8 / 14
−8−
しおりを挟む「わ、私……その……」
「っ」
「そこに、誰も……受け入れたこと、なくて」
つまり処女である、と宣言する。これで怖さが紛れるわけではないけれども、少しくらい、慮ってほしかった。
ティキの目的のためには、いつかは男性のものをそこに受け入れなくてはいけない。
子を成さなければいけない。
その使命こそ直接ロランには告げていないものの、彼もティキの血を重要視してくれた。
「わ、私の一族は……その。最初に、受け入れたひとと……つまり……」
添い遂げないといけない、それが常識だ。
処女膜を貫かれたらすべてが終わるのだ。こんな、スライムなんかに……と思い、いやいやと首を横にふる。
それでいろいろ察してくれたのだろう。
彼は慌てた様子で、上からカパリとスライムに瓶をかぶせて閉じ込めた。そうして移動できないようにしてから、ロランは叫ぶ。
「だっ、大丈夫で、すっ!!!」
「っ」
「このスライムは、あのその、人体には本当に、無害でっ。しょ、処女膜……も、傷つけませんし……あのその、そもそも、僕っ、僕、が、責任をとりますとらせてくださいお願いしますっ」
「ろ、ロラン……」
それはキワドイ位置でスライムに瓶をかぶせ、股間を苦しい感じにしながら言う台詞なのだろうか。
だがしかたない。彼はロランなのだ。
そしてロランは止まることがない。
「ぼ、僕はそのこの時代の人間の中では魔力量も多い方ですし古代種の知識も豊富な方だと思いますし、なによりも言葉を通じさせる術式は僕のオリジナルですから千年前の言語形態研究してきた僕にしか絶対できませんし。ちょ、ちょちょちょっと、その、あの、コミュニケーションなんかは得意じゃない自覚はありますけどそこそこ頭脳も悪くないですしいい物件だと思うのですっ」
「物件……?」
「ぎゃっ! ちがった。いい男。あの僕、ティキちゃんのお相手にその、どうですかね、お、お世話させてくださいって最初に言ったのはそういう意味だったりしたり、したり……」
ごにょごにょ。
大声で必死で訴えていたかと思うと、最後は尻すぼみになっている。
「ぼ、僕以外がティキちゃんの相手とかちょっと想像するだけで無理といいますか、そんな未来があるのだとしたら僕はその、ティキちゃんをここに閉…………めるのも辞さないと言いますかっ!
あああああのっ、どうか、どうかはいと言ってくださいっ。僕にティキちゃんのお世話をさせてください不自由はさせませんしあのそのそれなりに財産もありますし、あとなんだ!? ええと、僕のすべてで、あなたのことを観さ…つ……ぃえっ! 知りたいといいますかずっと眺めていたいと言いますか!!!」
つまり、これはなんだ。
こんな状態で、求婚されている、のだろうか……。
何よりも困惑という感情が最初にきてしまい、ティキはぱちぱちと瞬いた。
けれども、勢いづいたロランはティキの返事など聞いてはくれなかった。がばっと腕を伸ばして、ティキに覆いかぶさるようにして顔を近づける。
「んっ……!」
「ふ、ぁ……っ」
次の瞬間、がちりと唇を縫い止められるようなキスをされていて、ティキは瞬いた。
強引に唇をこじ開けられると、彼の舌が容赦なく入ってくる。舌には彼が施した術式が刻まれていて、そこに直接魔力を強く流しこまれた。
「ぁ!」
「僕のっ、僕の気持ち、いっぱい。いっぱいあげますからっ。ここ、僕の魔力通りやすくなってるでしょ? 舌、いっぱい気持ちよくなりましょうねっ」
なんて言いながら、じゅ、じゅと唾液を流し込まれる。
暴れて脚をバタバタさせると、勢いあまって、スライムの入っていた瓶を倒してしまった。……そうだ、なかなかキワドイ場所に置いてあったんだった!
