71 / 85
あの日の真実
しおりを挟む
死臭が満ちる死体置き場で、息を吹き返すものがいた。
「はっ!!ガはッ!ハッ」
ネオが身体を起こして口に入った液体を思わず吐き出すと、ネオの背中をビクターが擦った。
「成功して良かったな、弟子。お前は本当に優秀だよ」
ビクターが皺を深く刻んで柔和に笑うとネオの頭が働き始める。汚れた口元を拭い、あたりを見回す。
「僕、死にましたよね?」
「死んだな一回は」
「殿下に斬られて」
ビクターがネオの頭をぽんぽんと叩いて笑う。ネオの切りつけられた肩は、包帯を巻かれてすっかりビクターに治療されていた。
「急所を外してくださった。斬って血まみれにする演出が必要だったんだ」
「え、いりましたその演出。普通に裏切られたと思いましたけど」
「あの時、人が来ていたからな。派手に殺した演出をしておけば疑われない。倒れたお前に、私が隠れてコレを飲ませた」
ビクターがポケットから空っぽの小瓶を取り出して、ネオの前で振って見せた。
「カシカシ?」
「お前がつくった仮死の薬だ」
ネオは一連の流れを察してため息をついた。自分が息をしている奇跡に納得がいった。
カシカシは「仮死の薬」だ。
飲めば、心臓を止めて実際に死に至る。
だがその後、一日以内に解毒剤を服用すれば再び生き返ることができるのだ。
天才ネオがつくった
『聖女のイブを社会的に一度殺し、
そして国外にて再び、一人の女の子として生かすための薬』
だった。
それをアーサーとビクターの機転で、ネオにも服用させた。
不敬罪を犯したネオにも社会的に一度死んでもらい、逃がすためだ。
「はっ!!ガはッ!ハッ」
ネオが身体を起こして口に入った液体を思わず吐き出すと、ネオの背中をビクターが擦った。
「成功して良かったな、弟子。お前は本当に優秀だよ」
ビクターが皺を深く刻んで柔和に笑うとネオの頭が働き始める。汚れた口元を拭い、あたりを見回す。
「僕、死にましたよね?」
「死んだな一回は」
「殿下に斬られて」
ビクターがネオの頭をぽんぽんと叩いて笑う。ネオの切りつけられた肩は、包帯を巻かれてすっかりビクターに治療されていた。
「急所を外してくださった。斬って血まみれにする演出が必要だったんだ」
「え、いりましたその演出。普通に裏切られたと思いましたけど」
「あの時、人が来ていたからな。派手に殺した演出をしておけば疑われない。倒れたお前に、私が隠れてコレを飲ませた」
ビクターがポケットから空っぽの小瓶を取り出して、ネオの前で振って見せた。
「カシカシ?」
「お前がつくった仮死の薬だ」
ネオは一連の流れを察してため息をついた。自分が息をしている奇跡に納得がいった。
カシカシは「仮死の薬」だ。
飲めば、心臓を止めて実際に死に至る。
だがその後、一日以内に解毒剤を服用すれば再び生き返ることができるのだ。
天才ネオがつくった
『聖女のイブを社会的に一度殺し、
そして国外にて再び、一人の女の子として生かすための薬』
だった。
それをアーサーとビクターの機転で、ネオにも服用させた。
不敬罪を犯したネオにも社会的に一度死んでもらい、逃がすためだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
38
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる