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本編
5-4.騎士じゃないよ、寮母♂さん。
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足音殺して再度休息室に戻った寮母♂さん。
宰相の様子を見ると、スヤスヤと寝息を立てて眠っております。
起こすのも可哀想なので、ウーバとイーツから貰ったディナーボックスに『きちんと食えよ』とメモ紙を残して退出しました。
𓂃𓈒𓂂𓏸
さて、寮のお仕事をウーバとイーツに任せた寮母♂さん。
夕方までのお仕事が無くなったので、宰相と約束したニジョーの報告書を作成する事にしました。
なので、次の目的場所は宰相の執務室です。
勝手知ってたるお城の中。
寮母♂さんは迷いなく執務室に向かいました。
扉をノックすると、先程とは別の補佐官が出迎えてくれました。
「寮母♂さん、今日はどうされましたか?」
「おう、ニジョーの報告書を俺が作るんでな。寮に戻って作ってもいいのだが、どうせこっちに持って来るならここで作っちまった方が早いかなと思ったんだ。空いてる机はあるか?そっちの仕事の邪魔はしねぇ、場所だけ貸して欲しい」
「ニジョー……あぁ、やっぱり寮母♂さん絡みでしたか……宰相が血相抱えて謁見の間に行かれましたので、何事かと思いましたが。ニジョーでしたか……そうでしたか……あの……それで、ニジョーは……」
「うん?俺が倒したから大丈夫だ。だが事後報告だったからな、宰相に迷惑かけちまって、俺が報告書を作る事になったんだ」
「承知しました。今空いている机はどこも使用しておりませんので、お好きな所にお座り下さい。報告書の書式は……」
「うん、あんたらの手は煩わせねぇよ。もう十分だ」
寮母♂さんは、所定の用紙とペンを手にし、空いている机に腰を据えると黙々と報告書を作成し始めました。
カリカリ……タプン……カリリ……タププン……
寮母♂さんが筆を走らせる度に雄胸が揺れ、文官や補佐官の視線が寮母♂さんに集中します。
「おい……なんで寮母♂さんがここにいるんだよ」
「それが報告書を作成するとかなんとかで……」
「ありゃぁ目の毒だろ。タプタプタプタプ雄っぱい揺らしやがって。若い補佐官なんか前屈みだぞ。トイレに行かせろ」
「はっ、はい!」
ヒソヒソ話が終わると、前屈みの補佐官たちはトイレに連れて行かれました。
\\\ナニしに行くんですかー!?///
ナニです。
𓂃𓈒𓂂𓏸
そんなやり取りは露知らず、寮母♂さんは物凄い集中力を発揮し、1時間程で報告書を作成し終えました。
近くに居た文官に見せる寮母♂さん。
「悪ぃが久々に作ったから、ザッと不備が無ぇか見てもらえないか?」
「は、はい……」
書類を渡された文官は、上から下までじっくり確認すると、ひとつため息を吐きました。
「ニジョーの報告でしたか。騎士を退きながらも相変わらず無茶をする。報告書は完璧です。こちらに身を置いて頂きたいくらいの出来栄えです……対策の草案も……参考にさせて頂きます。こちらも有ると無いでは会議の進みがかなり変わります……あぁ、本当に来て頂きたい……」
「そりゃ無理な話だな。俺には騎士団寮の管理があるから。けどまぁ、てめぇのケツはてめぇで拭くくらいの気概はあるからさ、、」
寮母♂さんがゲラゲラ笑いながら文官の肩をパシパシ叩きます。
バシンっ!!
「いっっ!?」
バシンッ!!
「ぅあ゛っっ!」
文官には、ちょっと痛かったみたいですね……
「あぁ!悪ぃ悪ぃ!騎士の奴らと同じ力加減でやっちまった。痛かったよな?申し訳ねぇ」
さすさすさす……叩いた場所を優しく撫でる寮母♂さん。
寮母♂さんのお手手は温かくとても大きく肉厚なので、その手で触れられると……
「あひぃん……♡♡♡」
慣れてないと腰砕けになってしまうのです。
肩を叩かれ撫でられた文官は、顔を真っ赤にしてその場で崩れ落ちました。
「あっちゃー。そこまで酷かったか?本当にすまない」
寮母♂さんは、崩れ落ちた文官の両脇に手を突っ込み抱き上げました。
力の抜けた文官は、ミョーンと猫ちゃんを抱き上げた時の様に、身体が伸び切ってます。
「ふはっ!長ぇ。あんた身長いくつだ?あまりタッパあるように見えなかったが?」
「ね……猫背なんですっ!おろ……下ろして頂けますか?」
足が宙に浮いてしまって心許ない文官が寮母♂さんに訴えます。
寮母♂さんは悪びれることなく、そっと文官を降ろしてあげました。
「縮んだ。なぁ、あんた背筋伸ばしてみなよ」
寮母♂さんが、今度は文官の背中を摩ります。
「ひゃぁっ♡♡♡」
文官さんもビクッとしつつも背筋をピーンと伸ばしました。
「ほら、やっぱりアンタ背が高ぇな。そっちの方が男前度が上がるぞ?」
ニカッと文官に笑顔を向ける寮母♂さん。文官の表情は恋する乙女のソレです。
「は……はひぃ……」
コクコクと文官が頷くと、寮母♂さんは満足そうに笑いました。
「じゃぁ、俺はそろそろ失礼するよ。世話になったな!」
扉の前で全体に聞こえるように挨拶をすると、そこに居た文官や補佐官はペコリと寮母♂さんに向かって会釈をしました。
𓂃𓈒𓂂𓏸
騎士団寮へ向かうべく、お城を出ようとしたところで、宰相に会いました。
ディナーボックスをしっかりと抱えています。
「宰相、もう起きて大丈夫なのか?」
寮母♂さんが声をかけ、顔を覗き込むと先程より幾分顔色は良くなっていました。
「えぇ、家に戻るくらいの体力はありますよ」
素っ気なく答える宰相ですが、おやおや、お顔とお耳が少し赤くなってますね。
「……俺が言えた立場じゃねーが、、、ゆっくり休んでくれよ?」
「えぇ、本当に……」
寮母♂さんが言えた立場では無い事への肯定なのか、ゆっくり休む事への肯定なのか、判断し兼ねる返答ではありましたが、寮母♂さんはゆっくりと笑みを零しました。
「あんたは国の要だ。倒れて貰ったら困る」
「そうですね。あの王と王妃と渡り合えるのは、私と貴方くらいでしょうから……ね……」
「違いねぇや!」
ゲラゲラと笑う寮母♂さんを見て、宰相も少しだけ笑みが零れました。
ガリガリ体型の宰相と元騎士の屈強寮母♂さん、頭脳派と脳筋派、水と油の様で、意外と合う2人は、しばらく肩を並べてそれぞれの帰路に向かうのでした。
明日も平和で穏やかな1日でありますように。
✂ーーーーーーーーーーー✂
ここまでお読み頂きありがとうございました。
と、言いつつ閑話を2つ上げてますので、お時間ありましたらそちらもお付き合いくださいませ。
宰相の様子を見ると、スヤスヤと寝息を立てて眠っております。
起こすのも可哀想なので、ウーバとイーツから貰ったディナーボックスに『きちんと食えよ』とメモ紙を残して退出しました。
𓂃𓈒𓂂𓏸
さて、寮のお仕事をウーバとイーツに任せた寮母♂さん。
夕方までのお仕事が無くなったので、宰相と約束したニジョーの報告書を作成する事にしました。
なので、次の目的場所は宰相の執務室です。
勝手知ってたるお城の中。
寮母♂さんは迷いなく執務室に向かいました。
扉をノックすると、先程とは別の補佐官が出迎えてくれました。
「寮母♂さん、今日はどうされましたか?」
「おう、ニジョーの報告書を俺が作るんでな。寮に戻って作ってもいいのだが、どうせこっちに持って来るならここで作っちまった方が早いかなと思ったんだ。空いてる机はあるか?そっちの仕事の邪魔はしねぇ、場所だけ貸して欲しい」
「ニジョー……あぁ、やっぱり寮母♂さん絡みでしたか……宰相が血相抱えて謁見の間に行かれましたので、何事かと思いましたが。ニジョーでしたか……そうでしたか……あの……それで、ニジョーは……」
「うん?俺が倒したから大丈夫だ。だが事後報告だったからな、宰相に迷惑かけちまって、俺が報告書を作る事になったんだ」
「承知しました。今空いている机はどこも使用しておりませんので、お好きな所にお座り下さい。報告書の書式は……」
「うん、あんたらの手は煩わせねぇよ。もう十分だ」
寮母♂さんは、所定の用紙とペンを手にし、空いている机に腰を据えると黙々と報告書を作成し始めました。
カリカリ……タプン……カリリ……タププン……
寮母♂さんが筆を走らせる度に雄胸が揺れ、文官や補佐官の視線が寮母♂さんに集中します。
「おい……なんで寮母♂さんがここにいるんだよ」
「それが報告書を作成するとかなんとかで……」
「ありゃぁ目の毒だろ。タプタプタプタプ雄っぱい揺らしやがって。若い補佐官なんか前屈みだぞ。トイレに行かせろ」
「はっ、はい!」
ヒソヒソ話が終わると、前屈みの補佐官たちはトイレに連れて行かれました。
\\\ナニしに行くんですかー!?///
ナニです。
𓂃𓈒𓂂𓏸
そんなやり取りは露知らず、寮母♂さんは物凄い集中力を発揮し、1時間程で報告書を作成し終えました。
近くに居た文官に見せる寮母♂さん。
「悪ぃが久々に作ったから、ザッと不備が無ぇか見てもらえないか?」
「は、はい……」
書類を渡された文官は、上から下までじっくり確認すると、ひとつため息を吐きました。
「ニジョーの報告でしたか。騎士を退きながらも相変わらず無茶をする。報告書は完璧です。こちらに身を置いて頂きたいくらいの出来栄えです……対策の草案も……参考にさせて頂きます。こちらも有ると無いでは会議の進みがかなり変わります……あぁ、本当に来て頂きたい……」
「そりゃ無理な話だな。俺には騎士団寮の管理があるから。けどまぁ、てめぇのケツはてめぇで拭くくらいの気概はあるからさ、、」
寮母♂さんがゲラゲラ笑いながら文官の肩をパシパシ叩きます。
バシンっ!!
