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再会

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馬車がごとごと揺れる中で、ネオは真っ白な顔をしてくったりしたイブを膝の上で抱きすくめた。


真っ白のドレスを着て、きちんと髪飾りをつけた美しい死体のイブを抱きしめて、口づける。


口に含んだ解毒剤を死体のイブに口移しで注ぐと、イブの身体がビクンと揺れた。


「ハッ!!ぁハッ!ハァ!」


イブに急に意識が戻り、口の中の液体は吐き出すと、ネオはイブの背を優しく擦った。息が乱れ視界が揺れるイブは、背中の温かい手に気が付いた。


「イブ、また会えました」

「ネオ?ネオなの?!!」


ネオが膝に乗せたイブの額に額をくっつけると、イブはネオの顔を両手で強く挟んで撫でた。


「良かった、死ねばまた会えるって信じていたわ。死んで良かった。良かったわネオ、愛してるもう離さないわ」

「僕も、もう離しません決して」


イブがネオの唇に唇を重ねると、ネオが応えてくれる。背中を腰を強く抱きしめられて、口の中を舐めまわすネオの懐かしい舌に熱が増す。


「ンッ……ネオ」


激しく求めあう口内が溶け合うほどに絡み合って、銀の液体がイブの白いドレスをしっとりと湿らせるまで二人は口づけを止めなかった。


ネオはイブを馬車内の椅子に押し倒して、顔中から首筋に胸元、耳の奥まで舐めて存在を確かめた。


イブはネオがくれる快感を全て抱きしめて、ネオの首をかき抱いて涙をこぼした。


「イブ、イブ、愛しています」

「私も、私もよネオ。もっとキスして、もっともっと全部よ。お願いよネオ、ネオを全てちょうだい」

「僕の全てはいつだってイブのものです。それをイブに伝えきれません」

「ネオ……!」


強く壊れるほど抱きしめ合って、もう二度と訪れないかもしれなかったキスを貪り尽くした。


     







どれくらいそうしてキスしたか忘れた頃、ネオの膝の上に抱かれ髪の香りをかがれていたイブにやっと正気が戻った。


「ネオ、ここは地獄?それとも天国?」


イブの無垢な青い瞳がきょとんとネオを見上げ、みるみるうちに華の笑顔を満開に咲かせた。


「どちらでもいいわ。ネオと一緒なら」

「イブ、あまり可愛いことばかり言わないでください。もうもちません」

「何が持たないの?」

「理性です」


ネオのすっかり分かれたままの前髪の間から、赤目が鈍く光る。


「あら、あんなにいっぱいキスしたネオにまだ理性があったの?」

「馬車の中で致さないほどのなけなしの理性ですが。逆に野外ならありです」

「二人きりの世界なら何も気にしなくていいのじゃない?」

「ここは現実です、イブ。僕たちは生きています。

そしてこの馬車を動かしている御者が聞き耳を立てているのです。

これ以上イブの耐えきれない声を聞かせられません」

「え?何を言っているの、ネオ。

私たち、死んだのよ?」


ネオが自分が死んだことを理解していない可哀想な子だと思ったイブに、


ここは現実であり、今まで起こったことを理解させるには長い時間がかかったのだった。

   
       
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