コトコトコトの番外事

黒川

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ミニマム男子の番外編

突撃☆ミニマム男子の晩ごはん。

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同棲している相手が居るとは言え、独身男性の残業なんて時間と体力が許す限り、どれだけ増えようとも気にし無い。と、思っているのは少数派らしく、世間一般的には残業時間は少ないに越したことはないらしい。

俺こと、新井しのぶ29歳は、上司の采配のもと、普段より早めの帰路に着いた。
働き方改革だか何だかの制度で、強制的に定時で終業させられる日が月に何度かある。それが今日だった。

マンションに戻ると、ミキはまだ帰って来ていない。けれど、俺が今日定時上がりである事を知ると、「僕も早く帰ります!」と、朝から張り切っていた。

なので、そろそろ帰ってくるであろう、可愛い後輩兼恋人のために、俺は、今日の夕飯の準備にとりかかった。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


今日はナポリタンだ。冷蔵庫から、ソーセージ、玉ねぎ、ピーマンを取り出し、適した形に切っていく。耐熱性のガラスボウルに適量の水、半分に折ったパスタ、顆粒コンソメ、ソーセージ、野菜の順番に入れていく。ラップをふんわりと乗せ、オーブンレンジに突っ込んだ。

そう言えば、と思い出し、再度冷蔵庫の中を覗く。ミキが作り置きしていた、ジッパー付ポリ袋に入っていた鶏肉の塩麹漬を見つける。だいぶ腹が減っているので、パスタだけでは物足りない。鶏肉を取り出してグリル皿に乗せ、これもまたオーブンレンジへ。

上段がグリル皿、下にパスタの入った耐熱性のガラスボウル。

俺はオーブンレンジのタッチパネルを操作して、複合調理メニューのボタンを押した。

その間に、ケチャップ、ウスターソース、黒コショウを混ぜ、ナポリタンのソースを作る。

あとは……サラダ……は、これまたミキが作り置きしていたブロッコリーとミニトマトの、なんか洒落た副菜がタッパーに入っていたので小鉢に移した。

あとは、オーブンレンジの完了音が鳴るまで、使った包丁やらなんやらを片付け……ていると、カチャッと玄関の音がした。

「ただいま戻りましたー!」

元気いっぱいの声がする。
ミキが帰ってきた。
俺は、オーブンレンジの残時間をチラ見し、タオルで軽く手を拭いて、玄関まで出迎えた。

「おかえり。おつかれ。夕飯はあと10分くらいで出来るから、手洗って着替えてきな」

「はーい。その前にギューっとチューです」

「はいはい。飽きないなー」

と、言う俺も飽きていないのだが。
お互いにギュッと抱き合ってから、軽くキスをした。

「手、洗ってお着替えしてきまーっす」

パタパタとミキは洗面所に向かい、俺は再びキッチンに戻った。
程なくして、オーブンレンジからピーピーと完了音が鳴った。扉を開けると、上のグリル皿では鶏肉がジュージューと音を立てて良い匂いを放っている。
対して下のガラスボウルはグツグツとパスタと具材が煮込まれている。
俺は鍋つかみを使ってガラスボウルを取り出し、先程作っておいたナポリタンのソースを回し入れた。トングを使って全体に絡むように混ぜ合わせると、良く見る赤色のナポリタンが出来上がった。

「うっわ、マジでナポリタンだ」

1人で感動していると、後ろからミキが覗き込んで

「凄い!しのぶさん!オーブンレンジ使いこなしてますね。もしかして、一緒にお肉も焼きました?」

コクコクと頷くと、ミキは鍋つかみを手に嵌めて、オーブンレンジの中にあるグリル皿を取り出した。

「うっわ!美味しそう!皮パリパリ!」

「マジ!?」

振り向いて、そっちも見るとこんがりと焼けた鶏肉が鎮座していた。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼


2人で盛り付けをし、テーブルに並べて食べ始めた。

「しのぶさん……凄い……美味しい……」

「おう……俺もちょっとビックリしてる……」

実は、最近レンジを買い替えた。せっかくなら良いモノが欲しいとミキが言い出しので、最新モデルを購入したのが、今回のオーブンレンジだった。
色々機能があるので、ミキも俺も試行錯誤しながら使っている。今回は、「上はグリル、下はレンジ」と言う複合機能を使った調理だった。

「しのぶさん結婚して……!!」

はふはふとパスタを口に詰め込みながら、求婚される俺。

「一生幸せにしてやるから、安心しな」

フッと少しカッコつけてみる。
すると、ミキはキョトンと目を丸くして、

「やだ、カッコイイ!」

と、目をハートにしてくれた。

そんな俺たちの身長、共に150センチ台のミニマムカップル。
こういうの、あばたもえくぼって言うんだっけ?

まぁ、俺たち2人が幸せならそれでOKってことで。
今日も今日とて晩ごはんは美味かった。
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