「いっっ!?」
バシンッ!!
「ぅあ゛っっ!」
文官には、ちょっと痛かったみたいですね……
「あぁ!悪ぃ悪ぃ!騎士の奴らと同じ力加減でやっちまった。痛かったよな?申し訳ねぇ」
さすさすさす……叩いた場所を優しく撫でる寮母♂さん。
寮母♂さんのお手手は温かくとても大きく肉厚なので、その手で触れられると……
「あひぃん……♡♡♡」
慣れてないと腰砕けになってしまうのです。
肩を叩かれ撫でられた文官は、顔を真っ赤にしてその場で崩れ落ちました。
「あっちゃー。そこまで酷かったか?本当にすまない」
寮母♂さんは、崩れ落ちた文官の両脇に手を突っ込み抱き上げました。
力の抜けた文官は、ミョーンと猫ちゃんを抱き上げた時の様に、身体が伸び切ってます。
「ふはっ!長ぇ。あんた身長いくつだ?あまりタッパあるように見えなかったが?」
「ね……猫背なんですっ!おろ……下ろして頂けますか?」
足が宙に浮いてしまって心許ない文官が寮母♂さんに訴えます。
寮母♂さんは悪びれることなく、そっと文官を降ろしてあげました。
「縮んだ。なぁ、あんた背筋伸ばしてみなよ」
寮母♂さんが、今度は文官の背中を摩ります。
「ひゃぁっ♡♡♡」
文官さんもビクッとしつつも背筋をピーンと伸ばしました。
「ほら、やっぱりアンタ背が高ぇな。そっちの方が男前度が上がるぞ?」
ニカッと文官に笑顔を向ける寮母♂さん。文官の表情は恋する乙女のソレです。
「は……はひぃ……」
コクコクと文官が頷くと、寮母♂さんは満足そうに笑いました。
「じゃぁ、俺はそろそろ失礼するよ。世話になったな!」
扉の前で全体に聞こえるように挨拶をすると、そこに居た文官や補佐官はペコリと寮母♂さんに向かって会釈をしました。
𓂃𓈒𓂂𓏸
騎士団寮へ向かうべく、お城を出ようとしたところで、宰相に会いました。
ディナーボックスをしっかりと抱えています。
「宰相、もう起きて大丈夫なのか?」
寮母♂さんが声をかけ、顔を覗き込むと先程より幾分顔色は良くなっていました。
「えぇ、家に戻るくらいの体力はありますよ」
素っ気なく答える宰相ですが、おやおや、お顔とお耳が少し赤くなってますね。
「……俺が言えた立場じゃねーが、、、ゆっくり休んでくれよ?」
「えぇ、本当に……」
寮母♂さんが言えた立場では無い事への肯定なのか、ゆっくり休む事への肯定なのか、判断し兼ねる返答ではありましたが、寮母♂さんはゆっくりと笑みを零しました。
「あんたは国の要だ。倒れて貰ったら困る」
「そうですね。あの王と王妃と渡り合えるのは、私と貴方くらいでしょうから……ね……」
「違いねぇや!」
ゲラゲラと笑う寮母♂さんを見て、宰相も少しだけ笑みが零れました。
ガリガリ体型の宰相と元騎士の屈強寮母♂さん、頭脳派と脳筋派、水と油の様で、意外と合う2人は、しばらく肩を並べてそれぞれの帰路に向かうのでした。
明日も平和で穏やかな1日でありますように。
✂ーーーーーーーーーーー✂
ここまでお読み頂きありがとうございました。
と、言いつつ閑話を2つ上げてますので、お時間ありましたらそちらもお付き合いくださいませ。
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