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CHAPTER (1):

Ⅴ.現状整理と今後の目標

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(そっかぁ……ゲームではこんな場所、出てこなかったけど、母さんが5年も早死しちゃったから、空白の5年間が出来ちゃったんやな…)


もう既にストーリーに外れているが、一応、ゲームの本筋を見直そうと、思考を巡らせる。

物語の舞台は、テンプレだが、15歳で入学する魔法学園である。
これまたテンプレ通り、元々魔力持ちは貴族がほとんどであり、魔法の使えない平民は、魔道具に頼る。
まぁ、私は貧乏だったので、魔道具なんぞ見たこともないが。
そしてまた、光と闇の属性の魔法は、かなり貴重であり、平民であるにも関わらず希少な光属性の魔力を持つ孤児である主人公は、貴族の養子となり、平民出身ただ1人、魔法学園に入学するという、どこまでも在り来りな設定である。

そこで攻略対象者を堕として行く訳だが、勿論乙女ゲームには、やれ平民が、作法が、といじめてくる悪役がいるわけで、様々なピンチをヒーローと共に乗り越えた上で、婚約、ハッピーエンドと至る、先が見え見えなストーリーである。

では何故、前世の友人はこの王道すぎる乙女ゲームにハマっていたのか。

それは、主人公の魔法のレベル上げが割とRPG並にしっかりできる機能と、なによりも、悪役令嬢のイジメのえげつなさである。

悪役令嬢のイジメは、日本だったら何回死罪に遭うか分からないレベルの非人道的なものだった。
それ故に、護身的な意味でも、主人公の魔法のレベル上げは、死活問題なのである。


(なんかさぁ、こういう乙女ゲー転生ものって、悪役令嬢に転生するものよね?)


そう、悪役令嬢だったら、確かに処刑エンドは死ぬ気で回避しなくてはならないが、イジメなければ、無罪である、という部分はある。
まぁ、そういう場合は、ほとんど、ヒロインが電波で、逆ざまぁされるのがテンプレだが。


(ヒロイン転生ものって、読んだ記憶ないわ…)


これは前世で、異世界転生モノのラノベを、やたら私にゴリ推ししてきた、また別の友人の好みの偏りによるものとしか思えない。
たしか、『電波ヒロインしね!!』とか言って中指立ててたわ。

前世、バイトで忙しい私に、それでもと言って大量のラノベを押し付けてきた友人(しかも感想を具体的に聞いてくるから、読んでないことを誤魔化せない)を、当時は傍迷惑に思っていたが、
それで培った知識は無駄ではなかったのだな、と少し遠い目をして、その友人に感謝の念を送っておく。



自分的には全く対象者を攻略する気はない。逆ハーエンドなど、以ての外だ。
そのせいで、生死の関わるイジメを受けるなど、そんなの自分の精神がもたない。
まだ、平民だからと多少のイジメを受けるならいざ知らず、他人の婚約者を奪うほど、ビッチではないのだ。むしろ、苛烈なイジメさえなければ、悪役の肩を喜んで持ちたい。
だって、明らかに浮気する婚約者がダメだと思うもの。


(っていっても、今のとこ、既にストーリーにない場所に私はいるわけで、、本当に10歳で、養子に迎えられるかわからんよね?)


そう、初めから養子になんぞならなければ、学園で地獄のイジメ刑に遭わずに済むのだ。
それには、光の魔力持ちであることがバレないようにする。それに尽きる。

どうせ、主人公は優しい天使な性格だったから、なんらかの事情で他人を救おうとした結果、治癒も行なう光の魔力が目覚め、人に露見したのだろう。

生憎、私はそこまでお人好しではない。

乙女ゲー参加回避、それを目指して、全力で魔力を隠そう。そうしよう。怪我人は無視だ。

万に1つ、学園に行くはめになった場合には、1番最凶最悪なが転生者であることを切に願うしかない。
それか、学園で、私は空気になるのだ。


 
とりあえず今後の目標として、貴族に養子入りしないよう、普通に、目立たずに、生きることに私は決めたのだった。


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