慌ててどうにかしようとしたけれど、遅かった。直接舌から、相性のいいロランの魔力をいっぱい受けて、身体が再び一気に火照りだす。
ロランはというと、解放されたスライムの方へと片手を伸ばし、ティキの女性器の近くへ導いた。
ぷるんとした感触のなにかがティキの大事な部分に触れる。ロランがティキの肉襞を器用に指で広げると、ちょっとひんやりとしたぷるぷるが、ずるりと中へ入っていく。
「んっ…んんんーっ!!」
「はぁ……ティキちゃん、ティキちゃん……」
混乱したティキを宥めるように、ロランは何度もキスをしながら、たっぷりの魔力をティキに注いでいく。
「僕たち、魔力の相性もいい……大切にするから。ね? すごく、すごく大切にする。しますからっ。ぜったい。誰よりも」
「ロラン……っ」
「君の遺伝子を未来へ繋ぐ権利を僕にくださいっ」
41
お気に入りに追加
338
あなたにおすすめの小説
【R18】25歳のチビでポッチャリな私は転移した異世界で子供扱いされて困ってます!
ネオン
恋愛
※本作品は成人向けです! 18歳に満たない方はお戻りください。
フリーターの主人公、橘 未来(たちばな みく)が居酒屋バイトの賄いの時に間違って強いお酒を飲んで潰れてしまう。
居酒屋の個室に泊まらせてもらっていた筈なのに目が覚めたら森の中だった……。
困っていると、闘牛程のデカイ猪が突進してきて、あろうことか目の前で首が飛んだ!
そこへ猪を仕留めたであろう2メートル超えの大男が現れて……。
どうやらミクは自分が異世界に転移してしまったのではと気付く。
150センチのぽっちゃり主人公が250センチの辺境伯様と結ばれるお話。
※下品な性描写があります。苦手な方はご遠慮ください。
※予告なしでエロ入ります!
※過去に他サイトに上げた作品で完結済み。
一日二話ずつ、0時と6時に予約投稿済みです(^^♪
※38話で完結
【R18】軍人彼氏の秘密〜可愛い大型犬だと思っていた恋人は、獰猛な獣でした〜
レイラ
恋愛
王城で事務員として働くユフェは、軍部の精鋭、フレッドに大変懐かれている。今日も今日とて寝癖を直してやったり、ほつれた制服を修繕してやったり。こんなにも尻尾を振って追いかけてくるなんて、絶対私の事好きだよね?絆されるようにして付き合って知る、彼の本性とは…
◆ムーンライトノベルズにも投稿しています。
【R18】国王陛下に婚活を命じられたら、宰相閣下の様子がおかしくなった
ほづみ
恋愛
国王から「平和になったので婚活しておいで」と言われた月の女神シアに仕える女神官ロイシュネリア。彼女の持つ未来を視る力は、処女喪失とともに失われる。先視の力をほかの人間に利用されることを恐れた国王からの命令だった。好きな人がいるけどその人には好かれていないし、命令だからしかたがないね、と婚活を始めるロイシュネリアと、彼女のことをひそかに想っていた宰相リフェウスとのあれこれ。両片思いがこじらせています。
あいかわらずゆるふわです。雰囲気重視。
細かいことは気にしないでください!
他サイトにも掲載しています。
注意 ヒロインが腕を切る描写が出てきます。苦手な方はご自衛をお願いします。
【R18】国王陛下はずっとご執心です〜我慢して何も得られないのなら、どんな手を使ってでも愛する人を手に入れよう〜
まさかの
恋愛
濃厚な甘々えっちシーンばかりですので閲覧注意してください!
題名の☆マークがえっちシーンありです。
王位を内乱勝ち取った国王ジルダールは護衛騎士のクラリスのことを愛していた。
しかし彼女はその気持ちに気付きながらも、自分にはその資格が無いとジルダールの愛を拒み続ける。
肌を重ねても去ってしまう彼女の居ない日々を過ごしていたが、実の兄のクーデターによって命の危険に晒される。
彼はやっと理解した。
我慢した先に何もないことを。
ジルダールは彼女の愛を手に入れるために我慢しないことにした。
小説家になろう、アルファポリスで投稿しています。
【R18】いくらチートな魔法騎士様だからって、時間停止中に××するのは反則です!
