケメンだから当然か!

僕は会場の外でマチ君が出てくるのを待った。


▪▫❑⧉◻︎□◻︎□◻︎⧉❑▫▪


しばらく待っていると、マチ君がライブ会場から出て来た。

「マチ君!」

僕の割には、大きな声が出た。
マチ君は僕に気付いてくれた。

「俺の出待ち?」

そう言いながら近付いてくるマチ君は、モデルみたいだった。……モデルって良く分からないけど。

「うん、マチ君の出待ち。途中まで一緒に帰れたらいいなって思ったんだ。もしかして、他のファンの人たちと約束してる?」

マチ君みたいなカッコイイ人なら、みんな交流したいだろうし……だったら僕は1人で帰らないと……少し不安な顔をしてしまったのか、マチ君はフワッと僕の頭を撫でてくれた。
え?なになに?

「誰とも約束してない。俺も帰るつもりだったから、一緒に帰ろう」

僕はマチ君と並んで一緒に駅に向かった。
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