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中本さんの番外編
中本さんの料理事情
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「別に出来ないわけじゃない」
中本さんは、そう言いながら業者用スーパーのビニール袋からガサガサと食材を取り出してキッチンの作業台に置いていた。
部屋の主である俺こと平久陽一は、中本さんの周りをウロウロしている。気分は遊んで欲しいアピールする飼い犬だ。
けれども中本さんは、そんな俺をガン無視し、
「ただ面倒くさいだけ」
と、ボヤきながら手際よくじゃがいもの皮を剥いてサイコロ状に切ってる。その後に人参も同じくサイコロ状。鍋に水を入れて茹で始めた。
その間に、玉ねぎをみじん切りにしてフライパンで炒め始めてる。
え?なんでこの人こんなに手際いいの?
「カレー粉、あったよな?」
「あ、はい。棚の中に」
「おけ」
炒めている玉ねぎに少量のカレー粉をまぶしてさらに炒める。しんなりとした所にトマト缶とコンソメキューブを入れた。隣ではジャガイモと人参が入った鍋が沸騰し始めてる。
中本さんはスマホの時計を確認して、しばし立ち尽くしてた。する事が無くなっならしい。
「中本さん……なんでそんなに手際がいいんですか?」
「だから、出来ないとは言ってない」
「じゃぁ、なんで中本さんが食事を用意すると毎回カップ麺が出てくるんですか?」
「あー……面倒くさいし……」
中本さんは言い淀んでそのまま黙り込んだまま、フライパンを見つめてる。
俺は、それ以上会話を広げることを止め、またウロウロし始めた。気分は以下略。
「平久邪魔。リビングで待ってろ」
追い出された……が、めげずにキッチンの隅に立って中本さんを眺める。
中本さんは諦めたように苦笑いしていた。
茹で上がったジャガイモと人参をザルにこして水気を切る。それをフライパンの中に入れて混ぜる。
「そんで、こいつ入れたらカレーの完成な?」
邪魔と言いながら俺に話しかけてくれる中本さん優しい♡♡大好き♡♡
業者用スーパーで購入した、加熱済の「レッグチキンスパイシー」を袋から取り出した。付け込まれていたタレも全て入れるらしい。
一気にアジアンな香りが部屋中に漂った。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「え……?普通に美味いんですけど!?」
完成したカレーを、2人で食べている。
ピリリとした辛さと、トマトの酸味が良く合う。大人な味だ。
「なら良かった」
中本さんも黙々とスプーンを進めている。
だからこそ、なんで中本さんが食事を用意するとカップ麺しか出てこないのか、とんと不思議でしかない。
俺がジッと中本さんの事を見てると、「あー……」と言いながら頭をバリバリかいてポソリと話した。
「作ってた事もあったんだけど、結婚してた時に元嫁に色々言われて……それから止めた」
「色々……」
「まぁ、色々だよ。で、これは唯一俺が作っても、元嫁が好んで食べてたカレー。彼女の末の弟君から教わったレシピ」
「はぁ……」
「あぁ~……どうせ作っても文句言われるんだったらさ、作りたくなくなるだろ?」
「そう言う方だったって事ですか?」
「んん~……なんつーか……俺が何かしようとすると嫁のやり方に全て合わせないと文句言われる感じかな。それなら何もしない方がマシだろ?」
「まぁ……」
「だから俺は何もしない。食事出せと言うならカップ麺を出す」
「俺は好きですよ?カップ麺」
「論点ズレてるが?」
「はい、ズラしました。とにかく、理由は分かりました。あと、俺はその元奥さんじゃないですし、俺が料理してる間にテーブルの上を片付けてくれたり掃除してくれてるの、嬉しいですよ?作る料理も美味しいので、また今度作って欲しいです。あー♡♡俺の恋人がスパダリで困ってますぅ♡♡」
カレーのルーが付いた顔でチューを強請ったが、当然の如く拒否られた。
「そう言うのは全部食ってからだ」
はぁぁぁぁん!!!!相変わらず優しいっ!優しいっ!