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
寡黙で無愛想だと思いきや実はヤンデレな幼馴染?帝国魔法騎士団団長オズワルドに、女上司から嫌がらせを受けていた落ちこぼれ魔術師文官エリーが秘書官に抜擢されたかと思いきや、時間停止の魔法をかけられて、タイムストップ中にエッチなことをされたりする話。
※ムーンライトノベルズで1万字数で完結の作品。
※ヒーローについて、時間停止中の自慰行為があったり、本人の合意なく暴走するので、無理な人はブラウザバック推奨。
【R18】サ終のゲームに取り残されました! 〜最推し3種に迫られて身体がもちません〜
浅岸 久
恋愛
何年も遊び続けてきたソシャゲがサービスを終了する。
推しとの別れがつらくて、サービスが終了するその瞬間も、スマホの画面を見つめていたユイ。気がつけば彼女は、終わりを迎えたはずのゲームの世界にいた。
しかも目の前には彼女の最推しがいて――。
所持していた最推しバグウィルのカードは全3種。
若き放浪騎士、もと裏社会の首領、そしてif世界の騎士王の姿。
当然全種〈限界突破〉済!
けれど、最強3種がそろって迫ってくるのはご勘弁願えませんか。
こぞって顔が良すぎる体格が良すぎる声が良すぎる天国かなって思うけど、正直身体がもちません……!
最推し3種に迫られ、でろでろに愛されて流されるまでのおはなし。
※エロ多めです。複数プレイもありますので、苦手な方はご注意ください。
※Rシーンには*マークをつけています。
〈短編版〉騎士団長との淫らな秘め事~箱入り王女は性的に目覚めてしまった~
二階堂まや
恋愛
王国の第三王女ルイーセは、女きょうだいばかりの環境で育ったせいで男が苦手であった。そんな彼女は王立騎士団長のウェンデと結婚するが、逞しく威風堂々とした風貌の彼ともどう接したら良いか分からず、遠慮のある関係が続いていた。
そんなある日、ルイーセは森に散歩に行き、ウェンデが放尿している姿を偶然目撃してしまう。そしてそれは、彼女にとって性の目覚めのきっかけとなってしまったのだった。
+性的に目覚めたヒロインを器の大きい旦那様(騎士団長)が全面協力して最終的にらぶえっちするというエロに振り切った作品なので、気軽にお楽しみいただければと思います。
【完結】【R18】男色疑惑のある公爵様の契約妻となりましたが、気がついたら愛されているんですけれど!?
夏琳トウ(明石唯加)
恋愛
「俺と結婚してくれたら、衣食住完全補償。なんだったら、キミの実家に支援させてもらうよ」
「え、じゃあ結婚します!」
メラーズ王国に住まう子爵令嬢マーガレットは悩んでいた。
というのも、元々借金まみれだった家の財政状況がさらに悪化し、ついには没落か夜逃げかという二択を迫られていたのだ。
そんな中、父に「頼むからいい男を捕まえてこい!」と送り出された舞踏会にて、マーガレットは王国の二大公爵家の一つオルブルヒ家の当主クローヴィスと出逢う。
彼はマーガレットの話を聞くと、何を思ったのか「俺と契約結婚しない?」と言ってくる。
しかし、マーガレットはためらう。何故ならば……彼には男色家だといううわさがあったのだ。つまり、形だけの結婚になるのは目に見えている。
そう思ったものの、彼が提示してきた条件にマーガレットは飛びついた。
そして、マーガレットはクローヴィスの(契約)妻となった。
男色家疑惑のある自由気ままな公爵様×貧乏性で現金な子爵令嬢。
二人がなんやかんやありながらも両想いになる勘違い話。
◆hotランキング 10位ありがとうございます……!
――
◆掲載先→アルファポリス、ムーンライトノベルズ、エブリスタ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる