書きの種(エッセイ日記)

堂場瞬一さんを解析してみる

堂場さんの『検証捜査』を読み終わった。ちょっとその構成を解析してみる。まず一行あたりの文字数は３９字で１ページは１７行のページ組になっている。つまり１ページは３９×１７の６６３字が最大字数という事になる。

そしてこの小説は書きだしが７ｐから始まり、５１７ｐで終わる。ちょうど５１０ｐという事は、最大字数は６６３×５１０＝３３８１３０字。堂場さん、一冊の量が多い！　これを単純に４００字詰め換算枚数になおすと、８４５枚になる。おい、普通の人の二冊分だよ！

この小説は六部構成になっていて、部の終わりページは一―９０ｐ、二―１７３ｐ、三―２５８ｐ　四―３４４ｐ、五―４３３ｐ、六―５１７ｐ。一部は８３ｐ、二部は８３ｐ、三部８６ｐ、四部８６ｐ、五部８９ｐ、六部８４ｐ。一部平均８５ｐくらいとして、×字数÷４００で、一部大体１４０枚くらい。

一部のなかで５章に分けている。が、第五部だけ４章構成だ。想像するに、全体枚数も８４０枚だったのか？　そうすると六部構成は、一部１４０枚でピッタリ合うことになる。ただ、一つの章は２８枚だ。どうもしっくりこない。と考えると、一つの章は３０枚で、一部１５０枚、全体が９００枚の長編と考えた方がすっきりするかもしれない。

この小説は過去の事件において立件された犯人が無罪を主張し、再審では無罪判決が出るだろうという見通しの元、捜査にあたった神奈川県警の捜査状況を調査する、という名目で全国各地から警察官が集められる。そのうちの一人、主人公の神谷は、ある事件の不祥事のために大島へ飛ばされていたが、急きょ招集されて事件の調査に臨む――というストーリーである。

しかし驚くのは、その配分だ。最初の第一部では、大島から主役、そして北海道、埼玉、大阪、福岡から集められた警察官たちがチームを組むいきさつまで。そこまでで１５０枚使った計算になる。短編だったらそこで終わりの分量だけど、堂場配分だとまだ事件は始まってもいない。

そんなに何を書いてるのか？　展開がなくて退屈にならないのか？　…と、疑問に思うのだが、読んでると全然退屈じゃなくて、ついつい読んじゃうから不思議だ。まさに堂場マジック。うん、ちなみに面白い作品だった。