「中本さんっ♡♡いっぱいしましょーねっ♡♡」
俺の特技、語尾にハート付けまくりで中本さんにアピールする。
「ゆっくり食べとけ……やっぱうめーな、コレ」
中本さんと俺は、ゆっくり食事を楽しんだ。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
祈るように両手を胸の前で組み、目を閉じ、唇を突き出す。
そう、キッスのオネダリポーズだ。
食事を終えたので、有言実行と早々にキスを強請ったのだが、中本さんは「こっちのペースも考えろや」と、俺の頭をコツンと叩いた。
それも……愛なので受け入れるっ!!
「……けどまぁ、ありがとな?なんか……また料理してもいいかなって思えた。今度は平久の好きなの作ってやるよ」
そう言ってはにかんだ中本さんは、どちゃくそに俺の性癖をズキュンと撃ち抜いた。
「抱いてください……♡♡むしろ今の流れだと抱かれるしか無いですよね……?俺の事抱きましょう。直ちに抱きましょう♡♡」
「なんでその発想になるんだよ。なんか怖ぇし」
ゲラゲラ笑いながら、食器を流しに持っていく中本さん。それを俺は追いかけて、後ろから抱き着いて頬にキスをした。いやホントは今すぐにでもベロチューかましてベッドへGOしたいんだけど!
「カレー、美味しかったです。俺の彼氏が料理上手でビックリしました。愛してますよ、中本さん♡♡」
「あー……俺も……愛してるし……まぁ……今度から作るようにはするよ。味の保証はしないけど」
「はい♡♡ぜひ♡♡」
当時の中本さんの結婚生活がどうだったか、なんて今の俺には関係の無い話だ。
今、中本さんが俺のために料理をしてくれたと言う事実と、また料理をしようと思ってくれたその先の未来の方がずっと大事。
そんな事を考えたら、心の底からギュンッ!と愛しさが増してしまい、
「やっぱり中本さんは今すぐにでも俺を抱くべきだと思うんですっ!」
と、2人の愛の営みの為にシャツを脱ぎ始めた。
「おぁ!待て!平久待て!待て!ステイ!ハウス!食器洗ってるの、見えるだろ!」
扱いが犬である。
まぁ、その後に抱いてもらえたかどうか?って話は、中本さんの事ですから♡♡流されやすいと定評のある中本さんですから♡♡
俺の語尾ハートで察して欲しい。
中本さんは、そう言いながら業者用スーパーのビニール袋からガサガサと食材を取り出してキッチンの作業台に置いていた。
部屋の主である俺こと平久陽一は、中本さんの周りをウロウロしている。気分は遊んで欲しいアピールする飼い犬だ。
けれども中本さんは、そんな俺をガン無視し、
「ただ面倒くさいだけ」
と、ボヤきながら手際よくじゃがいもの皮を剥いてサイコロ状に切ってる。その後に人参も同じくサイコロ状。鍋に水を入れて茹で始めた。
その間に、玉ねぎをみじん切りにしてフライパンで炒め始めてる。
え?なんでこの人こんなに手際いいの?
「カレー粉、あったよな?」
「あ、はい。棚の中に」
「おけ」
炒めている玉ねぎに少量のカレー粉をまぶしてさらに炒める。しんなりとした所にトマト缶とコンソメキューブを入れた。隣ではジャガイモと人参が入った鍋が沸騰し始めてる。
中本さんはスマホの時計を確認して、しばし立ち尽くしてた。する事が無くなっならしい。
「中本さん……なんでそんなに手際がいいんですか?」
「だから、出来ないとは言ってない」
「じゃぁ、なんで中本さんが食事を用意すると毎回カップ麺が出てくるんですか?」
「あー……面倒くさいし……」
中本さんは言い淀んでそのまま黙り込んだまま、フライパンを見つめてる。
俺は、それ以上会話を広げることを止め、またウロウロし始めた。気分は以下略。
「平久邪魔。リビングで待ってろ」
追い出された……が、めげずにキッチンの隅に立って中本さんを眺める。
中本さんは諦めたように苦笑いしていた。
茹で上がったジャガイモと人参をザルにこして水気を切る。それをフライパンの中に入れて混ぜる。
「そんで、こいつ入れたらカレーの完成な?」
邪魔と言いながら俺に話しかけてくれる中本さん優しい♡♡大好き♡♡
業者用スーパーで購入した、加熱済の「レッグチキンスパイシー」を袋から取り出した。付け込まれていたタレも全て入れるらしい。
一気にアジアンな香りが部屋中に漂った。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「え……?普通に美味いんですけど!?」
完成したカレーを、2人で食べている。
ピリリとした辛さと、トマトの酸味が良く合う。大人な味だ。
「なら良かった」
中本さんも黙々とスプーンを進めている。
だからこそ、なんで中本さんが食事を用意するとカップ麺しか出てこないのか、とんと不思議でしかない。
俺がジッと中本さんの事を見てると、「あー……」と言いながら頭をバリバリかいてポソリと話した。
「作ってた事もあったんだけど、結婚してた時に元嫁に色々言われて……それから止めた」
「色々……」
「まぁ、色々だよ。で、これは唯一俺が作っても、元嫁が好んで食べてたカレー。彼女の末の弟君から教わったレシピ」
「はぁ……」
「あぁ~……どうせ作っても文句言われるんだったらさ、作りたくなくなるだろ?」
「そう言う方だったって事ですか?」
「んん~……なんつーか……俺が何かしようとすると嫁のやり方に全て合わせないと文句言われる感じかな。それなら何もしない方がマシだろ?」
「まぁ……」
「だから俺は何もしない。食事出せと言うならカップ麺を出す」
「俺は好きですよ?カップ麺」
「論点ズレてるが?」
「はい、ズラしました。とにかく、理由は分かりました。あと、俺はその元奥さんじゃないですし、俺が料理してる間にテーブルの上を片付けてくれたり掃除してくれてるの、嬉しいですよ?作る料理も美味しいので、また今度作って欲しいです。あー♡♡俺の恋人がスパダリで困ってますぅ♡♡」
カレーのルーが付いた顔でチューを強請ったが、当然の如く拒否られた。
「そう言うのは全部食ってからだ」
はぁぁぁぁん!!!!相変わらず優しいっ!優しいっ!
「中本さんっ♡♡いっぱいしましょーねっ♡♡」
俺の特技、語尾にハート付けまくりで中本さんにアピールする。
「ゆっくり食べとけ……やっぱうめーな、コレ」
中本さんと俺は、ゆっくり食事を楽しんだ。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
祈るように両手を胸の前で組み、目を閉じ、唇を突き出す。
そう、キッスのオネダリポーズだ。
食事を終えたので、有言実行と早々にキスを強請ったのだが、中本さんは「こっちのペースも考えろや」と、俺の頭をコツンと叩いた。
それも……愛なので受け入れるっ!!
「……けどまぁ、ありがとな?なんか……また料理してもいいかなって思えた。今度は平久の好きなの作ってやるよ」
そう言ってはにかんだ中本さんは、どちゃくそに俺の性癖をズキュンと撃ち抜いた。
「抱いてください……♡♡むしろ今の流れだと抱かれるしか無いですよね……?俺の事抱きましょう。直ちに抱きましょう♡♡」
「なんでその発想になるんだよ。なんか怖ぇし」
ゲラゲラ笑いながら、食器を流しに持っていく中本さん。それを俺は追いかけて、後ろから抱き着いて頬にキスをした。いやホントは今すぐにでもベロチューかましてベッドへGOしたいんだけど!
「カレー、美味しかったです。俺の彼氏が料理上手でビックリしました。愛してますよ、中本さん♡♡」
「あー……俺も……愛してるし……まぁ……今度から作るようにはするよ。味の保証はしないけど」
「はい♡♡ぜひ♡♡」
当時の中本さんの結婚生活がどうだったか、なんて今の俺には関係の無い話だ。
今、中本さんが俺のために料理をしてくれたと言う事実と、また料理をしようと思ってくれたその先の未来の方がずっと大事。
そんな事を考えたら、心の底からギュンッ!と愛しさが増してしまい、
「やっぱり中本さんは今すぐにでも俺を抱くべきだと思うんですっ!」
と、2人の愛の営みの為にシャツを脱ぎ始めた。
「おぁ!待て!平久待て!待て!ステイ!ハウス!食器洗ってるの、見えるだろ!」
扱いが犬である。
まぁ、その後に抱いてもらえたかどうか?って話は、中本さんの事ですから♡♡流されやすいと定評のある中本さんですから♡♡
俺の語尾ハートで察して欲しい。
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