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「サゲ」の色々
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『趣味どき! 春風亭一之輔の江戸落語入門』を見終わった。七回目と最終回に共通した事があったのだが、それは『サゲ』のバリエーションを見せる、という事だった。
『サゲ』とは要は話の最後、「オチ」の事だけど、滑稽話なかりでない落語の場合、やはり「サゲ」の方がしっくりくる感じがする。で、七回目が『芝浜』、八回目は『死神』のサゲの色々を見せてくれた。
『芝浜』は、大金を拾った男が酒を飲んで寝てしまうが、女房にそれは夢だったと言われる話だ。そこで男は酒をやめて仕事にせいを出し、その働きで店を出せるようになる。その時女房は巾着を出して夢ではなく事実だったことを明かし、止めていた酒を勧める。喜んだ男は酒を飲もうとするが、ふと手を止めるのだ。で、「よそう、夢になるといけねえ」と呟く、というのがサゲだ。
これを五代目圓楽師匠は「よそう、夢になる」と短く決めていた。凄くよかった。他の人は色々と色をつけていたけど、これは圓楽師匠のキリっとした終わり方がカッコよかった。
『死神』の方は、三遊亭圓生師匠のをじっくりと見せてくれて、これが凄くよかった。こちらはある男が死神から、死ぬ病人、生き延びる病人の見分け方を教わるが、ちょっとずるをして運命を変えてしまう。そこで怒った死神が『寿命のろうそく』が灯る場所へ連れていくが、そこで今にも消えそうな短いろうそくが、自分のものだと男は告げられる。
男は死神に泣きついてロウソクを長いものとつぎ足す事を試みる。しかし命がかかっているので、なかなかうまくつぎ足せない。死神はそれを笑みを浮かべて見ながら、「ほらほら、消えちまうよ、消えちまう。あ……消えた」と、言った瞬間に、男が呆然とした顔で倒れる。という恐ろしいサゲだった。別の三人は、自分でろうそくを消してしまうサゲだったが、これは滑稽風味が強い。
柳家小三治師匠は、つぎ足すのに成功した瞬間、うっかりクシャミをしてしまう。立川志らく師匠は、「今日はお前の第二の人生の始まりだ。ハッピーバースディ」と言われ、立川志の輔師匠は表にまでろうそくを持って出たところで「もう明るいから」と言われ、消してしまうのだった。サゲも色々で面白い。
『サゲ』とは要は話の最後、「オチ」の事だけど、滑稽話なかりでない落語の場合、やはり「サゲ」の方がしっくりくる感じがする。で、七回目が『芝浜』、八回目は『死神』のサゲの色々を見せてくれた。
『芝浜』は、大金を拾った男が酒を飲んで寝てしまうが、女房にそれは夢だったと言われる話だ。そこで男は酒をやめて仕事にせいを出し、その働きで店を出せるようになる。その時女房は巾着を出して夢ではなく事実だったことを明かし、止めていた酒を勧める。喜んだ男は酒を飲もうとするが、ふと手を止めるのだ。で、「よそう、夢になるといけねえ」と呟く、というのがサゲだ。
これを五代目圓楽師匠は「よそう、夢になる」と短く決めていた。凄くよかった。他の人は色々と色をつけていたけど、これは圓楽師匠のキリっとした終わり方がカッコよかった。
『死神』の方は、三遊亭圓生師匠のをじっくりと見せてくれて、これが凄くよかった。こちらはある男が死神から、死ぬ病人、生き延びる病人の見分け方を教わるが、ちょっとずるをして運命を変えてしまう。そこで怒った死神が『寿命のろうそく』が灯る場所へ連れていくが、そこで今にも消えそうな短いろうそくが、自分のものだと男は告げられる。
男は死神に泣きついてロウソクを長いものとつぎ足す事を試みる。しかし命がかかっているので、なかなかうまくつぎ足せない。死神はそれを笑みを浮かべて見ながら、「ほらほら、消えちまうよ、消えちまう。あ……消えた」と、言った瞬間に、男が呆然とした顔で倒れる。という恐ろしいサゲだった。別の三人は、自分でろうそくを消してしまうサゲだったが、これは滑稽風味が強い。
柳家小三治師匠は、つぎ足すのに成功した瞬間、うっかりクシャミをしてしまう。立川志らく師匠は、「今日はお前の第二の人生の始まりだ。ハッピーバースディ」と言われ、立川志の輔師匠は表にまでろうそくを持って出たところで「もう明るいから」と言われ、消してしまうのだった。サゲも色々で面白い。
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