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人選ミス 《ネタバレ有り》※第五章01話「帰ります(南の宮から)」まで読了推奨
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※ネタバレ有り。
※第五章「帰ります(南の宮から)」まで読了推奨。
※宰相が妻を好きすぎる話。
────
「下見」に「自主的に」行った宰相の報告によると、南の宮での演習は当初想定されたより若干大規模になっているという。
「申し上げましたでしょう、妻には東の先代様の抑え役など無理ですと」
「あー、確かにそう聞いたが、煽り役とは聞いてなかったが」
皇帝は苦笑する。この宰相はとにかく早く妻を帰還させたいらしい。
控える侍従筆頭は「本当に行ってきたんだ……」と宰相の執着と行動力に引いている。
「東の先代は予算内に収めるつってたからそこは大丈夫だろうし、近衛によると仕上がりは上々らしいし」
「それはそうでしたが」
宰相も実際に軍の様子を目にしたのでそこは納得している。宰相が南に滞在中のたった一日のうちでさえも、軍の様子はどんどん変わっていく。東の先代の戦神の名は、隠遁してもなお健在だ。
「昨日連絡入ったが、明後日は夫人は休養日だから息抜きに近衛と巻狩やりたいと。面白そうだから許可した。ついでに俺も行きたい」
「なりません陛下。近衛はそのように使うものでは。だいたい巻狩などほぼ訓練ではないですか。息抜きなどと言って何を……、
いえ、お待ち下さい違うでしょう、その狩りで浮いた食糧費を何に回されるおつもりですか先代様は!」
食糧費が浮く? と怪訝な顔をする侍従筆頭に、妻ならその気になれば一個大隊養えるくらいは半日で狩りますからと宰相が言う。
「さあ、何に回すか知らん。だから俺も行きたい」
「なりません陛下」
即座に止める宰相に皇帝がじゃあ、と提案する。
「宰相、あなたも一緒に行くか?」
それに宰相は迷うことなく申し上げる。
「そうですね。下見も終わったことですし」
即断即決豹変は宰相の真骨頂であるのだろうが。
「閣下、陛下、成りませんよ?」
予定調整するこっちの身にもなれやと微笑む侍従筆頭が諌めたので、今上の演習視察は流れた。
《終わり》
※第五章「帰ります(南の宮から)」まで読了推奨。
※宰相が妻を好きすぎる話。
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「下見」に「自主的に」行った宰相の報告によると、南の宮での演習は当初想定されたより若干大規模になっているという。
「申し上げましたでしょう、妻には東の先代様の抑え役など無理ですと」
「あー、確かにそう聞いたが、煽り役とは聞いてなかったが」
皇帝は苦笑する。この宰相はとにかく早く妻を帰還させたいらしい。
控える侍従筆頭は「本当に行ってきたんだ……」と宰相の執着と行動力に引いている。
「東の先代は予算内に収めるつってたからそこは大丈夫だろうし、近衛によると仕上がりは上々らしいし」
「それはそうでしたが」
宰相も実際に軍の様子を目にしたのでそこは納得している。宰相が南に滞在中のたった一日のうちでさえも、軍の様子はどんどん変わっていく。東の先代の戦神の名は、隠遁してもなお健在だ。
「昨日連絡入ったが、明後日は夫人は休養日だから息抜きに近衛と巻狩やりたいと。面白そうだから許可した。ついでに俺も行きたい」
「なりません陛下。近衛はそのように使うものでは。だいたい巻狩などほぼ訓練ではないですか。息抜きなどと言って何を……、
いえ、お待ち下さい違うでしょう、その狩りで浮いた食糧費を何に回されるおつもりですか先代様は!」
食糧費が浮く? と怪訝な顔をする侍従筆頭に、妻ならその気になれば一個大隊養えるくらいは半日で狩りますからと宰相が言う。
「さあ、何に回すか知らん。だから俺も行きたい」
「なりません陛下」
即座に止める宰相に皇帝がじゃあ、と提案する。
「宰相、あなたも一緒に行くか?」
それに宰相は迷うことなく申し上げる。
「そうですね。下見も終わったことですし」
即断即決豹変は宰相の真骨頂であるのだろうが。
「閣下、陛下、成りませんよ?」
予定調整するこっちの身にもなれやと微笑む侍従筆頭が諌めたので、今上の演習視察は流れた。
《終わり》
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