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中本さんの番外編
平久さんの事情事 後編 ★
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縁もたけなわ、ほにゃららホテル。
誰かがそんな事を言い始め、祝賀会はお開きムードになってきた。
最後に、社長の挨拶で締め、受賞者たちは帰宅の準備を始めていた。
「平久さん、このあと二次会行きませんか?」
そう聞いてきたのは、貢献賞を受賞した営業事務統括の……誰だっけ?
名前も覚えてない女性に話しかけられるが、長年培った営業スマイルを貼り付けて
「すみません、俺、後片付けの手伝いするので……」
そう断り、早々に中本さんの元に駆け寄った。
「中本さんっ♡、俺、何します?荷物持ちます?片付けます?」
営業スマイルとは掛け離れた、だらしない笑み(と、中本さんに良く言われる)を向ける。
中本さんは、困った様に笑って
「じゃ、そこのテーブル移動させて。そんでそれ終わったら帰れ」
と、俺を追い払うようにシッシと手を振った。
ジト目で睨むと、中本さんは笑いながら俺に近付き、
「コレ終わったら俺も今日そっち行くから……」
小声、早口で伝えてきた。
俺じゃなかったら聴き逃しちゃうねっ!!!
「はーい!♡」
ガタンガタンと言われた通りにテーブルを片付け、早々に本社ビルを出る。
普段の神奈川支店からに比べれば、交通の便が良いので実は時間が早い。
俺はウキウキしながら自宅に帰った。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
ガチャン、と鍵を開ける音。
「おかえりなさい!俺にします?それとも俺にします?それとも俺?」
ニッコニコで俺は部屋にやってきた中本さんを出迎えた。なんならこのまま玄関で始まっても何ら問題は無い準備っぷりだ。
「せめてシャワー浴びさせてくれ」
中本さんは、俺の渾身のアピールをサラリと交わして、勝手知ったるなんとやらで浴室に向かった。
「俺、汗とか匂いとか気にしませんよーぅ。むしろ興奮しますしっ!ね?このままいたしません?」
ワックワクしながら後をついて行くのだが、流されやすいと評判の中本さんのクセにここは流されてくれない。
いつもの押せ押せでどうにかならないかと、中本さんのカバンを奪いつつ、後を追う。
すると、急に立ち止まって振り向き、
「ホラ、臭いでも何でも嗅いどけ。シャワーは絶対だ」
おもむろにギュッと抱きしめてくれた♡
「中本さんっ!中本さんっ!」
俺はギューギューしがみついて首筋の辺りの匂いを嗅ぐ。あー!汗と職場とあとなんか色々っ!外で働いてきた雄の匂いたまらなーい♡ムラムラするー♡このまま押し倒されたーい♡むしろ押し倒して乗っかりたーい♡
心の声が漏れていたのか、中本さんは苦笑いしながら「お前ホント残念なイケメンだな」と呆れてた。
「せめてお背中お流し……」
「しません」
断られた……。
「臭い嗅いだら部屋で待っとけ」
♡.*・。┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈。・*.♡
「優秀賞、おめでとう。お前にわだかまりがないなら、俺は何も言わない」
シャワーを浴びてホコホコになって出てきた中本さん。
「ご褒美は中本さんって言う事ですね♡」
これはこれで、またそそる匂いなので有難く受け取りたい。
「ご褒美と言うには粗末過ぎだろ。また日を改めて祝うよ」
中本さんは、何故か自己肯定感が低い。以前、クソ上司とクソ先輩が中本さんの功績を奪って社長賞を受賞した時だって、この人は何も声を上げなかった。この人はもっと評価されるべき人間なんだ。ようやく評価が彼に追い付いて来たのに、未だに分かってない。
「こんなに上等なご褒美無いですよ?」
俺はニッコリ笑って中本さんに抱きつく。すると、この人は決まって優しく俺を撫でてくれる。
人によっては、中本さんを「つまらない人」「何を考えているのか分からない人」と言うだろう。けど、それは大間違いだ。この人は、言葉こそ少ないが、愛情深い人だ。
「キスしてください」
「ん……」
オネダリすれば必ず応えてくれる。
抱く手は常に優しく、慈しむ様に緩やかに身体を高めてくれる。
「ふぁ……♡」
緩く、でも確実に、的確に、性感を高める場所を攻めてくる。
「あ……あぁ……ん…………」
どこまでも優しく……もどかしく……
「中本さん……」
自ら足を開いてパクパクと物欲しそうにしている穴を晒す。
「欲しいです……」
「うん……」
彼は手慣れた感じでゴムを装着すると、ゆっくり……ゆっくり腰を進めてきた。その時も、俺の様子をじっと見つめながら、身体を気づかってくれている。その気持ちが嬉しくて、思わずだいしゅきホールドをしてしまう。何なら自ら腰も進めて挿入を促す。
「あぁん♡中本さん激しいぃ~♡♡」
「あ…っ!ちょっ!平久っ!」
ズン……と中本さんのモノが奥まで来ると、キュンキュンと中が締まった。
「ふぁぁん♡」
「もうっ……」
中本さんは一瞬呆れたような表情をしたが、直ぐに雄の顔になってトントンと一定のリズムで俺の良いところを攻め始めた。
「ふっ……ふっ…………ぁ……」
ふわふわとした感覚が襲ってくる。激しく攻められるのも嫌いではないが、優しく前立腺を攻め続けられると、真綿で首を締められてるような、優しくて苦しい感覚に陥る。そして逃げ場の無い快楽。
「あっ、クル……中本さんっ!!中本さんっ!!」
後ろの絶頂が来ている。それでもこの人は優しくトントンと攻め続けるだけ。けど、その変わらない攻めが逆に俺を追い込んでくる。
「うん……平久の中、きもちーよ……」
さらりと俺の頬を撫で、顔を寄せてキスをくれる。そうじゃない……けど、それでもある。
ガツガツと来てくれれば一気に絶頂が来てワケわからなくなるのに、彼はしない。
どこまでも優しく、俺を抱く。
だから余計に…………
「ひぁっ…………あぁっ………」
緩やかなメスイキと同時に、トプトプ、とだらしなく前から勢いのない精液が流れる。
「はは、イケたな。もう少しか?」
くちゅん、と前をしごかれながら抽挿が再開される。確かに前も出てるが萎えてはいない。
トントン、と後ろをノックされながら、クチュクチュと卑猥な音が前から聞こえる。
「あっん!!後ろ!イキましたっ!」
「ん、知ってる。次は一緒な?」
前と後ろを同時にイかせに来てる。
後ろだけでイクと、身体が敏感になってしまうので、さらに追い打ちをかけられると、余計に気持ち良くなってしまう。俺がヒンヒン啼いていると
「俺もイキたい……」
と、耳元で中本さんが囁いてきた。
「はうーん♡よろこんでぇぇぇ♡」
ガッツリと両足で中本さんの身体を引き寄せて、キュンキュンと締まる穴で中本さんのモノを搾り取った。
あー♡好き……♡
好き♡
お互いに、吐き出したいものを全て吐き出したあと、ムギュムギュと彼を抱き締めた。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「おはよ」
目を覚ますと、至近距離で中本さんが挨拶をしてくれた。そのまま俺はチュッとキスをする。
「おはようございます」
プレゼン大会は金曜日にあったので、今日は土曜日。
のんびりとした朝を迎えた。
朝ごはんを作るのは俺。中本さんに作ってもらうとカップ麺が出てくるので、食事面は俺が完全に主導権を握った。
とは言え、気づくと中本さんもテーブルを片付けたてくれたり、あと料理が出来るまでの間に、部屋を簡単に片付けてくれていたりするので、適材適所だと思ってる。
「はい♡朝ごはん出来ましたよー」
と言っても、白米、即席味噌汁、焼き魚、卵焼き、スーパーで買ったほうれん草のおひたし、と手の込んだものは一切無いのだが。
「お、和食。美味そう」
そう言って中本さんは笑ってくれる。
2人で手を合わせて、テレビから流れるニュースを見ながらあーでもないこーでもないと会話する。
「今日はどうする?」
2人で過ごす事は決まっている。
「そうですね、映画……たまには映画館で見ませんか?俺、観たいやつがあるんです」
「あぁ、前に話していたアクションか」
「それそれー♡覚えててくれてたんですね!嬉しいです♡」
「じゃぁ、時間調べて……」
スマホをポチポチしながら上映時間を調べる中本さん。
ちょうど良い時間があったので、そのままオンライン決済でチケットを取って、時間まで2人でブラブラと映画館近くのお店を眺めてた。
とても穏やかで、とても平和な世界。
そう言えば、昨日プレゼン大会で優秀賞だった事もすっかり忘れていた。
今の俺にとっては会社の評価より、中本さんと一緒に居ることの方が大事らしい。
まぁ、当然の事だが。
俺が心の中でニヤニヤしていたら、一瞬中本さんを見失った。
「あれ?中本さん?」
キョロキョロと見渡すと、レジで何かを精算している。何を買ったんだろ?割と有名なメンズブランドの紙袋をショップ店員さんから手渡されている。
「何買ったんですか?」
ささっと近付いて、紙袋の中を覗き込もうとしたら、トンと胸元にその紙袋を押し付けられた。
「そんな高価なものじゃないけど、優秀賞、おめでとう。お祝い」
ちょっと顔赤らめて上目遣いをする中本さんが最高に可愛かった。
「は……はいっ!!!」
ギュッと紙袋を抱き締めて、出来れば中本さんも抱き締めたかったのだけど、そこは我慢した。
「映画、そろそろ時間じゃね?」
恥ずかしかったのか、彼は顔を俯かせてそそくさと映画館に向かおうとした。
「そうですね♡」
そう言いながら、オレは空いている手を伸ばして中本さんの手を握った。恋人繋ぎだ。
「おまっ」
「都内ですし、いろんな人が居ますよ。こんなの普通ですよ。珍しくないです♡」
俺がニコッと笑うと、「しかたねーな」と溜息つきながらも、手はそのままにしてくれた。
あぁ、こうやって流されてくれる中本さんが本当に好き。
俺たちはブンブンと繋いだ手を振りながら、何なら俺はスキップしながら、映画館へと向かった。
✂ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー✂
【説明不足でした】
「ミニマム男子の睦事」に、出てきたプレゼン大会の、平久さん視点でした(だいぶ話は逸れましたけど)
ミニマム男子の2人と中本平久カップルは、同じ会社の社員です。
誰かがそんな事を言い始め、祝賀会はお開きムードになってきた。
最後に、社長の挨拶で締め、受賞者たちは帰宅の準備を始めていた。
「平久さん、このあと二次会行きませんか?」
そう聞いてきたのは、貢献賞を受賞した営業事務統括の……誰だっけ?
名前も覚えてない女性に話しかけられるが、長年培った営業スマイルを貼り付けて
「すみません、俺、後片付けの手伝いするので……」
そう断り、早々に中本さんの元に駆け寄った。
「中本さんっ♡、俺、何します?荷物持ちます?片付けます?」
営業スマイルとは掛け離れた、だらしない笑み(と、中本さんに良く言われる)を向ける。
中本さんは、困った様に笑って
「じゃ、そこのテーブル移動させて。そんでそれ終わったら帰れ」
と、俺を追い払うようにシッシと手を振った。
ジト目で睨むと、中本さんは笑いながら俺に近付き、
「コレ終わったら俺も今日そっち行くから……」
小声、早口で伝えてきた。
俺じゃなかったら聴き逃しちゃうねっ!!!
「はーい!♡」
ガタンガタンと言われた通りにテーブルを片付け、早々に本社ビルを出る。
普段の神奈川支店からに比べれば、交通の便が良いので実は時間が早い。
俺はウキウキしながら自宅に帰った。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
ガチャン、と鍵を開ける音。
「おかえりなさい!俺にします?それとも俺にします?それとも俺?」
ニッコニコで俺は部屋にやってきた中本さんを出迎えた。なんならこのまま玄関で始まっても何ら問題は無い準備っぷりだ。
「せめてシャワー浴びさせてくれ」
中本さんは、俺の渾身のアピールをサラリと交わして、勝手知ったるなんとやらで浴室に向かった。
「俺、汗とか匂いとか気にしませんよーぅ。むしろ興奮しますしっ!ね?このままいたしません?」
ワックワクしながら後をついて行くのだが、流されやすいと評判の中本さんのクセにここは流されてくれない。
いつもの押せ押せでどうにかならないかと、中本さんのカバンを奪いつつ、後を追う。
すると、急に立ち止まって振り向き、
「ホラ、臭いでも何でも嗅いどけ。シャワーは絶対だ」
おもむろにギュッと抱きしめてくれた♡
「中本さんっ!中本さんっ!」
俺はギューギューしがみついて首筋の辺りの匂いを嗅ぐ。あー!汗と職場とあとなんか色々っ!外で働いてきた雄の匂いたまらなーい♡ムラムラするー♡このまま押し倒されたーい♡むしろ押し倒して乗っかりたーい♡
心の声が漏れていたのか、中本さんは苦笑いしながら「お前ホント残念なイケメンだな」と呆れてた。
「せめてお背中お流し……」
「しません」
断られた……。
「臭い嗅いだら部屋で待っとけ」
♡.*・。┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈。・*.♡
「優秀賞、おめでとう。お前にわだかまりがないなら、俺は何も言わない」
シャワーを浴びてホコホコになって出てきた中本さん。
「ご褒美は中本さんって言う事ですね♡」
これはこれで、またそそる匂いなので有難く受け取りたい。
「ご褒美と言うには粗末過ぎだろ。また日を改めて祝うよ」
中本さんは、何故か自己肯定感が低い。以前、クソ上司とクソ先輩が中本さんの功績を奪って社長賞を受賞した時だって、この人は何も声を上げなかった。この人はもっと評価されるべき人間なんだ。ようやく評価が彼に追い付いて来たのに、未だに分かってない。
「こんなに上等なご褒美無いですよ?」
俺はニッコリ笑って中本さんに抱きつく。すると、この人は決まって優しく俺を撫でてくれる。
人によっては、中本さんを「つまらない人」「何を考えているのか分からない人」と言うだろう。けど、それは大間違いだ。この人は、言葉こそ少ないが、愛情深い人だ。
「キスしてください」
「ん……」
オネダリすれば必ず応えてくれる。
抱く手は常に優しく、慈しむ様に緩やかに身体を高めてくれる。
「ふぁ……♡」
緩く、でも確実に、的確に、性感を高める場所を攻めてくる。
「あ……あぁ……ん…………」
どこまでも優しく……もどかしく……
「中本さん……」
自ら足を開いてパクパクと物欲しそうにしている穴を晒す。
「欲しいです……」
「うん……」
彼は手慣れた感じでゴムを装着すると、ゆっくり……ゆっくり腰を進めてきた。その時も、俺の様子をじっと見つめながら、身体を気づかってくれている。その気持ちが嬉しくて、思わずだいしゅきホールドをしてしまう。何なら自ら腰も進めて挿入を促す。
「あぁん♡中本さん激しいぃ~♡♡」
「あ…っ!ちょっ!平久っ!」
ズン……と中本さんのモノが奥まで来ると、キュンキュンと中が締まった。
「ふぁぁん♡」
「もうっ……」
中本さんは一瞬呆れたような表情をしたが、直ぐに雄の顔になってトントンと一定のリズムで俺の良いところを攻め始めた。
「ふっ……ふっ…………ぁ……」
ふわふわとした感覚が襲ってくる。激しく攻められるのも嫌いではないが、優しく前立腺を攻め続けられると、真綿で首を締められてるような、優しくて苦しい感覚に陥る。そして逃げ場の無い快楽。
「あっ、クル……中本さんっ!!中本さんっ!!」
後ろの絶頂が来ている。それでもこの人は優しくトントンと攻め続けるだけ。けど、その変わらない攻めが逆に俺を追い込んでくる。
「うん……平久の中、きもちーよ……」
さらりと俺の頬を撫で、顔を寄せてキスをくれる。そうじゃない……けど、それでもある。
ガツガツと来てくれれば一気に絶頂が来てワケわからなくなるのに、彼はしない。
どこまでも優しく、俺を抱く。
だから余計に…………
「ひぁっ…………あぁっ………」
緩やかなメスイキと同時に、トプトプ、とだらしなく前から勢いのない精液が流れる。
「はは、イケたな。もう少しか?」
くちゅん、と前をしごかれながら抽挿が再開される。確かに前も出てるが萎えてはいない。
トントン、と後ろをノックされながら、クチュクチュと卑猥な音が前から聞こえる。
「あっん!!後ろ!イキましたっ!」
「ん、知ってる。次は一緒な?」
前と後ろを同時にイかせに来てる。
後ろだけでイクと、身体が敏感になってしまうので、さらに追い打ちをかけられると、余計に気持ち良くなってしまう。俺がヒンヒン啼いていると
「俺もイキたい……」
と、耳元で中本さんが囁いてきた。
「はうーん♡よろこんでぇぇぇ♡」
ガッツリと両足で中本さんの身体を引き寄せて、キュンキュンと締まる穴で中本さんのモノを搾り取った。
あー♡好き……♡
好き♡
お互いに、吐き出したいものを全て吐き出したあと、ムギュムギュと彼を抱き締めた。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「おはよ」
目を覚ますと、至近距離で中本さんが挨拶をしてくれた。そのまま俺はチュッとキスをする。
「おはようございます」
プレゼン大会は金曜日にあったので、今日は土曜日。
のんびりとした朝を迎えた。
朝ごはんを作るのは俺。中本さんに作ってもらうとカップ麺が出てくるので、食事面は俺が完全に主導権を握った。
とは言え、気づくと中本さんもテーブルを片付けたてくれたり、あと料理が出来るまでの間に、部屋を簡単に片付けてくれていたりするので、適材適所だと思ってる。
「はい♡朝ごはん出来ましたよー」
と言っても、白米、即席味噌汁、焼き魚、卵焼き、スーパーで買ったほうれん草のおひたし、と手の込んだものは一切無いのだが。
「お、和食。美味そう」
そう言って中本さんは笑ってくれる。
2人で手を合わせて、テレビから流れるニュースを見ながらあーでもないこーでもないと会話する。
「今日はどうする?」
2人で過ごす事は決まっている。
「そうですね、映画……たまには映画館で見ませんか?俺、観たいやつがあるんです」
「あぁ、前に話していたアクションか」
「それそれー♡覚えててくれてたんですね!嬉しいです♡」
「じゃぁ、時間調べて……」
スマホをポチポチしながら上映時間を調べる中本さん。
ちょうど良い時間があったので、そのままオンライン決済でチケットを取って、時間まで2人でブラブラと映画館近くのお店を眺めてた。
とても穏やかで、とても平和な世界。
そう言えば、昨日プレゼン大会で優秀賞だった事もすっかり忘れていた。
今の俺にとっては会社の評価より、中本さんと一緒に居ることの方が大事らしい。
まぁ、当然の事だが。
俺が心の中でニヤニヤしていたら、一瞬中本さんを見失った。
「あれ?中本さん?」
キョロキョロと見渡すと、レジで何かを精算している。何を買ったんだろ?割と有名なメンズブランドの紙袋をショップ店員さんから手渡されている。
「何買ったんですか?」
ささっと近付いて、紙袋の中を覗き込もうとしたら、トンと胸元にその紙袋を押し付けられた。
「そんな高価なものじゃないけど、優秀賞、おめでとう。お祝い」
ちょっと顔赤らめて上目遣いをする中本さんが最高に可愛かった。
「は……はいっ!!!」
ギュッと紙袋を抱き締めて、出来れば中本さんも抱き締めたかったのだけど、そこは我慢した。
「映画、そろそろ時間じゃね?」
恥ずかしかったのか、彼は顔を俯かせてそそくさと映画館に向かおうとした。
「そうですね♡」
そう言いながら、オレは空いている手を伸ばして中本さんの手を握った。恋人繋ぎだ。
「おまっ」
「都内ですし、いろんな人が居ますよ。こんなの普通ですよ。珍しくないです♡」
俺がニコッと笑うと、「しかたねーな」と溜息つきながらも、手はそのままにしてくれた。
あぁ、こうやって流されてくれる中本さんが本当に好き。
俺たちはブンブンと繋いだ手を振りながら、何なら俺はスキップしながら、映画館へと向かった。
✂ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー✂
【説明不足でした】
「ミニマム男子の睦事」に、出てきたプレゼン大会の、平久さん視点でした(だいぶ話は逸れましたけど)
ミニマム男子の2人と中本平久カップルは、同じ会社の社員です。
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